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国立病院総合医学会





外 科

低侵襲手術(腹腔鏡手術)のご案内

 ●単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術
 ●腹腔鏡下肝切除術について

単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術

良性の胆嚢疾患(胆石症・胆嚢炎・胆のうポリープ・胆嚢腺筋症など)の手術に、当院では主に腹腔鏡を用いた胆嚢摘出術を行ってきました(腹腔鏡下胆嚢摘出術と言います)。

腹腔鏡下胆嚢摘出術では臍を1.2cmほど切開し、直径1cmのカメラと炭酸ガスが注入できる筒を腹腔内(お腹の中)に入れ、この筒からカメラを通して腹腔内を観察します。また、腹腔内に炭酸ガスを注入して腸と腹腔の壁にスペースを作ることにより、腹腔内での視野を確保でき、開腹せずに手術を行うことが可能となります。

従来から行っている方法では、臍の傷以外に、みぞおちに1.2cm、右上腹部肋骨の下に5mm、右脇腹肋骨の下に5mmの、計3ヶ所を切開します。これらの傷から手術操作用の筒を入れて手術を行ってきました【図】。

当院で新たに導入した単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術では、臍の傷だけで腹腔内のカメラによる観察・炭酸ガスの注入・手術操作全てを行うため、臍以外の傷を必要とせずに胆嚢を摘出することが出来ます。そのため臍の傷は1.5cmと通常より0.3cmほど大きくはなりますが、抜糸の必要がない体内に吸収される糸で皮膚を縫合するため傷はほとんど目立ちません(図・写真)。


ただし、従来の方法より技術的に難易度が高いため、全ての患者さんにこの方法が適応できるわけではありません。
○胆嚢炎が高度な患者さん
○腹腔内の癒着が高度な患者さん
に関しては、従来の方法をとらせてもらう場合があります。

詳細に関しては当科で金曜日に外来をしている成田に、外来を通じて問い合わせいただきますようお願いします。
(075-641-9161(代表)に電話し、「外科外来」にお問い合わせください。)



腹腔鏡下肝切除術について

はじめに ~肝臓豆知識~



以上のことから、肝臓の手術は必然的に難易度の高いものになります。
当院は、日本肝胆膵外科学会が、2008年より始めた高度技能専門医制度で認められた肝胆膵外科専門A認定施設であり、同学会が認定した資格をもつ肝胆膵外科高度技能専門医・指導医2名により肝臓手術を行っています。



肝臓手術の変遷

~傷は大きく、痛くて当たり前の手術から傷は小さく、痛みの少ない手術へ~

上記のごとく肝臓は血液の塊の臓器であり、解剖学的にも体内の奥深いところにあることから、これまでは
「手術は大きく切って安全に行うべきである」
という考え方で手術がなされてきました。そのため、必然的に傷は大きくなり、術後の痛みはあっても仕方がないという考え方が根付いていました。

その一方で、2010年4月に保険診療報酬の改定がなされ、腹腔鏡での肝臓手術が保険適応になりました。当初は肝部分切除(肝臓の一部分のみを摘出する手術)と外側区域切除のみに保険適応がありましたが、2016年4月にはさらに適応は拡大し、 厚生労働大臣が定める施設基準を満たす施設のみ、胆道再建を伴わない全ての肝切除に腹腔鏡による手術が適応となっています。



腹腔鏡手術とは?
傷が小さく患者さんに負担の少ない腹腔鏡手術とは、おなかに1cm程度の切開を数カ所おき、そこから器械を通す筒を入れて炭酸ガスをおなかの中に充満させておなかを膨らまし、テレビモニターを見ながら手術を行う方法です。傷が小さいこと、腹腔内臓器が空気に触れないことから患者さんへの侵襲が少ないため、術後の回復が早く、癒着が少ない手術として胆嚢・胃・大腸などの消化管手術ではポピュラーなものとなっています。


下のグラフは当科における肝臓手術の内訳を表しています。当院では2010年6月から腹腔鏡下肝切除術を開始していますが、腹腔鏡下肝切除術は技術的に難易度が高くなるため、安全性を担保すべく適応を厳格に設定しているため2014年までの腹腔鏡下手術が占める割合はそれほど多くありませんでした。2015年からは手技が安定したため件数は増加し、2017年7月現在までに68例に腹腔鏡下肝切除術を施行しています。

手術件数



腹腔鏡下肝切除手術は安全?

ニュースで一時期話題になったこともあり、腹腔鏡手術は安全なのか疑問をお持ちの方もたくさんいらっしゃると思われます。
当科では、適応を厳格にし、慎重に手術を行うことにより安全に手術を行っています。
下の表は当科における腹腔鏡下肝切除術の術後早期成績で、同時期に施行した開腹肝切除術の術後合併症と比較しました。
手術内容や患者さんの状況が異なるため単純な比較はできませんが、出血量、合併症発症率・入院期間とも明らかに腹腔鏡下肝切除で低いものになっています。腹腔鏡手術症例では術中輸血を要した患者さんはいませんし、もちろん術後死亡例はありません。



 	腹腔鏡下肝切除手術



その一方で、全ての肝臓手術に腹腔鏡手術が適応する、とは考えていませんし、患者さんの状態・肝臓の状態・腫瘍の位置などによっては腹腔鏡より開腹手術が安全な場合があります。
われわれは、腹腔鏡手術は適応を選んで慎重に行うことにより、患者さんに多大なメリットをもたらすものと考えています。肝臓手術を受けられる方は是非ご相談ください。

相談窓口は外科で水曜日外来担当の猪飼診療科長もしくは金曜日外来担当の成田医師です。
ご連絡は(075-641-9161(代表)に電話し、「外科外来」を通じて問い合わせいただきますようお願いします。



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