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独立行政法人 国立病院機構 北海道医療センター
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女性のページ

骨盤臓器脱

子宮脱と骨盤臓器脱は違うのですか?

骨盤内の多くの臓器は腟に向かって下がることがあり、その総称が「骨盤臓器脱」です。
それぞれの臓器によって呼び方があります。 子宮が下がり出てくるものを子宮脱といいます。膀胱では膀胱脱(あるいは瘤)と言います。直腸では直腸瘤と呼ばれます。1ヶ所のみが下がることは稀で同時に起こっていることが多いです。
子宮全摘出後の方でも膣脱(小腸瘤)が起こります。

子宮脱は子宮摘出で治りますか?

子宮だけが下がってくる事は少ないです、多くは膀胱瘤などほかの場所も同時に腫大してきます。
子宮摘出の効果はありますが、効果不足あるいは術後の満足度が低いことがあります。
手術方法の決定時には良く相談をしましょう。

膀胱が腫れて出てくるとは何?

膀胱は子宮と恥骨の間の場所にあり、尿道へ続きます。
腫れて出てくると「膀胱脱(瘤)」といい、その頻度は高いと考えられています。
尿を貯めたり・出したりする臓器なので、排尿の不調を伴うことが多いです。
婦人科、泌尿器科、あるいは女性骨盤底(ウロギネ)科で治療相談しましょう。

尿が出ずらい、近い等は膀胱脱のためでしょうか?

排尿に関する症状が強い時は、婦人科と泌尿器科の両科で診察と検査を受ける事をお勧めします。
排尿には形態異常(臓器脱)だけではなく、機能異常(神経等の働き)が関係しています。
婦人科手術は形の修正(+補強)が主たる目的です。
機能異常は加齢なども関係、完治しずらい事も多いようです。

原因は何ですか、予防法はあるのですか?

骨盤底には臓器を支えている筋肉、筋膜、靭帯などがあります。女性は出産時の負担もあり、年令とともにそれらの支えが弱くなってきて「骨盤臓器脱」が起こります。
慢性的な便秘、重いモノを持つ仕事など、腹圧がかかる状態が長く続き、臓器は腟から出てくるようになります。予防としては「骨盤底筋体操」があります。

手術以外の治療法はありますか?

「膣内ペッサリー」があり、健康保険で認められた治療です。
リング型と呼ばれる丸い樹脂製の輪(リング)で下がる臓器 (子宮など)を支えます。
使い方と病状しだいでは、自己着脱も可能で外出時のみ使用する方もいらっしゃいます。

手術はどのように行うのですか、日数、費用は?

手術には以前より多くの方法があります。
大別して 1)腹腔鏡手術 2)膣式手術に分かれます。
それぞれ ①メッシュ使用 ②メッシュ非使用(NTR、従来法)とがあります。
1)、2)とも手術前も含めて入院期間は1週間~10日です。
費用は3割負担で約30万円です。

メッシュを使う手術が増えていると聞きました?

TVM手術(経腟メッシュ手術)は膀胱瘤に対して効果が高い事が認められました。しかし反面、欧米ではメッシュびらん、疼痛などの副事象より減少しました。
ただし日本では経腟メッシュのエキスパート医師により続けられています。
一方で腹腔鏡下仙骨腟固定術(メッシュ使用)が欧米で開始され日本でも増加しています。再発が少ない手術といわれ、当科でも正式導入しました。