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2024年 新年のご挨拶

小村伸朗院長

皆様、新年あけましておめでとうございます。新春の訪れを心よりお慶び申し上げます。
 昨年は当院にとって喜ばしい出来事がありました。それは11月にNICU(新生児集中治療室)を1階にリニューアルオープンできたことです。2012年10月、NICUを一時的に休止せざるを得ない状況となり、2階病棟の一角に再開することができたのは2018年7月、実に約6年後のことです。以降、手狭な病棟での運営となりご迷惑をおかけしましたが、環境整備を行い、本来のポジションでようやく再開することができました。患者さんはもちろんのこと、職員スタッフも快適な環境で働けるようになったのではないかと思います。当院での分娩基準は妊娠32週以上、体重1500グラム以上であり、双胎も受け入れています。2014年度は正常分娩と異常分娩の割合が約2対1でしたが、NICU再開後は異常分娩の割合が次第に増加し、2022年度は約1対1.5と異常分娩の割合が高くなりました。リスクの高い状況で産まれたお子さんをNICUで管理し、元気におうちに帰っていただく。地域周産期母子医療センター、地域医療支援病院として当院の果たすべき役割を担うことができるものと自負しています。当院で安心して出産していただければと思います。また、小児科は特に二次救急医療に力を入れております。2022年度の小児科の救急車応需件数は1231件でした。この数字だけでも多いと感じますが、2023年度は1500件を超えるペースとなっています。所沢市を中心とする西部医療圏は小児科の入院施設がごく限られており、当院に期待される役割は大です。一次救急の対象となるお子さんは所沢市民医療センター等で対応していただき、より重症度の高いお子さんを当院で治療していくというスタイルを構築したいと思います。2024年4月にはGCU(新生児回復室)も1階に再開予定です。新生児科・小児科・産科の運営には今後も特に力を注ぎますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 さて話は変わりますが、昨年は大谷翔平選手の話題で持ち切りでした。ワールド・ベースボール・クラシック2023の決勝戦前のミーティングでの一言、「憧れるのをやめましょう。憧れてしまっては超えられない。」は名言です。流行語大賞は「アレ(A.R.E)」に譲ることになりましたが、各方面から称賛されました。アジア人初のホームラン王を始め、ベースボール・アメリカ選定MVP、ハンク・アーロン賞、シルバースラッガー賞(DH)、エドガー・マルティネス賞などなど22冠に輝きました。そしてドジャースと10年7億ドルの契約を結んだのはつい先日のことです。富・地位・名声を求め、アメリカに渡る人はたくさんいますが、まさにアメリカンドリームを手にしたといえます。この契約金の額を聞いてしまうと、アメリカと日本との間に非常に大きな格差ができてしまっていることを強く感じます。スポーツの分野だけではありません。例えば、映画はどうでしょう。日本が制作した映画の興行収入歴代上位3本は、「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」(2020年、404億円)「千と千尋の神隠し」(2001年、317億円)「君の名は。」(2016年、252億円)で全てアニメです。実写では「踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」(2003年、174億円)がトップ。なお海外でも「千と千尋の神隠し」は1.2憶ドル、「君の名は。」は1.5億ドルの売上があります。一方、世界歴代興行収入上位3本は、「アバター」(2009年、29億ドル)「アベンジャーズ/エンドゲーム」(2019年、28億ドル)「アバターウェイ・オブ・ウォーター」(2022年、23億ドル)と制作国はいずれもアメリカで興行収入は桁違いです。ハリウッドでの活躍の場を目指して全世界から人が集まる。納得がいきます。それでは医療に関してはどうでしょうか。消化器内視鏡の世界シェアが7割に達するオリンパスは日本での生産量が全体の7割を占めています。内視鏡の診断・治療は器用な日本人の最も得意な分野であり、世界から注目を浴びています。外科手術も日本人の手技は非常にきれいで見事です。手術機器の開発の点では後れを取ってはいますが、ハンドリングに関して日本人は全く引けを取らないと思っています。確かに創薬やワクチン開発など改善すべき分野は多々ありますが、日本人の提供する医療は欧米と比較しても、かなり高いレベルにあり格差はありません。当院では多職種のスタッフが自己研鑽し、より高いレベルの医療をみなさま方に提供したいと考えております。
 患者さんに寄り添った医療を行えるよう今後も職員一同、努力していきます。ご支援のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

