トピックス
パーキンソン病で悩む患者様のために
松岡 幸彦
パーキンソン病とは、どのような病気でしょうか。
パーキンソン病の原因は何ですか。
パーキンソン病になると、どのような症状が出るのですか。
どのような検査を受けるのですか。
どのような治療法があるのですか。
日常生活で、どのような注意が必要ですか。
(独)国立病院機構東名古屋病院に受診したいのですが、どうしたらよいですか。
パーキンソン病とは、どのような病気でしょうか。
パーキンソン病の患者様の脳を顕微鏡で観察しますと、中脳の黒質と呼ばれる部分にある神経細胞が変性、消失しています。
この黒質の神経細胞は、ドパミンという、脳の働きにとって非常に重要な物質を産生して、脳の真ん中近くにある線条体という部位に送り込んでいます。
線条体は、錐体外路系と呼ばれ、ヒトの運動を調整する重要な役割をしています。
したがって、パーキンソン病では、結果的に線条体のドパミンが不足することにより、運動に関わる種々の症状を呈する病気であると考えられています。

パーキンソン病の原因は何ですか。
それでは、なぜ黒質の神経細胞が、変性・消失するのでしょうか。
色々な学説がありますが、まだ決定的なことは、分かっていません。

パーキンソン病になると、どのような症状が出るのですか。
四大症候といわれるのは、振戦、固縮、無動と姿勢反射障害です。
これらについて、詳しく説明します。
1)振戦とは、ふるえです。
最初は片方の手指がふるえることが大部分です。
このようなふるえは、じっとしている時に強く現れ、なにか動作をする場合などには、むしろ出にくいのが特徴的です。
2)固縮とは、筋肉が固くなる症状です。
医師が患者様の関節を曲げ伸ばしすると、抵抗を感じます。
3)無動とは、動きが小さくなる、鈍くなることです。
そのために、顔つきは仮面様顔貌といって、表情が乏しくなります。
瞬きが少なくなります。
言葉は、口を大きく開かなくなり、小声・単調で聞き取りにくくなります。
歩きかたは、小股で、ちょこちょこした歩き方で、腕の振りが少なくなります。
ひどくなると、すくみ足といって、足がすくんで一歩も出なくなってしまうこともあります。
寝返りをうちにくかったり、寝た位置から起き上がりにくくなります。
4)姿勢反射障害とは、姿勢を維持する障害を呼びます。
患者様の姿勢は、上半身が前傾・前屈した独特の姿勢となります。
肘や膝の関節は軽く屈曲した姿勢になります。
手指が、独特の形に変形してきます。
また、少し押されただけで、転倒しやすくなります。
5)その他の症状として、便秘になる患者様がほとんどです。
気分は、うつ的になる場合が多いのです。
薬を長く飲んでいると、幻覚や妄想などの精神症状が出ることがあります。

どのような検査を受けるのですか。
パーキンソン病を診断するのは、診察室での専門医による診察がほとんどすべてです。
CTやMRIなどの脳の検査を通常行いますが、それはパーキンソン病と似ている他の病気と鑑別する目的で行います。

どのような治療法があるのですか。
まず、飲み薬による治療(薬物療法)が一番重要です。
飲み薬としては、現在、以下の6種類の薬が発売されています。
1)レボドパおよび脱炭酸酵素阻害剤との合剤
ネオドパストン、メネシット、マドパー、ECドパール、などの商品名があります。
最も基本的かつ重要な薬ですから、ほとんどの患者様に飲んでいただきます。
パーキンソン病の脳内で不足しているドパミンを補う薬です。
1日1錠から飲み始め、中等症の患者さんで3錠、重症では、それ以上も飲むことがあります。
副作用としては、飲み始めに吐気、嘔吐などが出ることがあります。
2)ドパミンアゴニスト
パーロデル、ペルマックス、ドミン、カバサールの商品名で出ています。
線条体でドパミンを受け取るところを受容体(レセプター)と呼びますが、そこを刺激する薬です。
副作用は、パーロデル、ペルマックス、カバサールで飲み始めに吐気、嘔吐が出ることがあります。
ドミンでは眠気が出やすい傾向があります。
3)抗コリン薬
アーテン、などの商品があります。
振戦には効果があるといわれています。
副作用としては、口渇がみられやすいです。
排尿障害を来すことがあるので、前立腺肥大のある男性には、注意して使う必要があります。
4)アマンタジン
シンメトレルという商品名です。効果はわりと穏やかで、補助的に使います。
5)ドロキシドパ
ドプスという商品名です。
すくみ足に効果があるといわれています。
6)セレギリン、デプレニール
エフピーという商品名です。
他の薬と併用して、補助的に使います。
薬物療法以外では、脳外科的な手術療法も行われています。
定位脳手術といって、脳の特定の部分をめがけて細い針を刺し、そこを破壊したり、電気刺激をしたりします。
ただ、このような手術をしても、パーキンソン病が治ったり、進行を止めたりするような効果があるわけではありません。
リハビリも重要です。
理学療法士に指導を受け、日常的には、散歩をしたり、体操を続けることが大切です。

日常生活で、どのような注意が必要ですか。
1)薬をきちんと服用し続けることが、何より重要です。
薬は、病気を根本的に治す薬ではありません。一生飲み続けなければなりません。
勝手に服用をやめることは、絶対にしてはいけません。
風邪を引いたときなど、他の薬を飲むことになったからといって、パーキンソン病の薬を止める患者様がありますが、いけません。風邪薬などと併用しても大丈夫です。
飲む量や、回数、時間を変えるなどの工夫は、主治医と相談の上で行って下さい。
胃散と一緒に飲むのは、効果を減らすことがあります。
2)運動をしましょう。
まずは、理学療法士の診察を受け、自分に合った運動療法を指導してもらいましょう。
体操、散歩、バランス訓練、呼吸訓練、などがあります。
できるものから、できる範囲ではじめて、だんだん増していきます。
楽しく行うことが大切です。
家族の励ましが重要です。
自分でできることは、ゆっくりでもなるべく自分でするようにしましょう。
3)気分が落ち込みがちになる方が多いのです。
些細なことでも、積極的に医師に相談しましょう。
家族の方は、患者さんの訴えをよく聞き、相談に乗ってあげて下さい。
気分転換が大切です。閉じこもりがちにならず、色々な人と交流しましょう。患者交流会などは、とても有用です。
趣味としてできることを持ちましょう。パーキンソン病の経過は、患者さんごとにそれぞれ違います。悲観的にならず、積極的に病気と付き合うようにしましょう。
4)日常生活の中に、色々な工夫を取り入れてみましょう。
補装具、衣類、食事、トイレ、家の構造、など。
医師、看護師、保健師、理学療法士、福祉関係者、患者さん同士など、色々な人の助言を受けましょう。
5)公的助成制度を活用しましょう。
パーキンソン病は、国の指定する特定疾患に含まれています。
しかし、医療費の公費負担を受けられるのは、一定以上の重症度の方だけです。
医療機関や保健所で、ご相談下さい。
重症の方は、介護保険制度による給付を受けることも出来ます。
市町村の窓口でご相談下さい。

(独)国立病院機構東名古屋病院に受診したいのですが、どうしたらよいですか。 
独立行政法人 国立病院機構 東名古屋病院では、月曜日から金曜日まで毎日、神経内科医がパーキンソン病患者様の診察を行っております。お気軽に受診して下さい。
予約は必要ありません。
受付時間は、午前8時半から11時までです。
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