消化器科

当科の紹介

南和歌山医療センター消化器科は現在4名の常勤医(内視鏡担当3名)からなります。癌(消化管及び胆膵)や炎症の診断、内視鏡的処置・治療を主に担当し、内視鏡検査・治療は外科4名、救命科1名の医師とも連携・協力しながら診療にあたっています。高い専門性と技術力を保つべく日々研鑽しております。
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当科の内視鏡検査・治療の特徴

①苦痛の少ない内視鏡検査を目指しています。
②積極的に新しい機器を導入し、消化管(口腔~肛門),胆道(胆嚢・胆管),膵臓の病気の
早期発見・正確な診断・治療を目指しています。
③日本で行いうる内視鏡分野の最先端の治療を提供できるよう、日々努力を重ねています。

 苦痛の少ない内視鏡検査とは・・・ 

静脈麻酔を使用しています。

希望される患者様には静脈麻酔(鎮静薬・鎮痛薬)を使用し、出来るだけ苦痛なく検査を受けていただくようにしています。ただし、麻酔を受けられた方は検査後、その日のうちは車などの運転は出来ませんので、ご注意ください。

CO2送気装置を使用しています。

内視鏡検査では空気を用いて胃や大腸を膨らませて内部を観察しています。短時間の検査ならいいのですが、長時間の検査になりやすい大腸検査や上部の内視鏡処置において、この腸を膨らませる空気の存在が検査後の「おなかが張る」「気持ちが悪い」「おなかが痛い」といった症状の原因の一つとなってしまいます。 CO2(二酸化炭素)は空気に比べ生体での吸収力が優れているため、拡張した腸管が速やかに収縮し、膨満感からくる苦痛を緩和してくれます。当院ではCO2送気装置を導入し、主に下部消化管内視鏡検査や治療内視鏡に用い検査後の苦痛の緩和に努めています。

最新の(こだわりの)内視鏡機器の紹介

1.NBI(Narrow Band Imaging)とハイビジョン拡大内視鏡

2010年以降、当院では上部内視鏡、下部内視鏡共に最新のハイビジョン対応拡大内視鏡を積極的に導入しています。この内視鏡はハイビジョンによる鮮明な画像に加え、光学85倍ズームに機能を有し、病変表面の微細な構造を確認することができます。そのためより詳細な病変の診断を可能とし、精度の高い内視鏡治療を提供することができるようになりました。後述する早期胃がん、早期食道がん、早期大腸がんの治療である内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を行うにあたって非常に有用な内視鏡です。

さらに新しい内視鏡診断法として,2011年12月からNBIシステム(Narraw Band Imaging システム:狭帯域光観察)を導入しました。このNBIシステム有用性は(1)食道では通常の内視鏡検査では発見しづらい平坦ながんを発見しやすくなること、(2)拡大内視鏡との併用により、通常光よりもさらに詳細な癌の診断が可能になること、です。当院では普段の検査から、治療の時まで積極的にこのシステムを用いています。

【食道癌に対するNBI観察の実際】

【胃癌診断・治療におけるNBI拡大観察の実際】

2.コンベックス型超音波内視鏡

2015年4月から導入しました。
内視鏡の先端に超音波装置(エコー)がついており、胃や十二指腸から隣接する膵臓や胆管・胆嚢を観察することが可能です。
CTやMRIよりも小さな病変を描出することが可能なため、通常では発見のしづらい膵癌の早期発見、膵炎の診断、胆嚢癌、胆管癌の診断、総胆管結石の診断のため精査の目的にこの検査を行います。
また、この内視鏡からは専用の針(穿刺針)を出すことができるため、エコーで確認しながら病変に対して針を刺すことが可能です。後述する生検や治療でこの内視鏡を使用します。


当院消化器科が力を入れている

1.内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

2010年6月より早期胃癌、食道癌に対する内視鏡的手術である内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を導入しました。従来スネアを用いた内視鏡的粘膜切除術(EMR)が行われていましたが、スネアの大きさの制限から2cmを超える大型の病変は一括切除できませんでした。そのような大型の病変は術後の局所再発が問題となり、従来は外科手術の適応でした。ESDは特殊な電気メスを用いて切除することで、大型の病変でも一括切除が可能となり、詳細な病理検討が可能となりました。その結果従来治療の適応外とされた病変でも手術と同等の治療成績が示されたことから全国的にこの治療法が広がってきました。2011年には大腸の病変に対してもESDを行い,合併症なく治療を遂行することができました。これで現在行いうる全てのESDを当院にて行えるようになりました。
2018年4月の時点で、ESDの年間件数は80件以上、総件数は400件以上となり、和歌山県内でも代表的なESD施行施設となりました。