                        2024年1月吉日
                        独立行政法人国立病院機構西埼玉中央病院
                                  病院長 小村 伸朗

令和5年 新年のご挨拶

 皆さま,新年明けましておめでとうございます。謹んで新春のお慶びを申し上げます。
 わたしが幼少の頃,両親から「一年の計は元旦にあり。今年の目標は何にするの。」と言われたものです。当時,何か目標を立てたのか,記憶は定かではありませんと申しますか,まったく覚えておりません。有言実行タイプではなかったわたしは,おそらくは具体的な目標を掲げなかったと思います。それが昨年(令和4年)の元旦,何を思ったのか,ふと「よし。今年は映画を100本見よう。」と考え,周囲に宣言したのです。もともと中学・高校時代は映画にのめり込んでいました。雑誌「ぴあ」を必ず購読し,映画の試写会にも幾度となく応募し,よく行ったものです(不思議と何故かよく当たる)。試写会で見たクリント・イーストウッド主演「アルカトラズからの脱出」は鮮明に記憶しています。「ぴあ」の他にも月刊「ロードショー」か「スクリーン」を購読し,外国人俳優の名前を一生懸命記憶しました。そして日本で公開されるとそれを友人と観に行く,雑誌で得た知識を披露する,そんな生活をしていました。新作映画100本を観ることは時間的にも金銭的にも厳しいことから,アマゾンプレミアム会員となり新幹線での移動の時間,休日などを活用しました。日本アカデミー賞最優秀作品賞の候補は毎年5本選出されますので,プレミアムで視聴可能な作品は片っ端から観ました。また話題作品である「コーダあいのうた(2022アカデミー作品賞)」「パラサイト 半地下の家族(2020アカデミー作品賞)」「ドライブマイカー」なども観ました。わたしが観た中でのベスト5はFukushima50(2020),永遠の0(2014),劔岳―点の記(2009),容疑者Xの献身(2008),たそがれ清兵衛(2002)です。お時間のある方は是非,ご覧になってください。11月までに約80作品を観ていますが,掲げた目標に届くかどうか微妙なところです。なお改めて辞書を紐解いてみますと,「一年の計は元旦にあり」とは,「何事もまず初めに計画を立てることが大事であるという意味」とあります。本当の意味合いを少し誤解しておりお恥ずかしい限りですが,元旦に目標を立てるということは改めて意味のあることだと感じています。ノンフィクション映画では真剣に考えさせられる問題に直面しました。また心の洗濯がされたり,賢人の足跡を辿ることができたり,大笑いしたり,友人や職員との話題が広がったりといい事づくめでした。令和5年はどのような目標を立てようかと考えておりますが,皆さんも是非目標をもって頂きたいと思います。
 話しは変わりますが,いまだ猛威をふるっている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対して政府は今後どのような対応をしていくのでしょうか。インフルエンザと同等の5類感染症に引き下げるのでしょうか。経済を活性化させるためには,必要な処置だと思います。インフルエンザには特効薬がありますが,新型コロナウイルス感染症には同程度の効果を認める薬はありません。このような状況で,5類に引き下げた場合,どのようなマネジメントをしていくのか,はっきりとした計画を立て,それを医療関係者等に提示して頂きたいと思います。新型コロナウイルス感染症は2019年12月初旬に, 中国の武漢市で第1例目の感染者が報告されて以来3年が経過しました。当院では2020年2月より,いち早く帰国者・接触者外来を立ち上げ,4月には専用病床を配置しました。以後,今日に至るまで発熱外来,専用病床は運営し続けています。小児,妊婦の方々の入院を受け入れている施設は限られておりますので,地域の方々のお役に立てたのではないかと思っています。看護師,医師,検査技師,放射線技師,薬剤師,事務員を始め当院に勤務するすべての方々に病院長として厚く御礼申し上げます。本当に有難うございます。
 わたしたち西埼玉中央病院の職員は,患者さんに寄り添った医療を行えるよう努力していきたいと思います。そして患者さんとご家族に笑顔になって頂きたいと願っております。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

