学術活動このページを印刷する - 学術活動

   徳島病院では、パーキンソン病の研究にも積極的に取り組んでいます。その学術活動の一部を御紹介します。

   ■徳島病院のパーキンソン病のリハビリが学術誌「Brain and Nerve」(2011年第63巻、第8号、平成23年8月1日発行)に掲載されました。 この雑誌は主に神経内科領域の医師を対象に刊行されている専門誌です。「Parkinson病に対する新しいリハビリテーション」と題された論文の中で、 徳島病院のパーキンソン病リハビリテーションのどこが新しいのか?このリハビリがなぜ必要なのか?などについての詳しい解説が掲載されています。

 

学術誌「Brain and Nerve」(PDF)

 

   ■徳島病院で行っている基礎研究がイギリスの学術雑誌「Human Molecular Genetics」の電子版に掲載されました。これは、分子生物学的なアプローチによって、 家族性パーキンソン病の発症に関与する新しい遺伝子を発見したものです。徳島病院臨床研究部の研究者たちは、最終的にはパーキンソン病の新たな治療薬を開発すること目指して、 日々研究に取り組んでいます。なお、この研究の詳しい内容は平成23年12月23日付けの徳島新聞記事(PDF)と 電子版で紹介されています。

    ■パーキンソン病リハビリテーション
徳島病院で行っているパーキンソン病専門リハビリテーション研究がEuropean Academy of Neurologyの学会誌である「European Journal of  Neurology」に掲載されました(2021;28(6):1893-1900)。これは、私たちが平成21年度から行っているグループ単位のリハビリテーション(この論文ではsociability-based fitness approachと呼称しています)が、個別に実施するリハビリテーションに比べ格段に効果的であることを証明したものです。 そして、リハビリテーションをグループで実施することによるモチベーションの向上が大きな役割を有することが同誌審査員に認められました。

  ■パーキンソン病に対する新たな治療法
徳島病院では2012年頃から、パーキンソン病に対する脊髄反復磁気刺激法(rTSMS)の効果に関する研究に着手しました。そして、rTSMSが「腰曲り」をはじめとした姿勢異常に著効することを世界に先駆けて報告しました。Arii Y, Mitsui T, et al. Immediate effect of spinal magnetic stimulation on camptocormia in Parkinson's disease. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2014;85:1221-6.
私たちは、このrTSMSを受けた患者は歩行をはじめとした運動症状が明らかに改善することを観察していました。「果たしてrTSMSがパーキンソン病の諸症状を改善させるのか?」という疑問に答えるためさらに研究を進めました。その結果、rTSMSは同病の歩行障害を中心とした運動症状の改善をきたすことを明らかにしました。その成果はアメリカの「神経治療学会」の刊行する学術誌に掲載されました。Mitsui T. et al. Efficacy of Repetitive Trans-spinal Magnetic Stimulation for Patients with Parkinson‘s Disease: a Randomised Controlled Trial. Neurotherapeutics. 2022 Jun 27. doi: 10.1007/s13311-022-01213-y. 現在、私たちはrTSMSがパーキンソン病の新たな治療オプションとなりうる可能性があると考えています。