呼吸器科

呼吸器科の特徴

当科では現在常勤医師3名、和歌山県立医科大学呼吸器内科・腫瘍内科からの非常勤医師2名で外来・入院診療を担当しております。
紀南地域唯一の呼吸器専門内科として呼吸器悪性疾患を中心に、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支喘息、肺炎を始めとした呼吸器感染症、間質性肺疾患、胸部異常陰影、慢性咳嗽等幅広い呼吸器疾患に対応しています。
特に近年増加傾向にある肺癌に対しては当科では主に薬物治療を担当しており、最新のエビデンスに基づいた治療および患者さんの状態に合わせた治療を心がけております。肺癌の治療選択肢は多岐に渡るため、胸部・心臓血管外科や放射線科、病理医と適宜連携を行い横断的に治療方針の決定を行っております。また当科は全国的にも肺癌診療の中心である和歌山県立医科大学呼吸器内科・腫瘍内科とも連携を取っております。そのため、患者さんの適格条件や希望も考慮した上で当院を通じて大学病院への臨床試験・治験参加目的の紹介も可能となっております。
種々の呼吸器疾患の診断につきましても経気管支肺生検や気管支肺胞洗浄、超音波気管支鏡を用いた気管支生検やリンパ節生検、CTガイド下生検及び局所・全身麻酔下胸腔鏡検査を適応にあわせて実施しております。
紀南地域の呼吸器診療の中心として地域住民の方々、先生方につきましては呼吸器疾患、症状でお困りの際は是非当科に御相談下さい。
〇呼吸器科紹介動画はこちら

外来診療担当

  • 萩 原(呼吸器内科) 火・金     月・水(予約診)
  • 髙 瀨(呼吸器腫瘍科)水       月・火・木(予約診)
  • 中 口(呼吸器腫瘍科)月・木     火・金(予約診)
  • 柴 木(呼吸器腫瘍科)        木(予約診)

令和4年度症例数

1.主な入院疾患と患者数

肺癌 199名
肺炎 118名
慢性閉塞性肺疾患 13名
間質性肺炎 32名
気胸 8名
気管支内視鏡 220名

主な疾患の説明

肺がん

肺がんとは

呼吸により鼻や口から入った空気は、のどから気管を通り、気管支に入ります。さらに分岐をくり返した気管支は肺胞に至り、肺胞で酸素を取り込み、炭酸ガスを排出します。これら気管支から肺胞に至る部分に発生するがんを肺がんと呼びます。

肺がんの分類(代表的なもの)

腺がん

肺の末梢に発生するがんの代表的なもので、非喫煙者の女性に発見されるがんです。肺がんの約60%を占めます。初期には症状がなかなか現れませんが、比較的早い時期から胸部レントゲン写真に写ってくるので、検診が有用です。

扁平上皮がん

喫煙と関連の深いがんで、男性に多く肺がんの約20%を占めます。肺門(比較的太い気管支の部分)型肺がんの代表的なもので、ごく早期のうちには、レントゲン検査では発見できないのが特徴ですが、早い時期から咳・痰・血痰などの症状が出ます。痰の中にがん細胞がでてくることが多いので、喀痰細胞診が有用です。

小細胞がん

発育が速く、小さなうちから転移を起こしやすいがんです。肺がんの約15%を占めます。喫煙との関連もあり男性に多いがんです。

大細胞がん

肺がんの約5%を占めます。あまりはっきりとした特徴はありません。

肺がんの検査

喀痰細胞診

血痰、持続する咳・痰がある患者さんに行います。通常、3日間連続で検査します。

気管支内視鏡検査

のどに局所麻酔し、内視鏡で気管支を直接観察します。直視下に或いは、エックス線透視下に細胞や組織を採取します。

経皮的肺穿刺法

エックス線透視下或いはCTガイド下に、病巣を確認し皮膚を通して、細胞を採取する針を挿入し注射器で吸引します。ただし、肺に穴を開けることとなるので気胸という肺が虚脱する合併症を起こす可能性がります。

開胸(肺)生検

手術により直接組織をとり診断する方法です。胸腔鏡という技術により、身体への負担が少なくできる場合もあります。当院では、呼吸器外科との連携で進めています

病期(ステージ)診断

肺がん診療を進めていく上で、がん細胞の拡がり具合によって治療が異なるため、原発巣・リンパ節転移・遠隔転移(原発巣以外の肺、脳、骨、肝臓、副腎等への転移)を調べ、Ⅰ期・Ⅱ期・Ⅲ期・Ⅳ期に分類されます。それぞれの病期に応じて、治療法が選択されます。

治療

原則的には病期により決定されますが、肺をはじめ所臓器の機能、一般的な健康状態、合併症、年齢等を総合的に検討し慎重に治療方法を選択します。外科療法、放射線療法、抗がん剤による化学療法、緩和治療などがあります。以下の治療を組み合わせて行う集学的治療が主流です。

外科療法

原則は、腫瘍(原発巣)を含めた肺葉切除と所属リンパ節郭清で当院の呼吸器外科が専門に行います。

放射線治療

エックス線や他の高エネルギー放射線を使って、がん細胞を殺すもので、当院の放射線科が専門に行います。

化学療法

抗がん薬による化学療法で全身治療です。複数の抗がん薬を組み合わせて治療します。当院では腫瘍内科が独立しており、専門医との検討のもと進める場合もあります。

緩和医療

症状緩和を主に診療を進めていくもので、当院では緩和ケアチームが活動しており、適宜診療に加わります。

肺炎

肺炎とは

主に細菌やウイルスが肺に感染して炎症を起こす病気です。また、肺炎はがん・心臓病・脳卒中に続いて、日本人の死亡原因の第4位です。

肺炎はなぜ発症するのか?