                        令和5年1月吉日
                        独立行政法人国立病院機構
                        西埼玉中央病院 病院長 小 村 伸 朗

令和4年 新年のご挨拶

 皆様,新年あけましておめでとうございます。新春の訪れを心よりお慶び申し上げます。
 昨年は、一昨年に引き続き新型コロナ感染症の対応に追われた一年でした。もともと一病棟を新型コロナ感染症専用病棟とし対応してまいりましたが、東京オリンピック・パラリンピック開催時期と一致して生じた第5波の勢いは実に凄まじいもので、すぐに満床の状態となってしまいました。そのためさらに一病棟を閉棟し、看護師の皆さんに異動して頂き、新型コロナ感染症用病床を増床しました。この異動は看護師の皆さんに精神的かつ身体的な多大なるご負担をかけてしまいました。看護師さんをはじめとし、ご協力頂いた職員の方々に心より御礼を申し上げます。本当に有難うございました。そしてご苦労さまでした。オミクロン株の影響で、今後どのような展開になるのか、第6波が来るのかどうかわかりませんが、本年からは第5波以前の診療体制に戻し、救急医療を中心とした地域支援病院としての本来の役割を強化していきたいと思います。と申しますのは、第5波の最中には、救急車の要請を断らざるをえない状況になってしまい、市民の皆様方、近隣の諸先生方にご迷惑をお掛けする事態となったからです。このことは真の医療崩壊を意味するもので、新型コロナ感染症の対応を強化するあまり、急患を受けることができなかったという現実が起きてしまったわけです。もちろん、引き続き保健所や県からの要請は極力断ることなく新型コロナ感染症の患者さんは引き受けていきます。一部の病院で、新型コロナ感染症病床利用率が低い、つまり補助金を頂いておきながら患者さんを十分に引き受けていないということがメディアで多く取り上げられました。当院はそのようなことはまったくなく、職員一丸となって対応させて頂いたことをここに申し上げておきます。
 話しは変わりますが、当院には附属看護学校が併設されています。毎年40人前後の学生が入学し、そして卒業していきます。新型コロナ感染症の影響で、「入学式」「戴帽式」「卒業式」といった学校3大イベントを縮小してやらざるをえない状況となってしまいました。楽しみにされていた父兄の皆様方はさぞかしがっかりされたことと思います。もちろんわれわれの学校だけでなく、この流れは全国の小・中・高等学校等に及んでいます。つらい中でも頑張ってきた子どもたちの門出を祝ってあげたいという意図から、昨年東京音楽大の方々が「仰げば尊し」、「旅立ちの日に」などの卒業ソングのコンサートをオンラインで配信する企画が立ち上がったそうです。そして岩手県の小学校の先生がこのようなメッセージを添えたそうです。「知らない人から何かしてもらった子どもたちは、やがてきっと知らない誰かに対しても、何かしてあげられる大人に育つはずです」(令和3年3月8日読売新聞『編集手帳』より)。オンラインコンサートを企画された方々も素晴らしい、そしてこのようなメッセージを記せる先生の感性に感動しました。このような時代だからこそいつもと違った何かができる、この信念をもって今年はやっていきたいと思います。
 患者さんに寄り添った医療を行えるよう今後も職員一同,努力していきたいと思います。ご支援のほど,何卒よろしくお願い申し上げます。

                        令和四年一月吉日
                        独立行政法人国立病院機構西埼玉中央病院
                        病院長 小村 伸朗

