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<はじめに>
「国立療養所・長崎病院の役割は終わった」とささやかれる中で、平成16年4月、国立病院機構・長崎病院に移行しました。
その初代院長として病院のかじ取りを任せられました森 俊介と申します。
基礎の公衆衛生学教室での10年、それからの20年間は離島(対馬いずはら病院)と地域の小さな公立病院(長崎県・琴海町立病院)で、「病院を中心とした地域社会づくり」に専念してまいりました。この間に学んだことは、『病院が地域住民のニーズをしっかり把握して、「患者さんに寄り添う医療」を展開すれば、地域の住民は病院を信頼して下さる』と云うことでした。
長崎病院をお預かりするにあたり、その信念に加えて、「長崎医療圏に無くてはならない病院」を目指し、職員と一丸になって頑張ってきました。
その目的達成のために、@障害者医療(慢性期のリハビリテーション、生活リハビリテーション)、A脊髄損傷や神経難病などの中途障害者の社会復帰とレスパイト、B重症心身障害児の医療・療育、C小児心療内科、D小児発達外来、E終末期医療などに特化して取り組んで参りました。
いずれの分野も、地味ではありますが、現在の日本の医療制度の中では、急性期病院が担えない分野ですし、突然病気になられた方や、障害を背負うことになった患者さんが、地域社会に帰るためには、絶対に必要な病院機能です。
<6年間の経過>
3年目から収支が釣り合い、4年目からは黒字を計上しています。5年目の平成21年3月には全病院敷地約1万坪を長崎市から買い取りました。
「病院敷地の半分を医療ゾーンとして北側に集約し、残りの半分にショッピングモールと障害者専用住宅を造る。その間に芝生の広場を造り、障害者と健常者のふれあいの場とする」と云う長崎病院構想に沿って、来年度は、重心病棟の移転新築、一般病棟の移転新築が始まる予定です。
<当院で展開している医療>
1.一般医療分野
内科、整形外科、小児科、リハビリ科の医師がいますので、当然ですが、一般医療も、地域の開業医の先生方と連携して行っています。
2.特殊な医療分野
@ 障害者医療(慢性期リハ、生活リハ)
脳卒中の患者さんの多くは急性期リハ→回復期リハを経過して社会復帰しますが、どうしても更なる訓練の必要な患者さんや障害が重くて訓練が出来ない患者さん、呼吸器装着が必要な患者さんなどもかなりの人数おられます。その様な患者さんを当院でお引きうけして、必要な訓練を続けて、地域社会にお返しするという役目です。1年あるいは2年の訓練の結果、自力歩行、自力摂食できるようになり、ご自宅にお帰りになった方もおられます。
A 脊髄損傷や神経難病などの中途障害の社会復帰とレスパイト
脊髄損傷は、以前の交通事故や落盤事故と違い、最近は高齢者が転倒することにより罹患されることが多くなりました。当然配偶者の方も高齢ですし自宅での介護が困難になってきます。その様な方々のためのレスパイト、神経難病(ALS、脊髄小脳変性症、進行性核上麻痺、パーキンソン病)の患者さんのレスパイトも多くお引き受けしています。
B 重症心身障害児の医療と療育
現在80名の方の医療と療育を行っています、新たな病棟(治療室と居室、訓練室)を造る予定ですが、新病棟は110床にして、多くの在宅児のショートステイをお受けできるように計画しています。子供たちの療育には、人手が多い方が良いとの考え方で、多くの学生を雇い彼らの時間を買い取ることで、子供たちの疑似の兄弟としてお世話をしてもらうことにしています。現在、既に数人ではありますが、長崎地区の福祉・医療関係の学生が働いてくれています。
C 小児心療内科・発達障害児外来と訓練
この分野の患者さんは多いのですが、専門医は非常に少なく、長崎県には数名の先生しかおられません。当院にはその内の二人の専門医が、それぞれの分野で治療と訓練に当たっています。
D 終末期医療
長崎市内はドクターズネットワークがあり、日本の3か所のモデル地域の一つとして、在宅終末期医療を展開されています。「たとえ癌の末期になっても、住み慣れたご自宅で、信頼するかかりつけの先生の往診や訪問看護、訪問リハビリを受けながら、家族に看取ってもらう」。確かに、素晴らしいしシステムです。しかし、一人暮らしの方、高齢者世帯の場合、どうしても自宅では看取って頂けない患者さんも大勢おられます。その様な方々のために、在宅ネットの先生方と連携・協力しながら在宅の雰囲気の味わえる部屋で緩和ケアを展開しています。ご家庭の雰囲気をそのまま病室に持ち込んだ、「ひだまり」、「こもれび」(台所、畳の間、お風呂場もあります)という病室も用意しています。
当院の緩和ケアチームは、緩和専門医である医師のリーダーシップのもとに看護師、栄養師、薬剤師、リハスタッフ(OT、PT、ST、医師)、社会福祉士、精神保健福祉師などが毎週カンファレンスをもち、「頑張らないが、あきらめない」医療を展開しています。
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