
診療科 外科
当科の対象疾患
胆石症、急性虫垂炎(いわゆる盲腸)、鼠径ヘルニア(いわゆる脱腸)、痔疾患などの良性疾患から、食道がん、胃がん、大腸がん、肝臓がん、胆管がん、すい臓がんなどの悪性疾患まで消化器疾患全般を対象疾患としています。また、消化器疾患以外でも、乳腺がんや甲状腺腫瘍などの一般外科手術や、腸閉塞、消化管穿孔、腹部外傷などの救急疾患に対する外科治療もおこなっています。この他、ストーマ外来や2013年度からは乳がん検診もおこなっています。
診療内容
北海道医療センター外科では、外科系診療部長高橋以下総勢5名の外科スタッフで消化器外科疾患の手術を中心に診療をおこなっています。また、呼吸器外科医2名とチームを組み、毎朝カンファレンスをおこない協力して回診や、手術、休日診療にあたっています。外来診療では幅広く一般外科の診療にあたり、乳がん検診(週1回月曜日午後、要電話予約)やストーマ外来(毎月第4金曜日午後)もおこなっています。また、がんの患者様に対しては外来化学療法(抗がん剤治療)もおこなっています。
入院診療については胃がん、大腸がん、肝臓がん、胆道がん、膵がんなど消化器がんに対する治療はもちろんのこと、胆石・胆嚢炎、急性虫垂炎(いわゆる盲腸)、消化管出血、消化管穿孔など腹部良性疾患や腹部救急疾患についても手術治療をおこなっております。また、鼠径ヘルニア(いわゆる脱腸)や乳がん、甲状腺腫瘍など腹部外科以外の一般外科疾患に対する手術もおこなっています。さらに肝臓がんに対する血管造影手技をもちいた治療や、エコーガイド下におこなう体外的治療も放射線科、消化器内科と連携しながらおこなっています。先進医療としては小さな傷で手術をおこなう腹腔鏡下手術があり、現在胆石症や急性虫垂炎、鼠径ヘルニア、胃がん、大腸がんなどでおこなっております。最近腹腔鏡下手術の安全性が問われておりますが、当科スタッフにも日本内視鏡外科学会技術認定医がおりますので安心して手術を受けて頂くことができます。また外科診療は手術だけではなく、退院後のアフターケアーも重要と考えています。患者様の状態が安定するまでは責任をもって当科で治療をさせて頂きます。特にがんの患者様に対しては、再発がないか定期的に検査をしながら長期的に経過観察をおこなっています。また、手術後に化学療法(抗がん剤治療)が必要となった場合は、手術に引き続きそのまま外科で治療をおこなうようにしています。化学療法は入院治療でおこなわれるイメージがありますが、当院には外来化学療法室がありますので、治療内容によりますが外来で治療を受けることもできます。当院は2015年度より北海道がん連携指定病院に指定され、2016年度からはがんの診療を推進していくためにがん診療センターをたちあげています。がんの患者様が安心して外科で治療を受けられるように、ますます力をいれていくつもりですのでよろしくお願い致します。
尚、最近患者様が増えており初診の場合は大変待ち時間が長くなりご迷惑をおかけしています。そのぶん、十分に患者様の訴えを聞くようにし、患者様に納得して治療を受けて頂けるように努力してまいりますのでご了解を頂きたくお願い申しあげます。
当科の基本理念
①丁寧な病状説明をおこない患者様が納得して頂ける治療をおこなうことを心がけます。
②質の高い医療を提供できるように、各学会への積極的参加や内視鏡手術の手技向上など日々の研さんに努めます。
③患者様に対して最善の治療を提供するために、毎週消化器内科医とカンファレンスをおこない治療方針を決定していきます。特にがんの患者様に関しては、各診療科医師、看護師、薬剤師など各部門と連携しチーム医療を推進していきます。
④地域関連病院との連携を強化し、患者様のかかりつけの医療機関と協力しながら診療をおこなっていきます。
スタッフ
氏名・職名 | 認定資格 | 主な専門分野 |
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髙橋 宏明 外科系診療部長 |
日本外科学会指導医・専門医・認定医 日本消化器病学会指導医・専門医 日本消化器外科学会専門医 日本がん治療認定医 消化器がん外科治療認定医 検診マンモグラフィー読影認定医 医学博士 |
外科一般、消化器外科 |
植村 一仁 外科医長 |
日本外科学会専門医・認定医 日本消化器外科学会指導医・専門医 日本内視鏡外科学会技術認定医 日本がん治療認定医 消化器がん外科治療認定医 検診マンモグラフィー読影認定医 |
外科一般、消化器外科 |
三野 和宏 外科医師 |
