予防接種とは
- 私たちは、日常生活のなかで、様々な細菌やウイルスなどと共存していますが、それぞれに対する抵抗力がないと病気にかかります。
- 予防接種とは、弱めたり不活化させた(殺した)病原体を接種することによって、病気にならないように、または症状が軽くなるようにした方法です。
同時接種
- 子どもの健康を守るためには、適切な時期に必要な回数の予防接種をすることが大切です。
- 乳児期に接種できる予防接種の種類が増加し、適切な時期に必要な回数を接種するためには、少なくとも2種類以上の同時接種が必要です。
- 同時接種が安全であることは、世界の何億人以上の子どもたちが受けてきていることからも、世界の常識であり、日本でも確認されています。接種年齢になっていれば、何本でも受けられます。アメリカでは、生後2か月の時は6種類も受けています。
三重県小児科医会が提案する予防接種スケジュール(2015年3月現在)
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接種対象年齢 |
2か月 |
3か月 |
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5か月 |
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1歳 |
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1歳半 |
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3歳 |
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4歳 |
5歳 |
6歳 |
ロタ |
ロタリックス |
生後6~24週未満 |
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ロタテック |
生後6~32週未満 |
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ヒブ |
生後2か月~ 5歳未満 |
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肺炎球菌 |
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四種混合※ |
生後3か月~ 7歳6か月未満 |
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BCG |
出生~1歳未満 |
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MR(麻疹・風疹) |
1歳児、年長児 |
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水痘 |
1歳~ |
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おたふく (ムンプス) |
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日本脳炎 |
3歳~ |
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B型 肝炎 |
推奨者 |
生後2か月~ |
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● |
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通常者 |
1歳~ |
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● |
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※四種混合・・・ジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオ(小児麻痺)
ロタリックス・・・2回経口接種、ロタテック・・・3回経口接種
B型肝炎ワクチン推奨者・・・母親以外にも父親などの同居者にB型肝炎ウイルスのキャリアがいる場合
B型肝炎ワクチン通常者・・・推奨者以外で接種を希望する場合
定期接種のワクチンは、接種対象年齢以外でも、任意接種としての接種は可能です。
ロタウイルスによる胃腸炎
- 病初期に、頻回の嘔吐と発熱をきたすことが多く、それと前後して水様性下痢が出現し、およそ1週間の経過で軽快します。
- 胃腸炎の原因になるウイルスはたくさんありますが、もっとも重症になりやすいのがロタウイルスによる胃腸炎です。
- 稀ですが、脳症を合併することがあります。
ヒブによる髄膜炎
- ヒブとは、ヘモフィルス・インフルエンザ菌b型(Hib)という細菌のことです。一般的に「インフルエンザ」という時は、インフルエンザウイルスを指し、ヒブとは別の病原体です。
- ヒブが脳を包む髄膜に炎症を起こすと、細菌性髄膜炎を引き起こします。発熱、ぐったりする、けいれん、意識がもうろうとする、などの症状が出てきます。
- ヒブによる髄膜炎を起こすと、てんかん、難聴、発育障害などの後遺症が約30%に起こります。致死率は2~5%です。
肺炎球菌による感染症
- 肺炎球菌による代表的な感染症に、肺炎、中耳炎、細菌性髄膜炎があります。
- 肺炎球菌にはたくさんのタイプ(血清型)があるので、予防接種で全ての肺炎球菌を予防できるわけではありません。
- 肺炎球菌による髄膜炎を発症すると、後遺症が約30%に起こり、致死率は約10%です。
ジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオ
ジフテリア