令和3年 新年のご挨拶

 皆様,新年あけましておめでとうございます。新春の訪れを心よりお慶び申し上げます。
 昨年は新型コロナ感染症一色の年でありました。地域医療支援病院としての立場,国立病院機構の一員としての役割を鑑みて,いち早く帰国者・接触者外来を立ち上げさせて頂きました。
 4月には、一病棟を新型コロナ感染症専用病棟として運営し始めました。ほぼ同時期に毎朝,新型コロナ感染症対策会議を開始致しました。また入院待ち,或いは経過観察処置となった感染者の方々はホテルへの一時待機の処置がとられましたが,その管理や運営のお手伝いもさせて頂きました。未知の感染症に立ち向かって頂いた職員の方々に心より御礼申し上げるとともに,敬服致します。埼玉県内で,いくつかのクラスターが発生していた折,細心の注意を払っていたつもりでしたが,11月に当院でクラスターが発生してしまいました。このことは患者さんや地域の皆様方に大変ご心配とご迷惑をおかけしました。この場を借りまして,改めて心よりお詫び申し上げます。幸い,院内感染症対策チームの初動が優れていたため,クラスター発生の当該病棟の入退院を一時的に停止することのみで,一般外来,当該病棟を除く入院,救急,手術などを継続することができました。ご支援頂きました狭山保健所の皆様方,国立病院機構本部の方々に厚く御礼申し上げます。そして狭山保健所様ならびに防衛医科大学校感染対策チームの方々に検証して頂いた結果,12月10日,無事収束宣言を出すことができました。新型コロナ感染症に罹患する可能性は誰もがありますが,病院診療に携わる者として,より気持ちを引き締めていきたいと考えております。新型コロナ感染症の収束はまだまだ先が見えておりません。ワクチン接種が今春にも始まると報道されておりますが,その工程表は明らかではありません。
 当院としましては,発熱外来と新型コロナ感染症病棟の運営を継続し,地域住民の皆様方が安心してお暮し頂けますよう努力していきたいと思います。しかしながらマスコミ等で報道されておりますように,診療に関わっている医療スタッフはゴールが見えないことも相まって疲弊してきております。彼女,彼らは最早,医療職としての‘責任感’のみでその職責を果たしてくれているように感じます。皆様方も医療現場の職員を是非とも温かい目で見守って頂きたいと思います。病院長としてのお願いとなります。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 さて、昨年は種々の会議がweb会議システムを利用して行われました。ZoomやTeamsなどのアプリを初めて使用した方々も多かったのではないでしょうか。わたしもその一人です。わたしはいまだに多くの医学会活動をしておりますが,これまでは対面方式の会議がすべてでした。不慣れなこともあり,対面会議のような熱い討論はなかなか難しいのも事実ですが,web会議で多くのことは代用でき非常に便利なツールです。今後,新しい生活様式への適応が求められる中,利便性の追求,コスト削減,あるいは労働時間短縮といった働き方改革などの観点からアフターコロナの時代となっても益々活用されていくのではないでしょうか。またリモートワーク,テレワークがどんどん推奨されました。軽井沢や北海道などで避暑を楽しみながら仕事をするワーケーションという造語もできました。その風景をテレビで幾度となく目の当たりにしました。患者さんを‘診る’,あるいは‘看る’という行為は人間の五感すべてが活用されるものです。世の中がいろいろと便利になっていく中で,ある意味われわれは旧態依然とした手法が医療には必要だと思います。患者さんの立場をよく理解し,寄り添った医療を行うよう今後も職員一同,努力していきたいと思います。ご支援のほど,何卒よろしくお願い申し上げます。

                        令和3年一月吉日
                        独立行政法人国立病院機構
                        西埼玉中央病院 院長 小 村 伸 朗

