臨床研究部のご案内

 当院の臨床研究部は平成14年10月1日に設立され,薬物依存研究室,後期老年痴呆疾患研究室,神経病理研究室,精神科社会復帰研究室,治験管理・精神薬理研究室の各研究室を有する。


1.組織

設立:平成14年10月1目

 臨床研究部の中に, (1)薬物依存研究室, (2)後期老年痴呆疾患研究室, (3)神経病理研究室, (4)精神科社会復帰研究室, (5)治験管理・精神薬理研究室の各研究室を有する。


2.研究部部長・各室長の紹介

1)臨床研究部長

平井 愼二(ひらい しんじ)
 昭和60年徳島大学医学部卒業。平成元年から下総精神医療センターに勤務している。平成9年からは厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課課長補佐を併任する。

2)専任室長

現在 欠

3)兼任室長

(1)女屋 光基(おなや みつもと)
 医学博士。国立病院東京医療センターをへて,現在,診療部長。専門分野,神経病理学。目本神経病理学会評議員。慶應義塾大学医学部精神・神経科講師を兼務。頭部外傷の神経病理の権威。
(2)岩崎弘一(いわさきひろかず)。
 平成3年弘前大学医学部卒業。現在,当院精神科医長。専門分野,精神科治療学。特に,統合失調症の薬物療法,電気痙攣療法についての見識も深く,統合失調症の治療アルゴリズムの確立を目指し,幅広く活躍している。最近は磁気刺激療法についての研究も行っている。
(3)中根 潤(なかねじゅん)。
 平成5年筑波大学卒業。国立療養所久里浜病院を経て,現在,当院リハビリテーション科医長。専門分野,神経病理学。


3.現在の活動状況

(1)痴呆関係

 超高齢で発症したアルツハイマー型痴呆患者を通常の(アルツハイマー型)老年痴呆,(初老期発症)アルツハイマー病患者と対比させ,その臨床的,遺伝子学的,病理学的特徴を明らかにするとともに,痴呆性疾患における行動心理学的症候(問題行動)の薬物療法,特に抗痴呆薬の効果,セロントニン選択性再取り込み阻害薬の効果を検討し,超高齢痴呆や後期老年痴呆のみならず痴呆性疾患に対する薬物療法の確立を目指している。具体的には(1)血清抗コリン活性(SAA)と痴呆性疾患の問題行動との関連を調べるため,SAAの測定と問題行動の検討,(2)抗痴呆薬,セロントニン選択性再取り込み阻害薬投与後の脳内代謝産物の動態の変化や海馬の体積変化をMRIやMRのスペクトを用いた測定,(3)骨密度測定装置を用いて骨密度と活動性との相関研究,(4)超高齢者と老年痴呆,アルツハイマー病患者の痴呆症状や問題行動の比較を行っている。院外研究員や若手の医師の博士号取得や学会専門医認定に取り組んでいる。

(2)神経病理関係

 精神外科手術を受けた患者の脳の加齢変化を迫跡,まとめるとともに,超高齢者の痴呆患者における神経病理学特徴を明らかにする。さらに,これらの臨床症状と病理学的変化の関係を明らかにする。主に,若手の医師が研究を行っている。

(3)薬物依存関係

 この部門は、以下の2点を研究の大きな焦点にしている。

@薬物需要削減のための関係機関の連携のあり方
  現在、薬物乱用問題には関係機関がそれぞれ独自の方針で対応しており、極めて効果が悪い。わが国は主な乱用薬物を規制の対象としていることから、多くの薬物乱用者は犯罪性(薬物規制法違反)及び疾病性(依存)の2つの要素をもつ。それぞれの要素への働きかけは取締処分と援助であるが、対象者は2つの要素を持つため、これらのいずれかの働きかけでは対応が不十分であることが少なくない。従って、薬物乱用者数を最小に抑えることを目的に、いずれの領域の機関もまずは各機関の独立した役割を果たし、対応しきれないところを他領域あるいは他機関の機能により補完する態勢を持つべきある。各機関の特性に基づいて連携体系を構想し、これを∞型連携と名付け、全国への展開を図りながら、細部を整えている。この研究は、平成19年度厚生労働科学研究費補助金(医薬品・医療機器等レギュラトリ−サイエンス総合研究事業)を受け、冨永格院長が班長、平井愼二臨床研究部長が総括責任者となり、進めている。

A大脳生理学的現象による物質再摂取に対する治療法
  依存は古典的には精神依存と身体依存の二つに分けられている。これに対して、条件反射(大脳生理学的現象)による物質再摂取の機序を平成18年に発見した(平井愼二:条件反射による物質再摂取促進と診断 日本アルコール精神医学会雑誌14(1):27-34,2007)。
  治療法として、条件刺激のみを与え、当然であるが薬物は与えないこと、および、不使用を象徴する動作を行うことを反復し、後の渇望発現の抑制を試みている。
 

(4)治験関係

 精神科の治療に薬は大切です。カウンセリングで治したいという気持ちも分かりますが、それだけで治ることは少ないです。精神科的な症状は脳内の神経伝達物質のバランスが乱れているために出現するといわれています。その乱れを補正するのが薬です。どんどん新しい薬が開発されています。開発された薬が実際に使用できるためには、効果と安全性を確認しなければなりません。一般に、従来の薬より、効果が強く、副作用が少ない薬でなければ日本では認可されません。その確認をしていくのが治験です。外国では使える薬でも、日本で使えない薬がたくさんあります。その中には非常に効果が期待できる薬が含まれています。日本で使用を可能にしていくためには治験を行い認可されなければなりません。治験に参加していただくには、通常の治療よりも検査など協力していただく事が多いので大変だと思いますが、本人の治療と、今後同じような症状で苦しんでいる人の治療を進めるために重要なものです。下総精神医療センターでも、積極的に治験を進めています。御協力をお願いすることがありましたらよろしくお願いいたします。