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花粉症研究室


花粉観測の歴史と花粉採集法

 相模原病院では1965年から50年以上、病棟の屋上で花粉飛散数の計測を継続しており、貴重なデーターが蓄積されています。

 当院の周囲1キロメートル以内には大きな建物は見当たらず、屋上からの見晴らしはとてもよく、花粉採集に適している場所です。 花粉はダーラムサンプラー(重力法)を用いて年間を通じて採集、染色後スギ・ヒノキ科、カバノキ科などの木の花粉や、イネ科、ブタクサ、ヨモギなどの草の花粉を光学顕微鏡で観察し同定計測しています。ダーラムサンプラーで計測した花粉飛散数のデーターは、一部ホームページで公開しています。

ダーラムサンプラー(重力法)
ワセリンを塗布したスライドガラスを24時間靜置し、
自然落下した花粉を染色後、同定して計測する方法である。
1平方センチメートルあたりの花粉数(コ/cm2)で表す。

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相模原市における主な花粉の飛散期間

 相模原市はいわゆる首都圏内にあり、都市化の波は近隣の植物分布 を著しく変えてきました。 病棟屋上の観測地点から望む周辺は草木の緑が激減し、近在の群生林も少なくなってきています。 しかしなお所々に森林が守られ、山の緑も残されています。 花粉飛散の年次変動では、そのような環境の移り変わりが大きく影響しています。

 観測地点における花粉症の原因となる主な花粉の飛散期間を下のグラフに示します。

 わが国で花粉症といえばスギ・ヒノキ花粉症の患者さんが大多数を占めますが、観測地点で最も飛散数が多いのはスギ花粉で2月中旬より本格的に飛散を開始して3月中に最大飛散日があり4月の中旬には終息に向かいます。ヒノキ花粉はスギ花粉より約1ヶ月遅れます。またその他の花粉による花粉症も重要であり、その代表がカバノキ科の花粉で、飛散数は少ないのですがスギ・ヒノキ科の花粉と同時期に飛散しています。相模原地区ではカバノキ科の花粉の多くはハンノキで、特に公園や街路樹としてよく見かけます。カバノキ科の特徴は、新鮮な果物、特にりんごやなし、キウイやメロン、パイナップルなど口腔アレルギーと深い関係があり、食べた後に口の周りや目の周りがかゆくなり、重症なかたは呼吸が苦しくなり、アナフィラキシーといわれる症状が起こります。

 一方、草本花粉(草系の花粉)は宅地化などによる草原の減少により飛散数も減少傾向にありますが 、イネ科は種類が多く5月ごろから10月頃まで飛散が続きます。また8月から9月にかけてはブタクサやヨモギも飛散しています。

 スギ、ヒノキ花粉の飛散数は年度によって大きく変動しますので、また今後どのような花粉が飛散するのか観察していく必要があります。

相模原市における主な花粉の飛散期間
相模原市における主な花粉の飛散期間
(国立病院機構相模原病院病棟屋上の観測地点における)
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最新情報

 今年のスギ・ヒノキ科花粉の飛散が終了しました。スギ花粉飛散開始日は1月30日、最大飛散日は2月22日、最大飛散数は1,445個/㎠でした。またヒノキ科花粉飛散開始日は3月5日、最大飛散日は3月22日、最大飛散数は247個/㎠でした。
 相模原病院では1965年より観測を継続していますが、今年の4月30日までの累積花粉飛散総数はスギ花粉6,664個/㎠、ヒノキ科花粉1,531個/㎠で、昨年に比べるとスギ花粉50%、ヒノキ科花粉は40%と少なく、例年(過去10年間の平均)に比べてもスギ花粉80%、ヒノキ科花粉40%と少ない飛散でした。
 今年の治療で効果があった方と、あまり効果がなかった方といると思いますが、来年からの治療方針を決定する上で非常に重要な情報となります。治療を受けた方は、今年いつからいつまでどのような症状があり、どのような治療を受けたかを記録し、来年の治療のために情報を伝えてください。近年、スギ花粉症の治療のひとつにアレルゲン免疫療法と呼ばれる唯一根治を目指す治療法があります。これまでの注射によるアレルゲン免疫療法にかわり、スギ花粉治療エキスを舌下に含ませる舌下免疫療法と呼ばれる治療法です。この治療は認定を受けた専門の先生によって受けることができます。
 今年のスギ・ヒノキ科花粉飛散時期にコロナ感染が重なったために、ほとんどの方が、自宅で自粛生活をされたと思います。またマスクや眼鏡をしていたために、花粉症の症状をうまくコントロールすることができました。花粉症の治療の原則は、やはり自分でできる予防対策が一番大切です。
 これから初夏にかけて数は少ないのですがイネ科の花粉が飛散します。イネ科花粉症の患者さんはこれからも注意が必要です。イネ科の代表的な草本はカモガヤ、スズメノテッポウ、ハルガヤなどでとくに河原やあぜちに多く生育しています。この時期に症状のある方は注意が必要です。また特に眼の症状や、咳などの呼吸器の症状を起こしやすく、症状のひどい方は専門医を受診してください。

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花粉症の原因となる主な花粉

 国立病院機構相模原病院周辺に飛散するアレルギーの原因となる花粉をご紹介します。

【国立病院機構相模原病院周辺に飛散する花粉情報】



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