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独立行政法人 国立病院機構 北海道医療センター
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腹腔鏡手術

腹腔鏡の手術とはどんな手術ですか?

従来の開腹手術と異なり、大きくお腹を切らずに行う手術です。婦人科の場合、一般的にはお腹に5mm-15mmの穴を合計3-4カ所あけて、鉛筆くらいの太さのテレビカメラとマジックハンドのような手術器具(鉗子:かんし)を使って手術を行います。鉗子には組織をつかむものの他に、電気メスになっているものや、針を持って縫うことのできるものがあり、これらを使い分けて手術をすすめます。開腹手術と比較すると傷がとても小さいので術後の痛みが軽く、また傷が大きい手術ほどなりやすいといわれる術後の癒着(内蔵どうしがくっつきあい、さまざまな症状を引き起こしたり次回の手術がやりにくくなる)も軽いといわれています。腸などの内蔵が空気にさらされる時間が長いほど起きやすい腸閉塞などの術後合併症も少なく、メリットの多い手術です。

手術はどんな病気に行われるのでしょうか?

一般的に卵巣腫瘍や子宮筋腫、子宮内膜症や子宮腺筋症、子宮外妊娠はもちろん、当科では一部の子宮体がんに対しても腹腔鏡手術での治療を行っています。しかしこれらの疾患のすべてが腹腔鏡手術で対応できるわけではなく、子宮や卵巣がとても大きな症例や、さまざまな理由により腹腔鏡手術が困難と考えられる症例に対しては、なによりも患者様のお体の安全を考え、開腹手術を選択する場合もあります。

北海道医療センターの腹腔鏡手術の特色は何ですか?

当科の腹腔鏡手術は、日本婦人科内視鏡学会および日本内視鏡外科学会の技術認定医2名を含む4名の医師が行っています。そもそも開腹手術よりも負担が少ない腹腔鏡手術をさらに低侵襲化し、一般的に3-4カ所の穴をあけるところを2つの穴(お臍に15mmの穴をあける他、右下腹部に5mmの穴をあけます)で手術をする2孔式腹腔鏡手術を行っています。ほとんどの良性疾患(卵巣腫瘍、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮外妊娠など)はこの2孔式腹腔鏡手術で対応しております。大事なことは、穴の数が減ると使用できる器具の数も減ってしまうので、手術の精度を保つことができるのかという問題ですが、当科ではこれまでに行った約300例の2孔式腹腔鏡手術を従来の3-4孔式腹腔鏡手術と統計的に比較検討したところ、従来の方法と同様かそれ以上の手術精度を維持していることが証明されました。このことは日本婦人科内視鏡学会や日本内視鏡外科学会など各種全国学会、および国際学会でも報告しています。