当院でのESDの実際(胃の場合)

2.胆膵疾患の内視鏡検査・治療

超音波内視鏡(EUS)を用いた処置・治療とERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)

EUS-FNA(超音波内視鏡下穿刺吸引生検)


ンベックス型超音波内視鏡を用います。
普通では組織検査(生検)をすることができない、膵臓腫瘍、消化管外のリンパ節、胃や十二指腸、大腸などの粘膜下腫瘍の生検に使用します。
左図のように内視鏡から専用の穿刺針を出すことができるので、エコーで針が刺さる様子を確認しながら、安全確実に病変の組織を採取することが可能です。
【EUS-FNAの実際】


治療的EUS(interventional EUS)

消化管の外に対して針を刺すことができるという特徴を生かして、現在様々な治療がなされています。

【EUS-CD(超音波内視鏡下嚢胞ドレナージ術)】

超音波内視鏡を用いて、治療が必要な感染性の嚢胞をドレナージする方法です

【EUS-BD(超音波内視鏡下胆道ドレナージ術】
腫瘍や結石などにより胆管閉塞し、胆汁が胆管内に停滞した場合、胆汁の流れを改善する必要があります。従来は(ERCPにて)内視鏡的に行う経乳頭的なドレナージが出来ない場合は、皮膚の上から肝臓内の胆管を刺してドレナージ(PTCD)を行っていました。しかし、PTCDはチューブが皮膚の上から出ているという問題点がありました。当院では2018年4月以降、超音波内視鏡を用いて胃や十二指腸、小腸から肝臓内の胆管を穿刺しドレナージをするという手法を導入しました。※すべての閉塞性黄疸に適応になるわけではありません。

【EUS-GBD (超音波内視鏡下胆嚢ドレナージ術】
胆石の治療は根治的には外科手術による胆嚢摘出術が基本です。手術に耐えることができないなど、何らかの事情で外科手術が出来ない状態の方に対して内視鏡的に治療を行う方法です。胃や十二指腸から超音波内視鏡で胆嚢を穿刺、ステントを留置しドレナージを行う方法です。当院では2017年12月から施行しております。

【EUS-CPN (超音波内視鏡下腹腔神経叢ブロック】
膵臓癌などの癌性の痛みに対して、腹腔動脈近くの痛みを感じる原因となっている神経に対して薬を注入して痛覚をブロックする方法です。

ERCP

胆・膵疾患の診断には特殊な内視鏡を用い、十二指腸の主乳頭と言われる胆管や膵管の出口から胆管や膵管を造影しレントゲン撮影することで検査を行います。この検査の方法をERCP(Endoscopic retrograde cholangiopancreatography=内視鏡的逆行性胆管膵管造影)と言います。現在はMRIの機器による画像で膵管や胆管のある程度の様子はわかるようになりましたが、得られる画像の空間分解能はERCPが優れていること、生検や細胞診などの確定診断に至る検査を行えることなどから、膵癌や胆管癌の診断においては必要な検査となっています。さらにこの検査では、総胆管結石の治療も行うことが出来るため、結石を取り除く治療が必要な場合にもERCPを行います。

総胆管結石治療の実際

3.食道静脈瘤に対する内視鏡治療

当院は肝疾患連携拠点病院であり、肝硬変に伴う食道静脈瘤の患者様も多数おられます。食道静脈瘤は放置すると破裂する危険があり、内視鏡検査で破裂の危険のある静脈瘤と診断された場合速やかに治療を行う必要があります。食道静脈瘤に対しては内視鏡的に静脈瘤の血管を消失させる治療が第1選択となっています。内視鏡的硬化療法(EIS)は静脈瘤の中もしくはその周囲に硬化剤を内視鏡的に注射することにより,内視鏡的結紮療法(EVL)は輪ゴムを用いて静脈瘤自体を結紮することにより,静脈瘤の血流を遮断し静脈瘤の消失をさせる治療です。さらに食道静脈瘤の長期無再発を目指して,地固め療法まで行っています。

4.大腸腫瘍に対する内視鏡治療

現在大腸がんの発生の機序は(1)腺腫(良性腫瘍)から癌(悪性腫瘍)になる)ものと(2)最初から癌細胞が発生するものがあることが分かっています。その中でも頻度が多いのは①の腺腫から癌が発生するタイプです。しかし良性のポリープ全てが癌化するわけではありません。癌化のリスクのあるポリープについてはポリープの大きさや形、表面の粘膜構造から内視鏡的に判断することが出来るようになり、そのようなリスクのあるポリープの切除を行うことで癌を未然に防ぐことが可能となります。大腸ポリープについても積極的に拡大内視鏡観察を行い,内視鏡治療の適否の判断を行っています。

