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日本のワクチン事情をご存じですか?このページを印刷する - 日本のワクチン事情をご存じですか?



2011年から乳幼児の下痢・胃腸炎を予防するロタウイルスワクチンが日本でも登場し、2012年にはポリオの不活化ワクチンが使用できるようになり4種混合ワクチンが登場しました。
日本のワクチン事情は、年々変化しており、マスコミでも絶えずワクチンの話題が取り上げられています。
そんな報道を耳にして、皆さんは日本がワクチン先進国だと誤解していませんか??
一般の方にはほとんど知られていないことですが、専門家の間では、先進国である日本の予防接種制度は、先進国・中進国のなかでは最低レベルと言われています。

日本では2007年・2008年に大学生を中心に麻疹(はしか)が流行し、社会問題になりました。
しかし、日本以外に目を向けてみると、先進国はもちろん、南米大陸でも麻疹は撲滅された病気です。流行しているのは日本とアジア・アフリカの発展途上国ぐらいしかありません。
2007年の流行時には、修学旅行で日本からカナダを訪れた高校生が麻疹に罹患し、現地の保健当局から全員がホテルで待機を命じられ、飛行機の搭乗も拒否されるという事態が起きました。
発生率がほとんどゼロに近い先進国では、麻疹は大変危険な病気とされていますので、米国では日本が麻疹輸出国の第1位という不名誉なイメージを持たれています。
最近では、今年に入り20~30代で風疹が流行り社会問題になりました。
妊娠初期の女性が風疹にかかると胎児にも感染し「先天性風疹症候群」による難聴や心疾患など障害の出る恐れがあります。妊娠中の方は風疹の予防接種を受けることができないため、同居の家族からの感染予防が重要になります。

麻疹も風疹も20~30代の方でワクチン接種していない方がいたため、このような事態が発生しました。
実際に、日本と世界の間には大きなワクチンによる格差が存在します。
特に問題なのは、他の国では無料で接種できて日本では無料で接種できないワクチンが多くある事です。
多くの先進国では、国が無料で接種を勧奨するワクチン(定期接種)の数が多く、日本が一番少ないのが現状です。(表参照)
とりわけ子どもの極めて重い病気である細菌性髄膜炎を予防するワクチン(ヒブワクチンや小児用肺炎球菌ワクチン)と子宮頸がん予防のHPVワクチンが最近まで定期接種でなかったのが問題でした。
(*2013年4月1日からヒブ、小児用肺炎球菌、子宮頸がん予防のHPVの3ワクチンが定期接種となりました。
実はヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチン、ロタウイルスワクチンの4種類は、WHO(世界保健機関)がどんなに貧しい国でも国の定期接種に入れて、無料で接種して国民を守るように指示しています。またWHOでは、おたふくかぜとみずぼうそうに関しても先進国において無料化することが望ましいと勧告しています。被害が多いインフルエンザワクチンも米国では定期接種です。
これを見てわかるように、日本はとても「ワクチン先進国」とはいえないのが現状です。

いくら良いワクチンがあってもすべての子供が接種できないのであれば意味がありません。
子供の健康と命を守るためにはワクチンの接種が大切になります。任意接種だから接種をしないでいいわけではありません。任意接種でもすべてワクチンを接種するように心掛けましょう。
ワクチン接種は生後2か月から始まります。同時接種など効率の良い投与スケジュールが重要になります。
詳しい投与スケジュールや疑問点がありましたら、お気軽に小児科の医師・看護師・薬剤師など専門スタッフまでご相談して下さい。


表:日本と欧米の『定期接種スケジュール比較』


 

日本
アメリカ
イギリス
フランス
ドイツ

B型肝炎

ヒブ感染症

小児用肺炎球菌感染症

ジフテリア

百日せき

破傷風

結核

×

ポリオ

麻疹

風疹

おたふくかぜ

みずぼうそう

HPV(子宮頸がん)

        定期接種(国の基本的ワクチンプログラムに組み込まれている)
        定期接種(2013年4月1日~)
        任意接種(国の基本的ワクチンプログラムに組み込まれていない)
        ×未導入(国内では通常接種できない)

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