| リウマチ科の概要 |
 |
下志津病院のリウマチ科は関節リウマチだけではなく、膠原病全般を診療しています。膠原病は関節リウマチのみならず全身性エリテマトーデス・多発性筋炎・皮膚筋炎・強皮症・混合性結合織病・シェーグレン症候群・多発性血管炎・結節性動脈周囲炎・ウェゲナー肉芽腫症・ベーチェット病・抗リン脂質抗体症候群・リウマチ性多発筋痛症・成人発症スティル病などの多くの病気があります。一般のリウマチ科では関節リウマチ以外の疾患は十分に診療できないことも多いのですが、下志津病院のリウマチ科では、これらの疾患に対しても十分な対応が可能です。リウマチ科のスタッフは、末石
眞 副院長、杉山隆夫 臨床研究部長、杉本豊彦医長、平松有希子医師、岩本太郎医師の五名となっていますが、内科所属の古川雅章 医長も十分なリウマチ・膠原病の診療経験があり、一緒にリウマチ性疾患の患者さまの診療にあたっています。 |
|
 |
| リウマチ科の特色 |
 |
下志津志病院は日本リウマチ学会・日本腎臓学会の認定施設です。約20年前から膠原病・リウマチ性疾患全般の診療を行ってきましたが、1996年4月からリウマチ科を標榜して、さらに充実してきています。現在、千葉県全域および周辺の都県から多数の患者さまが多数されており、膠原病診療の中心的病院です。膠原病の診断に必要な腎生検・筋生検・神経生検を積極的におこなっており、千葉大学医学部付属病院など他施設からの依頼も、多数受け付けています。
膠原病の診断は、以前に比べて一般の医師にも可能になってきていますが、治療に関しては専門医が関わる必要性の高い疾患です。急性期の治療だけでなく慢性期の維持療法について下志津病院には多くの経験があります。また、膠原病は慢性疾患であるため病気に対する患者さまの理解が必要です。多くの患者さまの治療に必要になるステロイド剤をはじめとした薬の副作用の予防・早期発見のためには、その副作用について患者さまに前もって認識していただくことも必要です。このため、患者さまを対象とした、膠原病・関節リウマチ・ステロイドの副作用についての勉強会や市民公開講座を定期的に開催しています。当院の患者さまでなくても聴講可能ですので、是非、ご参加ください(講義内容・日時については内科外来に問い合わせて下さい)。 |
|
 |
| 膠原病・リウマチ性疾患の患者数 |
 |
| 当院のリウマチ科で診療している患者さまの数は、関節リウマチ約600人、全身性エリテマトーデス約250人、多発性/皮膚筋炎約80人、強皮症約70人のほか混合性結合織病・シェーグレン症候群(SS)・血管炎症候群・ベーチェット病・抗リン脂質抗体症候群・リウマチ性多発筋痛症・成人発症スティル病等の約1200人で、常時約30人が入院しています。膠原病・リウマチ性疾患の診断・治療だけではなく、経過中の合併症に対してもきめ細かく対応しています。 |
|
 |
| 関節リウマチ(RA)の治療 |
 |
| 通常、外来治療です。早期からメソトレキサート(MTX)を中心とした抗リウマチ剤を投与し症状により少量のステロイドを併用するステップダウン方式を行っています。MTXは約75%が使用しその80%が継続しています。寛解中止例もあります。無効例では抗TNF剤(生物性剤)を選択します。現在50例以上がレミケードを、30例以上がエンブレルを使用していますが、多くの人に効果があり喜ばれています。関節の高度変形があれば人工関節等の手術を当院整形外科で行っています(人工関節手術は年間約40-50例)。 |
|
 |
| 全身性エリテマトーデス(SLE) の治療 |
 |
| 臓器病変に応じてステロイド量をきめますが、通常プレドニン(PSL)40mg相当で開始し、腎炎あるいは中枢神経症状がある場合などの重症例ではエンドキサン大量静注法(IV-CY)を選択します。特に血尿がある腎炎は高度のループス腎炎がある可能性が高く可能な限り腎生検をして腎炎の状態を確認したあとで治療法を選択します(IV-CYの適応・回数の決定)。IV-CY療法は1回0.5g/月で行っていますが、月経異常他の副作用はほとんどありません。IV-CY療法終了後に妊娠・出産をした患者さまもいらっしゃいます。腎炎の重症度にかかわらず5年生存率95%以上、10年生存率約90%です。透析移行例は多くありません。再発もステロイド単独に比べ減少しています。 |
|
 |
| 多発性/皮膚筋炎(PM/DM) の治療 |
 |
| 通常PSL40mg相当で開始し、必要があればMTX間欠静注法(IV-MTX)を選択しています。IV-MTX療法は20mg/週で行っていますが経口に比べて副作用はおおくありません。IV-MTX療法を併用するとステロイド筋症が減り入院期間の短縮が可能です。間質性肺炎がないと5年生存率95%以上、あると約85%です。 |
|
 |
| 強皮症(PSS) の治療 |
 |
| 通常、外来治療で対症療法が主体です。間質性肺炎の増悪期、ANCA関連血管炎の併発などでステロイドを多く使いますが、それ以外は使っても少量ですぐに減量にはいります。逆流性食道炎にはプロトンポンプ阻害薬、消化管運動障害にはポリカルボフィルCaを使用して腹部症状の改善を図っていますが、多くの患者さまで症状の改善があります。重症の患者さまでは在宅IVH療法も行っており10年以上経過した例もあります。 |
|
 |
| 混合性結合組織病(MCTD) の治療 |
 |
| 臓器病変に応じて治療しますが、SLE・PM/DMの治療とほぼ同様です。 |
|
 |
| シェーグレン症候群(SS) の治療 |
 |
| 間質性腎炎・自己免疫性肝炎・間質性肺炎等の臓器症状に応じてステロイド療法を行います。ANCA関連血管炎を合併することがありこのときはIV-CY療法を併用します。目や口の乾燥症状だけの患者さまが殆どですが、ドライアイには点眼薬の投与、口の乾燥には塩酸セビメリンの投与やマウスウォッシュ・オーラルバランスなどの使用を勧めています。 |
|
 |
| 血管炎症候群の治療 |
 |
| 急速進行性腎炎・多発単神経炎等は生検で状態を把握し治療法を決定します。通常PSL40mgで開始し、重症例ではエンドキサン大量静注法(IV-CY)を選択します。但し、高齢発症者は日和見感染を起こしやすいので控えめに治療しています。ANCA関連血管炎の5年生存率は約75%です。 |
|
 |
| 全体の方針 |
 |
いずれの疾患においても臓器病変に応じた治療を心がけています。ステロイドの初期量はPSL 40mgと少なめにして必要であれば免疫抑制剤(特にIV-CY療法)を併用しています。IV-CY療法を行うことでステロイドパルス療法は激減しています。予防投与でカリニ肺炎・肺結核を減らし、ビスフォスホネート剤の投与で骨粗鬆症・脊椎圧迫骨折の予防を積極的にしています。
当院のリウマチ科では、治験にも積極的に取り組んでおり、最新の治療法を受けられる機会を提供しています。 |
|