病原微生物の多くは、空気と一緒に身体の中へ入ってきます。普通は、人間の身体に備わっているさまざまな防御機能が働いて、これを排除します。しかし、病気やストレスのために、免疫力や抵抗力が落ちると、病原微生物の感染力の方が上回り、肺炎になるのです。

肺炎の種類

感染する環境による分類
  • 市中肺炎:日常生活を送っている人が、病院・診療所の外で感染し、発病した肺炎のこと。かぜやインフルエンザをこじらせた時に起こるケースが多い。
  • 院内肺炎:何らかの病気のために病院に入院してから48時間以降にかかった肺炎のこと。気管内挿管で人工呼吸器をつけていたり、抵抗力が低くなっていたりするとかかる可能性が高い。
病原微生物による分類
  • 細菌性肺炎:肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌などの細菌が原因でおこる。
  • 非定型肺炎:マイコプラズマ、クラミジアなどの一般の細菌とはタイプの異なる微生物などが原因でおこる。
  • ウイルス性肺炎:インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、水痘ウイルスなど様々なウイルスが原因でおこる。
肺炎の典型的な症状

高熱、咳・痰、胸が苦しい(呼吸困難)、胸が痛む(胸痛)などの症状が1週間以上続いた場合は肺炎の疑いがでてきます。但し、高齢者の場合は肺炎になっていてもこれらの症状が出ず、元気がなかったり食欲がないだけのこともあるので、注意が必要です。

肺炎の検査

問診や聴診などの診察の他に、画像検査(レントゲン撮影やCT撮影など)や血液検査を行って、肺炎であるかどうかを診断します。また、病原微生物が何であるかを特定するために、痰や尿を調べることがあります。

肺炎の治療

病原微生物を死滅させる抗菌薬が中心です。最近は優れた経口抗菌薬が用いられるようになったため、患者さんの状態によっては外来で飲み薬を中心とした治療も行えるようになってきました。その他、さまざまな症状をやわらげるために、咳を鎮める鎮咳薬(ちんがいやく)、熱を下げる解熱薬、痰を出しやすくする去痰薬、息苦しさや咳をやわらげる気管支拡張薬などが症状に応じて処方されます。

肺炎にならないための心がけ

体力や抵抗力を落とさないよう、体調管理に気をつけましょう。不規則な生活やストレス、疲労などは、免疫力を低くします。日頃から規則正しい生活を送り、十分な休養と栄養バランスのとれた食事を心がけましょう。また、肺炎の多くは、かぜやインフルエンザにかかったあとに起こります。まずは、かぜやインフルエンザにかからないよう、うがいや手洗い、マスクなどの予防をしっかり行いましょう。インフルエンザワクチンの摂取も有効です。特に、義歯を入れている方は、就寝前には義歯を外して口腔内ともに清潔にしてから寝るようにすることも、肺炎の予防に大切なことです。

トピックス

国立病院機構EBM推進のための大規模臨床研究参加(気管支内視鏡、肺癌)国際共同後期第Ⅱ相試験参加(COPD)国立病院機構ネットワーク共同研究特発性間質性肺炎のガイドラインに向けたエビデンス評価のための研究班参加

スタッフ紹介

呼吸器科医長 萩原 慎   (はぎわら まこと)

出身大学
  • 和歌山県立医科大学
専門領域
  • 呼吸器内科
所属学会
  • 日本内科学会、日本肺癌学会等


呼吸器科医師 髙瀨 衣里  (たかせ えり)

出身大学
  • 和歌山県立医科大学
専門領域
  • 呼吸器内科
所属学会
  • 日本内科学会
  • 日本呼吸器学会
  • 日本肺がん学会
  • 日本呼吸器内視鏡学会


呼吸器科医師 鷲岡 篤志  (わしおか あつし)

出身大学
  • 富山大学医学部医学科
専門領域
  • 呼吸器一般
  • 肺癌診療
所属学会
  • 日本内科学会
  • 呼吸器内科学会
  • 日本肺癌学会
  • 日本臨床腫瘍学会


非常勤 呼吸器科医師 山本 信之 (やまもと のぶゆき)

出身大学
  • 和歌山県立医科大学
専門領域
  • 呼吸器悪性腫瘍科
TEL 0739-26-7050㈹
FAX:0739-24-2055
診療受付時間
午前8時30分~午前11時
休診日
・土曜日・日曜日、祝祭日
・年末年始(12/29〜1/3)
〒646-8558
和歌山県田辺市たきない町27-1
外来のご案内外来のご案内 入院のご案内入院のご案内 診療科のご案内診療科のご案内 交通アクセス交通アクセス

病院のご案内

外来のご案内

入院のご案内

新着情報

医療関係者の方へ

診療科のご案内