5.緊急内視鏡

救急指定病院として緊急内視鏡の施行件数も増加しています。上部消化管出血に対する内視鏡的止血術、異物誤飲にたいする内視鏡的異物除去術などを積極的に行い良好な成績をおさめています

内視鏡検査・治療件数(消化器科・内科・外科総数)
2013年度 2014年度 2015年度 2016年度 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
EGD
(上部消化管内視鏡検査)
1612 1711 1789 1933 2045 2162 2410 2001 2664 2492
CF
(下部消化管内視鏡検査)
577 665 661 737 724 773 892 768 917 1010
EUS(超音波内視鏡検査)
細径プローブ
53 94 108 166 123 141 166 150 197 165
EUS(超音波内視鏡検査)
コンベックス型専用機
0 0 34 51 121 198 249 225 271 272
EUS-FNA
(超音波内視鏡下穿刺吸引生検)
0 0 3 7 11 11 14 30 30 27
Interventional EUS 0 0 0 1 2 16 11 15 24 35
ESD 総件数
(内視鏡的粘膜下層剥離術)
60 37 47 63 86 102 96 80 131 97
食道ESD 7 3 7 12 11 6 9 6 16 10
胃ESD 38 28 25 36 53 64 58 50 75 53
大腸ESD 15 6 15 15 22 32 29 24 40 34
内視鏡的大腸ポリープ切除術 119 123 135 135 173 182 251 252 297 295
内視鏡的食道静脈治療
(EIS、EVL)
19 31 34 39 28 38 37 22 43 25
診断的ERCP 12 10 18 19 4 15 10 10 8 19
治療的ERCP 100 121 132 98 108 148 176 263 257 294
内視鏡的止血術 28 35 34 59 78 63 65 87 94 93
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スタッフ紹介

診察日については外来診療医表でご確認下さい。

消化器科医長  木下 幾晴  (きのした いくはる)

出身大学
  • 和歌山県立医科大学卒
専門領域
  • 消化器内視鏡 一般消化器外科
専門医・認定医
  • 日本外科学会専門医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医・指導医・近畿支部評議員・全国学術評議員
  • 日本消化器病学会専門医・近畿支部評議員
  • 日本消化管学会胃腸科専門医・指導医
  • 日本門脈圧亢進症学会評議員
  • 日本がん治療認定医
所属学会
  • 日本外科学会
  • 日本消化器外科学会
  • 日本消化器病学会
  • 日本消化管学会
  • 日本消化器内視鏡学会など


消化器科医師 木下 真樹子  (きのした まきこ)

出身大学
  • 愛媛大学医学部卒
専門領域
  • 消化器内視鏡 一般消化器内科
専門医・認定医
  • 日本内科学会認定内科医・指導医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医・指導医・近畿支部評議員・全国学術評議員
  • 日本消化器病学会専門医・近畿支部評議員
  • 日本消化管学会胃腸科専門医・指導医
  • 日本医師会認定産業医
  • 日本がん治療認定医
所属学会
  • 日本内科学会
  • 日本消化器病学会
  • 日本消化管学会
  • 日本消化器内視鏡学会など


消化器科医師 森下 有紗  (もりした ありさ)

出身大学
  • 和歌山県立医科大学卒
専門領域
  • 消化器内科
所属学会
  • 日本内科学会
  • 日本消化器病学会
  • 日本内視鏡学会


消化器科医師 森下 広睦  (もりした ひろむ)

出身大学
  • 和歌山県立医科大学卒
専門領域
  • 消化器内科
所属学会
  • 日本内科学会
  • 日本消化器病学会
  • 日本内視鏡学会


消化器科医師 山田 晃佑  (やまだ こうすけ)

出身大学
  • 和歌山県立医科大学卒
専門領域
  • 消化器内科
所属学会
  • 日本内科学会
  • 日本消化器病学会
  • 日本消化器内視鏡学会
  • 日本肝臓学会
  • 日本超音波医学会


非常勤 消化器科医師 今井 元  (いまい はじめ)

出身大学
  • 近畿大学医学部卒
専門領域
  • 胆膵領域・EUS(超音波内視鏡)・ERCP
専門医・認定医
  • 日本内科学会認定医
所属学会
  • 日本内科学会
  • 日本消化器内視鏡学会
  • 日本消化器病学会
  • 日本胆道学会
  • 日本膵臓学会
TEL 0739-26-7050㈹
FAX:0739-24-2055
診療受付時間
午前8時30分~午前11時
休診日
・土曜日・日曜日、祝祭日
・年末年始(12/29〜1/3)
〒646-8558
和歌山県田辺市たきない町27-1
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