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サンデー健康応援講座


加齢と目の健康


眼科医長 小林 博(こばやし ひろし)


加齢に伴い、眼には様々の疾病が起こり、視力障害します。


まず白内障です。カメラに例えるとレンズに当たる水晶体が混濁し、眼内に十分な光が入らなくなり、視力が低下する疾患です。治療法としては、手術しかないのが現状です。本邦では1年間に100万件の手術が施行されています。手術内容は、濁った水晶体の中身を取り除き、代わりとなる眼内レンズを移植します。以前は一つの焦点しかない単焦点レンズでしたが、最近、開発された多焦点レンズを移植すると眼鏡をかけずに遠くも近くも見やすくなります。

次に、緑内障は、失明に至る最多の疾患で、40歳以上の約6%が緑内障に罹患しており、高齢になる程、罹患率が上昇します。眼球の中の圧力である眼圧が上昇すると、視野が徐々に欠けていき、最終的には失明に至ります。日本では、眼圧がそれほど高くはないのに、視神経が損傷する正常眼圧緑内障が97%を占めています。緑内障では失われた神経は回復できないため、早期発見が重要です。

加齢黄斑変性は、カメラではフィルムに例えられる網膜の下に新生血管の膜が生じ、出血をきたす疾患です。物を見る中心部に発症するために、物が歪んで見えたり、中心が暗く見えます。進行すると視力が著しく低下します。前駆症状を有する患者さんには、禁煙を含む日常生活の改善やサプリメントの服用で発症を予防することが重要です。治療は、レーザー、手術と色々試されてきました。

最近、血管新生を来す原因である血管内皮増殖因子を阻害する薬物が開発され、その投与によって視力が改善することが報告されており、定期的な検査と治療を続けることで、症状の進行と視力の低下を防ぐことが可能になりました。
しかし、滲出型加齢黄斑変性失明に至る進行性疾患であり、継続的な治療により、滲出の再発を予防し滲出変化の消失を維持することが重要となります。

いずれの疾患においても、早期発見良好な予後につながるので、わずかな異変でもお近くの眼科を受診していただくのが肝要です。












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