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国立病院総合医学会





外 科

胃がん

はじめに

胃がん”とは、どんな病気ですか?

  • 胃がんになる人は年々減ってきていますが、まだまだ患者さんの多い病気です。
  • 胃の壁の細胞(ご飯が通る内腔側)が、悪性化(浸潤したり、転移したり)する病気です。
  • 胃潰瘍と胃がんは直接の関係はありません。
  • 病気の進み具合で差はありますが、手術を受けた方の7割以上が治る病気です。
  • 症状と病気の進み具合は関係しません。痛みが強くても、早期の方もおられれば、
    症状が無くて病気が進んでから見つかる方もおられます。
“胃がん”の診断は?
  • 内視鏡(胃カメラ)の検査と、生検(細胞を一部取って顕微鏡で調べます)を行うことが、 一番の基本の検査になります。
その他に、
  • 胃透視(バリウムの検査)
  • CT(身体を輪切りにするX線の検査)
  • エコー(超音波検査)
  • 採血
    これらの検査から、“胃がん”がどの程度の進み具合かを詳しく調べます。
胃がん”の治療方針…その前に
  • 治療については、日本胃癌学会から基本的な方針が発表されており、一般の方に向けても、『胃癌治療ガイドライン(一般用)』という本が出版されています。
  • 完全に治すには、がん細胞を残さず切除することが大原則となります。
  • 治療方針は、胃がんの進み具合に応じて変わってきますので、まず病気がどの程度のものかをはっきりさせる必要があります。
“胃がん”の治療方針…病気の進み具合
  • 胃がんの進行度は、次の3つの要素で決まります。
    1. 癌の深さ(どこまで潜って育っているか)

    2. リンパ節に転移があるか
      リンパ節とは、胃の周りでがん細胞が広がるのを防ぐ交番のような働きをしているところです。
      転移とは、交番(リンパ節)ががん細胞に乗っ取られた状態です。
      最初にがん細胞がやってくる交番(1群目)から、2群目、3群目と、広がる順番が決まっています。

    3. 遠くの場所(他臓器)に転移がある
  • 手術前の検査から、3つの要素について、記号と数値の組み合わせで評価をします。
    1. 癌の深さは内視鏡検査・バリウムの検査等の結果より、
      T1…(粘膜と粘膜の下の層)
      T2…(筋肉の層と筋肉の外側の層)
      T3…(胃の壁を包む膜まで)
      T4…(胃の周りに食い込んでいる)
      以上の、4つの段階に分けられます。
    2. リンパ節への転移はCT等の検査の結果より
      N0…(リンパ節への転移が無い)
      N1…(1段階目のリンパ節に転移が疑われる)
      N2…(2段階目のリンパ節に転移が疑われる)
      N3…(3段階目のリンパ節に転移が疑われる)
    3. 遠くの場所への転移はCT・腹腔鏡等の検査の結果より
      M0…(遠くの場所への転移は無い)
      M1…(遠くの場所への転移が有る)
      手術前に腹腔鏡検査を行った場合には次のことが分かります。
      Cy0, P0…(胃からこぼれたがん細胞は無い)
      Cy1, P1…(胃からこぼれたがん細胞がお腹の中に広がっている:腹膜転移)

      以上の3つの要素から病気の進み具合を決定します。

  • がんのステージは、I期、II期、IIIA期、IIIB期、IV期 に分けられます。

※Cy, P(お腹にがん細胞がこぼれているかどうか)は、手術前に腹腔鏡検査を行っていない時は、手術中に分かります。

“胃がん”の治療方針…学会のガイドライン
  • 病気の進み具合に応じた治療方法があります。


  • 放射線治療は日本ではあまり行われていません。
  • 抗がん剤には、色々な種類があり、最近はかなり効果も認められています。
  • しかし、抗がん剤だけでは、がんは無くなりません。
  • 基本的には、手術でがんを取り除くことが必要になります。
  • 病期によっては、術前に抗がん剤治療をおこなって、病気を小さくしてから手術を行う方法も試みられています。
  • IV期の胃がんに対しては、症状や体力等と相談し、無理な治療をするよりはがんと共存して、元気な時間を長く作っていく治療が基本となります。
“胃がん”の治療方針…当院では
  • ガイドラインに従った治療を基本とし、患者さんの意見を尊重して方針を決定しています。
  • 当院での年間胃がん手術症例数は約100例です。
  • 腹腔鏡手術も積極的に導入しています。
  • 術前化学療法も臨床試験に参加し、豊富な実施経験があります。
  • また199 年からの3000例を超える胃がん症例のデータがあり、治療方針の参考にしています。
  • 当院での、病期別(stage別)の5年生存率は以下の通りです。

 

当院での“胃がん”の手術治療の流れ
  • 手術まで
    ――術前の検査により治療方針を決定します。術前化学療法を行うこともあります。
  • 手術前日
    ――入院。
  • 手術当日
    ――定型手術では、4-5時間の手術となります。
  • 手術翌日
    ――硬膜外麻酔を使い、痛みを除きながら離床を始めます。
  • 術後4日目
    ――順調なら経口摂取が開始となります。
  • 1週間から10日
    ――病理検査(顕微鏡の検査)の結果が出ます。場合により、術後の予防的な化学療法を相談することもあります。
  • 2週間程度
    ――退院となります。
  • 外来通院
    ――かかりつけ医の先生と協力して、5-10年は経過を観察させていただきます。

 

“胃がん”の臨床試験

日常の臨床治療の中で、よりよい治療法を明らかにしていくために様々な臨床試験を行っています。

  • 京都消化器癌化学療法研究グループに参加し、
    ・進行・再発胃癌に対するS-1とPaclitaxel併用化学療法の第II層臨床試験
  • 京都大学消化管外科と共同で、
    ・ StageIII胃癌に対する術前TS-1/CDDP併用化学療法のランダム化比較試験
    ・ 進行胃癌に対する術前TS-I/CDDP 併用化学療法の第 II 相臨床試験
    などを行っています。
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