院長のご挨拶このページを印刷する - 院長のご挨拶

2018年4月1日掲載

院長写真
院長 村田 昌彦
 平成26年7月より当院をけん引し、医療の内容を向上されてきた村上優院長がこの3月末で退官された後を受け、私が院長職を引き継ぐことになりました。引き継ぐにあたり、村上先生が掲げた当院の理念である、『この病院で最も大切なひとは治療を受ける人である』を引き継ぎます。
 私が医学部を卒業して研修を始めた平成3年のころ、まだ精神科は敷居が高く、受診することへの抵抗感、偏見が強い時代でした。それから四半世紀が過ぎ、精神疾患への偏見は減り、精神医療への敷居はずいぶん低くなったように思います。うつ病は恥ずかしい病気から、こころの風邪と呼ばれることも多くなり、積極的に受診されるようになりました。精神分裂病は統合失調症と名称が変わっただけでなく、その病状も昔と比べて軽症化していることが多いようです。いずれの疾患に対しても治療薬の種類は増え、副作用も少なくなっています。それでも統合失調症の一部には難治性(薬がなかなか効きにくい方)の患者さんがいらっしゃいますが、当院ではクロザピンを投与することにより、状態が改善して長期入院を脱して退院し、外来通院に移行できたという劇的な改善を経験しました。このように、精神医学を取り巻く環境は大きく変化しています。
 近年外科領域では手術支援ロボットと言われるダ・ヴィンチと呼ばれる高度な内視鏡手術用機械が導入されるようになりました。また、様々な領域で遺伝子検査が行われるようになり、診断の精度が目覚ましく向上しています。精神医療ではどうでしょうか。残念ながら、現時点では精神医療に高度な機械装置が導入されることはありませんし、精神科の診断に遺伝子診断が応用されることもまだありません。結局のところ患者さんの話を傾聴する、昔ながらの面接を主体として診断し、補助的に諸検査を併用する方法が続いています。当院は医師だけでなく、看護師、臨床心理士、作業療法士、精神保健福祉士、事務職員など全職員が傾聴する姿勢で、多職種により患者さんを面で支えていくことを大切にしています。大事なことは、治療を行うのが『人である』ことです。治療を受ける人の苦しみを知り、共感し、適切な支援方法をともに考えていくことを最優先事項とする、この理念をこれからも掲げて医療を進めてまいりたいと思います。当院は小規模な病院ですが、多機能であることを特徴とします。一般の精神科の患者さんはもちろん、児童・思春期の患者さん、難治性の統合失調症の患者さん、徘徊や暴力など周辺症状が目立つような認知症の患者さん、強度行動障害を伴う患者さん、医療観察法による処遇を受ける患者さんなど、様々な患者さんに対応します。また、災害時の対応として災害派遣精神医療チーム(DPAT)も日々研鑽を積んで有事に備えています。このように、みなさまに役立ち、必要とされる病院を目指してまいりますので、今後ともご理解とご支援を賜りたく、お願い申し上げます。