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国立病院機構 東京病院

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外来診療予約センター

Tel.042-491-2181

消化器外科

消化器の病気と手術

消化器センターには、最新の薬物治療や内視鏡治療などを行う消化器内科と、手術治療を専門とする消化器外科の2つの部門がありますが、治療方法の進歩に伴って、手術をしないでも治せる消化器の病気が増えています。
例えば、胆汁の流れ道である胆管に石ができてしまった場合、従来は外科手術で胆管を切開して石を摘出していましたが、現在では消化器内科で行う内視鏡治療により、手術を行わずに石を摘出できる場合がほとんどです。また胃癌や大腸癌などでも、癌細胞が粘膜の近くにとどまっている早期の場合には、やはり消化器内科で行う内視鏡治療で完治できるようになりました。
一方現在でもなお、手術をしないと治せない病気もたくさんあります。例えば、胆汁を貯めておく袋である胆嚢にできた石が、痛みの発作や炎症を繰り返す場合には、外科手術で胆嚢を摘出するのが最適な治療法です。また大腸癌が肝臓に転移してしまった場合などでは、小さなものは抗癌剤や放射線治療、ラジオ波治療などの組み合わせで完治することもありますが、大きなものでは外科手術で切除をする必要があります。

大腸癌の手術の3年後に発見された、肝臓への転移。切除手術を行なった。

大腸癌の手術の3年後に発見された、肝臓への転移。切除手術を行なった。

肝転移の切除手術後15年が経過。残った肝臓を含め、全身に新たな再発・転移を認めず、完治したと判断される。

肝転移の切除手術後15年が経過。残った肝臓を含め、全身に新たな再発・転移を認めず、完治したと判断される。

手術の安全性

手術を受けるかどうかの決断をしなければならない時に、最も心配なのは、ご自身やご家族が受ける予定の手術には、果たしてどのくらいの危険を伴うのか、という事だと思います。例えば、ご高齢の方や、肺や心臓、脳神経、肝臓などに持病のある方では、大きな手術の後に、呼吸不全や心不全、脳神経疾患の悪化、肝不全など、様々な合併症を併発するリスクも皆無ではありません。当科では、このようなリスクを少しでも少なくするために、充実したスタッフを擁する麻酔科や呼吸器内科、循環器内科、脳神経内科など各診療科と緊密な連携を取りながら、手術前のリスク評価や手術中の全身管理、手術後の集中治療を行い、また感染対策チームや栄養サポートチーム、歯科、リハビリテーションセンター、薬剤科、臨床検査科など、病院全体の様々な職種の専門家が、手術の安全性を支えています。
また手術を行うと決まった場合には、手術後の合併症を防止するために、可能な限りの予防対策を行ないます。例えば、肝臓の広い範囲を切除する必要がある場合などでは、手術後に肝不全に陥ってしまう危険を回避するために、あらかじめ切除する側の肝臓に行く血管を塞いでおいて、残る肝臓の大きさや機能が高まってから切除手術を行うなどの対策を行ないます。

肝臓に浸潤した胆嚢癌。

肝臓に浸潤した胆嚢癌。

手術シミュレーションの結果、切除手術をした場合、残る肝臓は元の大きさの36.7%となり、手術後に肝不全を合併するリスクがあると判定された。

手術シミュレーションの結果、切除手術をした場合、残る肝臓は元の大きさの36.7%となり、手術後に肝不全を合併するリスクがあると判定された。

動画:切除する側の血管(門脈)の中に、塞栓物質を注入。

注入された塞栓物質。4週間後、残せる肝臓の割合が46.2%まで増加したため、肝不全を合併するリスクは充分に低くなったと判断し、切除手術を実施した。1年後、残った肝臓は、元の大きさの92.9%まで回復した。

注入された塞栓物質。4週間後、残せる肝臓の割合が46.2%まで増加したため、肝不全を合併するリスクは充分に低くなったと判断し、切除手術を実施した。1年後、残った肝臓は、元の大きさの92.9%まで回復した。

手術の方法

手術を受けるかどうかの決断をしなければならない時には、安全性以外にも、創はどのくらいの大きさになるのか、麻酔から覚めたらどれだけ痛いのか、入院期間はどのくらいになるのか、退院したらすぐに手術の前と同じような生活ができるのか、など、たくさんの心配があると思います。近年、直径5mmから1cmくらいの創からお腹の中に、腹腔鏡と呼ばれる内視鏡や細い手術器具を入れて行う手術が普及してきています。この腹腔鏡手術と従来の手術にはそれぞれ一長一短がありますが、創が小さいために、手術直後の痛みや時間が経ってからのつっぱり感が少ない、創が目立ちにくい、創への内臓の癒着が少ない、体力の回復が早いなど、腹腔鏡手術のメリットが大きいと判断された場合には、積極的にこちらをお勧めしています。

1年前に受けた開腹手術の際に生じた癒着により、ひも状の組織が生じてブリッジを形成、この中に小腸が入り込んで、腸閉塞をきたしている。

1年前に受けた開腹手術の際に生じた癒着により、ひも状の組織が生じてブリッジを形成、この中に小腸が入り込んで、腸閉塞をきたしている。

腹腔鏡で、3本のひも状の組織が小腸を締め付けている事を確認。

腹腔鏡で、3本のひも状の組織が小腸を締め付けている事を確認。

3本のひも状の組織を切離、腸閉塞が解除された。

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