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国立病院総合医学会





外 科

肛門疾患

肛門部病変について

肛門部周囲のかゆみ、痛み、腫れ、出血および排便困難などの症状に悩んでいる方は多いと思われます。しかし、症状が一時的なことが多く、また恥ずかしい部位でもあって相談しにくく、さらには受診すると手術を勧められるかもという不安感もあり、そのまま放置することがよくあります。受診の際は相当な覚悟で来る人が多く、症状もかなりすすんでいるように思います。
肛門部の病変には、痔核、痔瘻を筆頭に、肛門周囲膿瘍、裂肛、肛門狭窄、肛門掻痒症、直腸脱そして悪性疾患等あり、充分注意が必要です。

以下、痔核、痔瘻等を中心に説明します。

痔核

肛門の痔静脈の怒張と増生が原因とされていますが、最近、肛門の粘膜下の支持組織の脆弱化により起きるものともいわれています。便秘、下痢などの排便障害を繰り返しているうちに痔核ができ、排便時に出血を引き起こします。出血は排便前後の鮮血が特徴です。ひどくなると肛門部に脱出して疼痛をもたらします。下痢のあと突然、肛門部の小豆大のしこりと疼痛に見舞われることがありますが、痔静脈の血栓による血栓性外痔核が生じたものと思われます。そのときは激痛が出現しますが、約 1 週間で症状は軽快します。痔核がいつも脱出した状態は脱肛といいまして、便の処置がうまくいかず、パンツを汚す結果となり掻痒症を伴います。

一般に、痔核は排便習慣を規則正しくして、排便時間も短くすれば、予防は可能と考えられます。必要であれば坐薬を投与するなど保存的治療を行いつつ、出血・疼痛等の症状がひどくなるようであれば手術治療を考えます。

●手術

痔核の結紮切除術が一般的で、切除創を開放にするか、半閉鎖にするか、閉鎖にするかの違いがあります。
当院では半閉鎖が主流で症例によって開放にしています。
いずれにしても術後の出血・疼痛のないように考え、後に肛門狭窄を起こさないように注意しています。
麻酔は腰椎麻酔で下半身のみ麻酔します。入院期間は 4 ‐ 5 日程度です。
程度の軽い内痔核に対しては、外来でゴム輪結紮法もとりいれています。
あまり我慢しないでトイレの恐怖から開放されましょう。

痔瘻・肛門周囲膿瘍

肛門周囲膿瘍は肛門腺からの感染が主な原因と言われています。その拡がり方より肛門周囲の色々な場所に出現します。場所によって症状が異なりますが、肛門部の不快感から鈍痛、そして肛門部の腫脹と発赤を伴う激痛があり、発熱も出現します。膿瘍が自壊すると同時に症状が軽減し、そのまま一時的におさまって次に痔瘻となることが一般的です。
肛門周囲膿瘍は痛みの症状が強いので緊急で受診される人が多く、そのときにはしっかりした切開排膿と今後の痔瘻形成も考え、症例によって腰椎麻酔下で手術しています。数日の入院期間で済み、処置の際の疼痛もなく、患者さんには喜ばれています。

先ほども説明したように、肛門周囲膿瘍が排膿して後、多くは痔瘻形成となります。できる部位によっては治療が困難になることがあるので、最初の処置が大事と思われます。

痔瘻とは膿汁・分泌物の通る路で、そのままではほとんどよくなりません。時には、再度膿瘍をつくり 疼痛・腫脹をきたし 別な路を作ることがあります。痔瘻は手術が必要と考えています。手術方法にも色々ありまして、創を完全に解放にする方法、瘻孔をくりぬく方法、また瘻孔に紐を通しゆっくり治す方法などあります。症状に応じて方法を選択しています。
肛門周囲膿瘍も痔瘻も入院期間は 4 ‐ 5 日程度です。
肛門周囲膿瘍の時に、しっかりした治療をすることが大事と思います。我慢しないですぐに受診してください。

直腸脱

一般に高齢な方に多く、肛門括約筋 肛門挙筋の脆弱と直腸周囲の支持組織の衰えにて肛門より直腸が飜転して脱出してくる状態です。排便時によく起きるのですが、ひどくなるといつも脱出した状態で、周囲の皮膚がただれ不快感が続きます。

●手術

会陰部操作で肛門部を狭くして、かつ腸を縫い縮める手術方法をとりますが、ひどい方にはなかなか困難な場合があります。 当科では、そのような症例に対し全身麻酔下で腹腔鏡下直腸吊り上げ術を行っています。低侵襲な術式ですので余程の合併症がない限り手術は可能です。

以上、その他にも色々な疾患がありますが、それぞれ十分検討して処置しています。一般的に肛門周囲膿瘍、血栓性外痔核、痔核嵌頓、そして多量の肛門出血等以外はあまり急を要しないため受診が遅れることが多く、症状が強くなって受診した際には、実は悪性疾患であって手遅れになっているなどと言うこともありますので、肛門部の症状があれば気軽に相談にきてください。

 

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