2020年新年のご挨拶

 みなさま、新年明けましておめでとうございます。初春のお慶びを謹んで申し上げます。
 昨年、5月1日ついに新元号 令和 がスタートしました。昨年のご挨拶で、新たなる元号は将来への希望へとつながるものになって欲しいと書きました。令和の出典は万葉集からで「初春の令月にして気淑く風やわらぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫らす」作者は大伴旅人だそうです。わたしは和歌のことはよくわかりませんが、この歌からはなんとも言えない穏やかさ、やすらぎ、そして心地よさを感じます。手話表現で令和は「つぼみが開いて花がさくように指先をゆっくりと開く動き」に決まったそうです。そして手を前に押し出す動きには「未来へ進んでいく」いう意味が込められているそうです。まさに将来への希望を表しているのではないでしょうか。とても素敵な元号だと思います。
 さて、昨年はご存知のようにラグビー(闘球)ではワールドカップ2019で日本代表が見事ベスト8に入り、「ONE TEAM」が新語・流行語大賞にも選ばれました。日本対スコットランド戦の瞬間最高視聴率はなんと53.8%にも達したそうです。1989年から1991年まで全日本代表監督を務められたのは宿澤広朗氏です。30年前の1989年5月28日、秩父宮ラグビー場で、日本はスコットランドに初めて勝利します、スコアは28対24。ほとんどの人が日本の勝利を予想していなかった。この時の主将はあの平尾誠二氏です。宿澤氏の座右の銘は「努力は運を支配する」です。選手の皆さんは、言葉にはできない努力をされたと思います。わたくしの座右の銘は「天才ほど努力する」です。わたくしたちは決して努力することを惜しんではいけないと心から思っていますし、その先にはきっと良いことがあるはずです。
 またラグビー(闘球)以外でも、バドミントン(羽球)の桃田賢斗選手や奥原希美選手、さらには松永ペア、福廣ペアが大活躍し、卓球の張本智和選手や伊藤美誠選手、バスケットボール(籠球)の八村塁選手、ゴルフ(打球もしくは孔球)の渋野日向子選手、世界野球WBSCプレミア12での日本代表の優勝と、「球」のつくスポーツでの日本人の活躍がきわめて目立ちました。そしてたくさんの若い方々が躍動しました。わたくしたちも、日本人選手の皆さんにあやかって、「球」をうまく乗りこなし、様々なあら波に対応していきたいと考えています。そのためには、とくに若い職員の方々に頑張って頂きたいと願っております。いろいろなアイデアを出し合い、ブレインストーミングする。そしていろいろなことに積極的にチャレンジする。「〇〇はできない。」ではなく、「〇〇するにはどうしたら良いかを考える」。そのような組織作りを行っていきたいと考えています。
 わたしたち西埼玉中央病院の職員は一丸となり、患者さんとそのご家族が笑顔になって頂けるよう努力していく所存です。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

                        2020年1月吉日
                        独立行政法人国立病院機構
                        西埼玉中央病院 院長 小 村 伸 朗

2019年新年のご挨拶

 みなさま、明けましておめでとうございます。初春のお慶びを謹んで申し上げます。
今年は平成最後の年です。2019年という大きな区切りとなる新しい一年がいよいよスタート致しました。
 毎年、師走の季節になりますと、その一年を振り返るということがどこでも行われると思います。会社であったり、学級であったり、個人であったりとその規模はさまざまですが、その一年を顧みて、称賛したり、あるいは反省したり、そして来年の目標をたてるという作業がなされると思います。皆さんもご存じだと思いますが『今年の漢字』が毎年12月中旬に発表されます。財団法人日本漢字能力検定協会が、その年をイメージする漢字を一般より公募し、もっとも応募数が多かった漢字を清水寺で森清範貫主が披露するものです。2018年の漢字は『災』でありました。地震、豪雨、台風、猛暑といった自然の脅威を卑近なものとして感じさせられました。2018年、西埼玉中央病院を表す漢字は『再』であったと思います。わたし個人としましては、4月より第10代院長を拝命し、西埼玉中央病院の一勤務医としても再スタートをきった年となりました。病院としては7月1日、ついに念願の新生児集中治療室(NICU)を約6年振りに再稼働することができました。また耐震改修整備工事に併せて病院正面玄関のリニューアル作業をしてまいりましたが、病院看板表示を新たに掲示し、ロータリーにもタワーサインを設置致しました。病院の顔である玄関がさわやかになった気がします。さらに手狭であった通院治療センターも移転・再編成し、少しでも患者さんが快適空間のもと治療を受けて頂くよう配慮しました。
 新たなる元号は将来への希望へとつながるものになって欲しいと思います。そして2019年の漢字は是非とも明るい話題となるものが選ばれて欲しいと願っております。当院としての課題は、NICUの運営を軌道にのせること、麻酔科診療の再構築、地域のニーズとして求められている泌尿器科、耳鼻科、整形外科などの医療体制の充実など山積しておりますが、わたしたち西埼玉中央病院の職員は一丸となり、患者さんが笑顔になって頂けるよう努力していく所存です。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

