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国立病院機構 東京病院

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外来診療予約センター

Tel.042-491-2181

院長挨拶

東京病院 院長 松井 弘稔

 昨年度(2022年度)の院長あいさつで、「どういう方がどういう目的で、このページをご覧になるのか、まだ今のところ私にもよくわかっていません。」と書いたところ、当院に通っている患者さんからは、「自分の通う病院の運営方針は知りたいでしょう」といったご意見をいただき、まだ当院を受診したことのない方からは、「自分に合った病院を探すうえで、院長あいさつは必ずチェックします」と教えていただきました。就職活動中の学生や当院の職員も読んでくれているようでした。
 そこで、東京病院が目指す方向について、昨年から少し追加・修正を加えて紹介します。

(1)日本の呼吸器センターであること
呼吸器疾患の患者さんの入院数を公開されているデータに基づいて日本全国の病院と比較して調べることができます。患者数という目に見える数字という形の一番を目指すのはもちろんですが、首都圏のお医者さんからも患者さんやそのご家族からも「東京病院に行っていれば間違いないね」「肺の病気で困ったら、東京病院に行けばいいね」という感覚で信頼してもらえるようにすることが理想形です。また、将来の呼吸器専門医を目指す医師の研修病院としての人気も維持し続けていきたいと思います。

(2)地域の病院として頼りになること
どうすれば、この地域に住んでいる人やこの地域で診療してる人から信頼されるのかと考えれば、総合病院を作って救急医療もやってすべての診療科に優秀な先生を連れてきて、最新の医療機器を購入したらいいんですが、それは非現実的です。当院が理想の病院である必要はなくて、この地域の医療施設すべてが有機的につながっていて、この地域の人が医療に関しては困っていないことが重要です。そういう地域の中で、当院だけで理想の病院を作るのではなく、役割を分担しながら、この地域の人がこの地域に住んでいてよかったと思える地域であること、その中で、東京病院は頼りになるといわれることが理想の形です。

(3)他の病院にあまりない機能をもち補完すること
当院は一般病院でありながら、複合機能として、緩和ケア病棟、結核病棟、コロナ病棟、神経難病中心の障害者病棟、回復期リハビリ病棟を運営しています。肺がんを中心にがんの診断、治療の専門病院でありながら、緩和ケア病棟も持つことは大事にしていきたいと思います。がんと分かったら、がん専門病院で見てもらったほうが安心と考えるかもしれません。でも、がん専門病院で診るのは治療のできるがん中心ですから、がん難民がでたりします。家から近い地域の病院の良さは守って、治すことのできない病気であっても、この地域で療養することの役割も担っていたいと思いますし、国立病院としてのセーフティーネット系医療の役割も果たしたいと思います。

(4)慌ただしい感じがなく、優しくいい雰囲気を持っていること
病院機能の理想について挙げてきましたが、病院の雰囲気も大事にしたいと思っています。病院という機能上、患者さんも職員もなかなか楽しく過ごしてばかりはいられません。つらいことがあって、うまくいかないこともある中で、お互いが相手を思いやる。医療職が患者さんにやさしいのはもちろんですが、患者さんが職員にやさしいのもこの病院の特徴であり、私の理想形です。外来の時には多くの患者さんから励ましの言葉をいただきます。

 この理想形に現実の東京病院を近づけることは、もちろん院長だけではできません。当院の職員には、プロフェッショナルとして、目の前の仕事は期待以上にこなしながらも、現状に満足することなく、世の中の変化への対応や、自分の能力の向上など、コロナ後に当院に対して期待される医療の変化に適応してもらいたいと思います。そしてどういう波が来たとしても、職員が話し合い、協力しながら乗り切っていきましょう。その際に、仕事がはかどっていない同僚や後輩が周囲にいないか気を配ったり、その人を助けたりすることにも、自分の能力を発揮してください。職場全体のパフォーマンスが上がるように、多くの職員がストレスの少ない状況で働けるように、だれか疲弊していないか、サポートを得られていない人はいないか、という視点を持って周りに気を配るようお願いします。

 当院の職員のみでなく、東京病院に期待してくださっている、患者さんや医療関係者の方、さらには、今は当院とは関係のない、でも将来は関係するかもしれない、患者さんや医療関係者の方も含めて、皆さんの力を合わせて、理想の東京病院を作っていきたいと思います。

2023年(令和5年)4月

国立病院機構東京病院院長 松井 弘稔
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