静岡医療医センター麻酔科・集中治療部初期臨床研修(選択必修)―090627

 

当院麻酔科は臨床研修医制度設立の主旨にそって、2年目で麻酔科を選択された研修医を対象

とした教育を行います。

選択研修では、

1、当院における麻酔科研修1年目の目標を習得する。

(1)急性期(急激な全身状態の変化を生じる可能性のある時期)における全身管理のうち侵襲

的モニタを含めた基本的観察、判断、対応能力を習得する。

(2)心肺蘇生の基本技術を取得する。

(3)一般診断能力の基本的観察項目のうち特に呼吸、循環動態について生体モニタが無い状

態での判断能力を養成する。

(4)安全で患者様の苦痛を最小限にしたくも膜下腔穿刺技術を取得する。

2、臨床研修医としての必修項目を習得する。

(1)清潔操作

(2)カテーテル手技

(3)モニタの読み方

(4)基本的な薬剤の使い方(血管作動薬、抗生物質)

(5)輸血の適応と実施

3、臨床医として必要な診療能力を習得する。
(1)硬膜外麻酔法

(2)術前診察と術前状態(病歴、診察所見、検査所見)の評価

(3)麻酔中の全身状態の把握と合併症への対応

(4)術後の全身状態の把握

(5)緊急を要する病態の把握

(6)術後鎮痛法

臨床診療(麻酔、救急、集中治療)に熱心な指導医がそろっており、個々の研修医にとって最もよい

と思われる指導を目指しています。

2年目は、1年目の目標を再確認しつつ各自の習熟度に応じて次のステップに進んでいきます。

1年目にあまり気管挿管をする機会がなかった方、もっと麻酔科研修をしたい方、麻酔科標榜医資格

を早く取得したい方、ICU管理も研修したい方は、ぜひ当院へ。

一緒に診療して、勉強していきませんか。


(A)
研修期間

   2年目:選択必修の場合は3ヶ月。自由選択の場合は、原則3ヶ月以上とする。(要相談)

 

(B)指導医:

   麻酔科部長   小澤章子   日本麻酔科学会認定指導医

   麻酔科医長   今津康宏   日本麻酔科学会認定指導医

 

(C)研修目標

1年目の目標の再確認
・安定期、急性期における全身状態の観察、病態の判断、対応能力を修得する。

・心肺蘇生の基本技術を取得する。特に、気道管理(マスク換気、気管挿管)について習熟する。

・生体モニタがない状態での呼吸、循環動態についての判断能力を養成する。
・安全なくも膜下腔穿刺技術を取得する。

 2年目の目標

・基本的なモニタの読み方を修得する。

・清潔操作の必要性を理解し、カテーテル手技を取得する。

・周術期における基本的な薬剤(血管作動薬、抗生物質)の使用方法、薬理作用、輸血療法につ

いて習得する。

・腰部硬膜外麻酔法、術後鎮痛法を修得する。

・緊急を要する病態(ショックなど)を把握し、初期対応を行える。大量出血や心大血管手術での末

梢循環状態や呼吸におよぼす影響を知る。

・手術室での麻酔管理を中心に、術前評価―術中管理―術後回診(ICU管理)という一連の経過

から術中の手術侵襲下での病態の変化を把握する。

・術前評価および術前合併症のコントロールの重要性を知る。

・気管支ファイバーを用いた気管挿管を習得する。(意識下、筋弛緩薬使用下)

 

D)到達目標

1)   観察

 あ)術前

(1)病歴からの状態把握

 病歴から次の点について把握、評価し表現できる

・中枢神経障害の有無

・呼吸状態の評価(H=J分類)

・心不全の有無と状態評価(NYHA分類)

・肝障害の有無

・腎不全の有無

・内分泌代謝障害の有無

・運動障害の有無

(2)        身体所見からの状態把握

(3)        検査所見からの状態把握

 (4)(1)〜(3)から、術前全身状態の把握

 い)術中

(1)術野の観察:術式および手術手技が生体に及ぼす影響侵襲度

(2)身体所見からの状態把握

(3)検査所見

う)術後

(1)身体所見からの状態把握

(2)検査所見

 

2)判断

 (1)清潔操作の必要性

 (2)カテーテル挿入の目的と意義

(3)基本的な薬剤の使い方

(4)輸血の目的と意義

(5)緊急を要する病態(ショックなど)の把握:各種のショック状態を把握できる。

 

3)対応 

 (1)清潔操作を行える

清潔操作は、臨床現場、特に手術室において欠くことのできない重要な考え方で、気管挿管

や区域麻酔穿刺時、中心静脈穿刺時に習得する。

 (2)カテーテル手技

末梢静脈路確保、動脈穿刺及びカテーテル留置、中心静脈穿刺及びカテーテル留置を行い、

各穿刺手技と合併症を習得する。

(3)輸血療法
血液製剤の特徴を知り、正しく投与できる。

(4)硬膜外穿刺

   腰部硬膜外穿刺を、清潔操作下に、正しい体位で安全に穿刺できる。硬膜外穿刺の合併症を

知り、診断と治療を行える。

(5)気管支ファイバーによる気管挿管
意識下、及び筋弛緩薬使用下で気管支ファイバーを用いて気管挿管できる。

 

(E)研修内容

(1)手術室での麻酔

手術前日のコンサルト:指導医が担当

術前評価、合併症の有無とコントロール状況、麻酔管理上の問題点、麻酔方法について

説明し、当日のシミュレーションを行う。

術後回診:病棟、ICUの術後の状態を観察し、病態を把握し、必要な処置を行う。

      緊急手術の麻酔:限られた時間、情報から、麻酔管理上の問題点を把握し、管理を行う。

 (2)ICU回診:毎朝7:35から、麻酔科、救急・集中治療部の回診を行う。身体所見から病態を把握し
治療方針を検討する。

ICUカンファランス:毎朝8:15から、各診療科合同カンファランスを行ない、病態の評価、治療方

針を検討する。

(3)抄読会:月に1回、担当する。

(4)症例検討会

(5)院内救急対応:救急蘇生時には、積極的に参加する。

(6)レクチャー

1)臨床研修医としての必修項目

       ・清潔操作    

カテーテル手技  

・血管作動薬    

     ・抗生物質―使い方、考え方

     ・モニタの見方   

     ・輸液療法      

       ・身体所見のとり方 

2)麻酔科研修を有効にするための講習

       ・全身麻酔     

     ・区域麻酔    

     ・麻酔薬の使い方の基本 

     ・気道確保     

       ・緊急手術の麻酔  

 

F)達成度評価―別紙