                        2019年1月吉日
                        独立行政法人国立病院機構
                        西埼玉中央病院 院長 小 村 伸 朗

就任のご挨拶

 2018年4月1日付けをもちまして、独立行政法人国立病院機構西埼玉中央病院第10代の院長を拝命しました小村伸朗(おむらのぶお)です。どうぞよろしくお願い申し上げます。わたしが当院に赴任したのは2014年7月1日のことで、統括診療部長として参りました。わたしの専門は外科、とくに消化器外科であり、“大学病院と同等の医療提供”と“自己完結型医療”を大きな目標として掲げました。当院に赴任前、東京慈恵会医科大学附属病院(新橋)消化管外科診療部長の職にあり、食道・胃・小腸・大腸・肛門などに関するさまざまな疾患に対し、最先端の医療を提供して参りました。特に腹腔鏡下手術はもっとも得意とするアプローチ法であり、低侵襲医療を実施してきました。この所沢の地におきましても、大学と同等の医療を提供したい、そして他施設に極力紹介することなく、この病院にかかられた患者さんの治療は当院にて完結することがわたしの目標であり願いです。幸い優れた医療技術を持つスタッフに恵まれ、また大学医局も全面的に支援をしてくれた結果、当院として初めて施行する術式をいくつも導入することができましたし、術後成績も満足行くレベルまで向上し、外科医療の底上げに貢献できたものと考えております。
 この度、院長職に就くにあたり、外科のみならずすべての診療科に目を配り、地域の皆様方に満足して頂ける医療を提供していくことがわたしの責務と考えており、その職務の重さを痛感しています。2012年7月からは埼玉県より地域医療支援病院として認可を頂いており、医療連携機関としてご登録頂いた病院・クリニックは200施設を超えております。近隣の先生方よりご紹介を頂いた患者さんに対し、的確な診断と適切な治療を遂行し、そして地域の先生方へ逆紹介していくスタイルが当院としての理想の形態です。患者さんに満足して頂けるような医療、心のこもった医療を提供していくことは当然の努力義務であり、その目標に向かって職員が一丸となって知恵をしぼり、精進していく必要があります。患者さんを幸せにしていくことがわれわれの願いでありますが、わたしを含めた職員も同じ一人間であり、様々なストレス環境下で生活しております。“職員の幸せなくして患者の幸せなし。”患者さんに良い医療を提供するためには、職員の幸福度を確実にアップさせていくことがきわめて重要と考えています。患者さんやご家族に笑顔になって頂くには、職員が笑顔で接することのできる職場環境そして家庭環境が必要です。このことは院長として心に留めておく必要があります。いろいろな意味合いでの働き方改革が求められることになります。‘人を動かす’ということは非常に難しいことです。しかし、このマネジメントなしに良い病院運営はできません。
 患者さんが当院で治療を受けて頂き、“この病院にかかって良かった”と感じて頂けるのであれば、医師として院長として望外の喜びであります。

                          独立行政法人国立病院機構
                          西埼玉中央病院 院長 小 村 伸 朗