- ジフテリアは、発熱・咽頭痛・嚥下痛などをきたす病気ですが、予防接種が浸透した現在、国内での感染はほとんどありません。
- 開発途上国や欧米諸国では、時々みられます。
- 致死率は3~10%で、心筋炎や神経障害を起こすことがあります。
百日咳
- 名前の通り、長い間、咳が続きます。大人は咳で苦しくても死亡することはありませんが、赤ちゃんがかかった場合、重症になることがあります。
- 生後6か月未満の赤ちゃんの致死率は、約1%です。
- アメリカでも流行しており、日本でも昔に比べれば減りましたが、今でも多くのヒトが感染します。
破傷風
- 破傷風菌は世界中の土壌の至る所に存在し、日本でも毎年死亡者が報告されています。
- 症状は、アゴや首の筋肉が硬くなることが多く、筋肉のけいれんが起こります。重症例は呼吸不全で死亡することがあります。
- 致死率は8~50%(赤ちゃんは3~88%)です。
ポリオ(小児麻痺)
- ポリオは、予防接種が浸透した現在、国内での自然感染は報告されていません。
- 南アジアやアフリカなどのごく一部の地域では、現在でも流行しています。ウイルスに感染すると、一部のヒトで永久に麻痺が残ります。
BCGで結核の重症化を予防
- 結核は、日本では以前に比べてずいぶん減ってきましたが、現在でも患者さんの発生がみられます。
- 抵抗力のない乳幼児が感染すると、粟粒結核や結核性髄膜炎などをきたし、重い後遺症を残すことがあります。
麻疹(はしか)・風疹
麻疹
- 予防接種が浸透した現在、国内での自然感染はあまりありませんが、海外で感染したヒトからうつることがあります。
- 合併症として脳炎があり、致死率は4~10%です。
風疹
- 麻疹を軽くしたような症状で、「三日ばしか」とも呼ばれていますが、麻疹とは全く違う病気です。
- 合併症として、血小板が減る病気や脳炎があります。
- 妊婦が妊娠初期に感染すると、先天性風疹症候群という多発奇形の赤ちゃんが生まれることがあります。
水痘(みずぼうそう)
- 水痘帯状疱疹ウイルスによって発症します。回復後もウイルスは体内に残り、何かのきっかけで再活動すると、帯状疱疹となってあらわれます。
- 健康な子どもが感染しても合併症は稀ですが、白血病や悪性腫瘍、大量のステロイドホルモンを服用して、免疫能が低下してる場合は症状が重くなります。
- 稀な合併症として、脳炎や劇症型A群溶連菌感染症(水痘の時に溶連菌にかかって致命的となる)などがあります。
おたふくかぜ(ムンプス、流行性耳下腺炎)
- 自然感染すると、合併症として、無菌性髄膜炎(細菌性髄膜炎と比べて軽症)、一生治らない難聴、成人男子では精巣炎を起こすことがあります。
- 自然感染による無菌性髄膜炎の頻度は1.24%、おたふくの予防接種による無菌性髄膜炎の頻度は0.03~0.06%といわれています。
日本脳炎
- 日本脳炎は、豚などの動物の体内で増殖したウイルスを吸血した蚊が、人間を刺すことで感染します。
- 高熱、頭痛、嘔吐などで発症します。その後、昏睡、けいれん、麻痺などが起こります。死亡率が高く、後遺症を残す例も多くみられます。
B型肝炎
- B型肝炎ウイルスは、血液や体液を介して感染します。体液には、性行為によるもの以外に、傷からしみ出る液、唾液も含まれます。
- ウイルスの感染により、20~30%が急性肝炎を発症し、倦怠感、黄疸が出ます。その1%前後は劇症化して、昏睡、死亡することがあります。また、ウイルスを排除できず、持続的に感染した場合、慢性肝炎、肝硬変、あるいは肝臓がんの原因となることがあります。
予防接種による副反応(主なもの)
肺炎球菌ワクチン※
- 接種した当日や翌日に、37.5℃以上の熱が出ることがあります。熱は38℃や39℃以上に及ぶこともありますが、多くは1~2日で下がります。
※ 子どもに接種する肺炎球菌ワクチンであり、高齢者に接種する肺炎球菌ワクチンとは異なります。
四種混合ワクチン
- 接種後、赤く腫れることはよくあります。通常は特別な処置を必要としませんが、腫れや痛みがひどくなってくるようなら、病院を受診して下さい。
BCG
- 国内で年間に10人未満ですが、BCGによる骨炎や骨髄炎がみられています。
おたふく(ムンプス)ワクチン
- 予防接種で無菌性髄膜炎が起こることがあります。自然感染による無菌性髄膜炎の頻度は1.24%、おたふくの予防接種による無菌性髄膜炎の頻度は0.03~0.06%といわれています。
日本脳炎ワクチン
- 接種後、37.5℃以上の発熱、頭痛、寒気、だるさ等が起こることがあります。熱の多くは、1~2日で下がります。
インフルエンザワクチン
- 接種部位の発赤・腫脹・硬結などの局所反応、発熱・頭痛・倦怠感などの全身性の反応がみられることがありますが、いずれも軽く、数日で消失します。
任意の予防接種の料金
ワクチン名 |
金額 |
料金区分 |
単独接種 |
同日2種目以降 |
ロタリックス (2回接種が必要) |
一律 |
15,200 |
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ロタテック (3回接種が必要) |
一律 |
10,200 |
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B型肝炎※ |
6歳未満 |
7,000 |
5,700 |
6歳以上 |
6,300 |
5,000 |
おたふく (ムンプス) |
一律 |
7,800 |
6,500 |
インフルエンザ
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一律 |
4,320 |
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※B型肝炎ワクチンは、平成28年度から定期接種化される見込みです。
外来日のご案内
ワクチン外来日(予約制):毎週月曜日、水曜日、金曜日13:30~15:00
持参して頂きたいもの