日本外科学会指導医・専門医・認定医 日本消化器外科学会専門医 日本がん治療認定医 消化器がん外科治療認定医 検診マンモグラフィー読影認定医 日本透析医学会専門医 医学博士 |
外科一般、消化器外科 |
小林 正幸 外科医師 |
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佐藤 彩 外科医師 |
*診療連携をしている呼吸器外科医長 大坂喜彦、呼吸器外科医長 本間直健につきましては、 呼吸器外科診療案内をご参照ください。
検査・治療手技
抗がん剤治療、肝臓がんに対する血管造影手技を用いた治療、エコーガイド下におこなう体外的治療をおこなっています。また、小さな傷で手術をおこなう腹腔鏡下手術に力をいれています。
主な治療実績(27年度)
- ・手術
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- 2015年度手術件数 511例
(緊急手術例 127例 25%) - 胃がん 31例
- 大腸がん 64例
- 肝がん・膵がん・胆管がん 14例
- 乳がん・甲状腺腫瘍 19例
- 胆石症 76例
- 鼠径ヘルニア 70例
- 急性虫垂炎 43例
- 2015年度手術件数 511例
- ・腹腔鏡下手術の実施率
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- 2014年度
- 胃がん手術 58%(18例)
- 大腸がん手術 78%(50例)
- 胆嚢摘出術 79%(60例)
- そけいヘルニア手術 76%(53例)
- 虫垂炎手術 93%(40例)
- ・化学療法
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- 2015年度化学療法実施数(延べ人数)
- 外来化学療法 121名
- 入院化学療法 417名
地域医療機関へのメッセージ
当院はこれまでは救急のイメージが強かったかもしれませんが、平成27年度よりがん診療センターが開設されがん診療を推進していく方針となりました。これまでも当科では消化管、消化器がんの治療にあたってきましたが、これからはより一層がんの治療に力をいれていく所存ですのでよろしくお願い申しあげます。またがんに対する腹腔鏡下手術にも力をいれており、その手術件数も順調に伸びております。当科には日本内視鏡外科学会技術認定医がおりますので、安心して患者様をご紹介頂きたくお願い致します。また、今後は術後の経過観察について、地域医療機関の皆様と連携して治療にあたっていきたいと考えがえております。連携を整備していくには少し時間がかかると思いますが、あわせてよろしくお願い致します。
急性虫垂炎を含めて腹部救急疾患についてもこれまでどおり患者様をご紹介頂きたくよろしくお願い申しあげます。当院の救急医療は充実しており、緊急手術が必要な患者様の受け入れが24時間いつでも可能となっています。当院の救急救命診療は原則3次救急となっていますが、外科では緊急手術が必要な患者様につきましてはいつでも対応させて頂きます。夜間診療をされている先生の中には、緊急手術が必要な患者様の紹介先を探すのに苦労された経験のある先生方も少なくないと思います。急性虫垂炎疑いや鼠径ヘルニア嵌頓などで手術が必要な患者様がいらっしゃいましたら、お気軽にご紹介を頂ければ幸いです(日中は交換から直接外科高橋または植村へつないで頂いて構いません。夜間はダイレクトコールがないため管理当直経由となりますが必ず外科当番医が責任をもって診察にあたらせて頂きます)。
もうひとつ、当院の看板として精神科身体合併症患者の治療がありあます。このため、当院の精神科は精神科疾患のみでの診療はせず、身体合併症をもつ精神科患者の診療に特化した診療をおこなっています。これまでは、精神科身体合併症患者の治療が可能な病院が少なかったため、十分な治療が受けられず不幸な転帰をとる患者様も多かったことと思います。当院には精神科身体合併症患者の治療を専門とした病棟がありますので、もし身体合併症をもつ精神科患者様がおりましたらいつでも連携室をとおして精神科または外科にご紹介を頂きたくお願い申しあげます。
最後になりますが、当院は2015年に北海道がん診療連携指定病院に指定され、がん診療を積極的におこなう方針を掲げています。今後は地域医療機関の皆様と力をあわせて、がん診療についても地域医療の底上げを目指していきたいと考えていますのでよろしくお願い申しあげます。