免疫シリーズレクチャーこのページを印刷する - 免疫シリーズレクチャー

免疫システム:その正常と異常 ~感染症と免疫疾患の理解のために~

平成20年10月から全10回シリーズでレクチャーコースを開催いたしました。

概要

免疫・膠原病内科は、最先端の学術的知見がすぐにベッドサイドでの診療に結びつく、臨床的に最もホットな分野です。免疫学は、医学・生命科学全体の中で、ここ数十年のうちで最も大きく進歩した領域の一つですが、それに伴って、これまで謎が多かった自己免疫疾患やアレルギー、感染症などに対する理解も飛躍的に向上し、画期的な治療法が急速に発展しつつあります。しかし残念ながら、複雑でとっつきにくい印象から、この分野の面白さが十分に伝わっているとは言えません。
本シリーズレクチャーでは、免疫内科の臨床をよりよく理解するために、免疫学の基礎から最新のトピックを交えて概説します。本レクチャーコースは、免疫学に十分な知識をもち、実際に免疫疾患の臨床に携わっている講師陣と直接対話する少人数形式で進められるため、大規模な講義では得られない深い理解と興味を得ることが可能です。基本的に初期研修医・専修医(レジデント)を対象としていますが、その他のスタッフの方々の参加も可能です。

プログラム

日 程 内 容 講 師
第1回 免疫システムの正常と異常:概論 石井 優(リウマチ科)
第2回 自然免疫と抗原提示・MHCの不思議 石井 泰子(アレルギー科)
第3回 Tリンパ球:獲得免疫の司令塔 石井 優(リウマチ科)
第4回 Bリンパ球:抗体の多様性の仕組み 松下 正人(リウマチ科)
第5回 サイトカイン:受容体とシグナル伝達 石井 泰子(アレルギー科)
第1回 感染症:免疫応答と機能不全 石井 泰子(アレルギー科)
第7回 免疫の誤作動1:自己免疫疾患 大島 至郎(免疫異常疾患研究室)
第8回 免疫の誤作動2:アレルギー 片田 圭宣(アレルギー科)
第9回 最新のトピック1:骨と免疫 石井 優(リウマチ科)
第10回 最新のトピック2:To be announced  

プログラムの詳細

第1回 『免疫システムの正常と異常:概論』

講師:石井 優(リウマチ科・臨床研究部)

昔は、「疫(=病気)」と言えば「感染症」であった。成人病もメタボもなく、人々はがんになる前に若くして感染症で死んでいった。疫を免れる機構である免疫システムは、生体が生き伸びていくために獲得した、外来病原体に対抗する基本的な生命装置である。皮膚や消化管・気道などを哨戒していち早く病原体を捕まえるマクロファージや樹状細胞、それらからの緊急信号を受けて感染局所に集まって全身に指令を送るリンパ球など、免疫システムには多彩なプレイヤーが存在し、これらによる一糸乱れぬオーケストレーションによって維持されている。本シリーズレクチャーの第1回では、この巧緻に制御されている免疫システムについて概説し、その異常によってどのような病気になるか臨床的観点から解説する。

第2回 『自然免疫:自己と非自己の輪郭』

講師:石井 泰子(アレルギー科)

生物が外来病原体から自らを守るためにはまず自己と非自己の細胞を区別することが必要である。自然免疫系は進化の比較的初期に登場した自己と非自己の認識システムであり、植物や昆虫も同様のシステムを持っていることが知られている。われわれ脊椎動物では、さらに複雑で特異度の高い獲得免疫系が構築されており、高等生物においては免疫反応の中心は獲得免疫系であると考えられていた。しかし、近年、応答の早い自然免疫系は、われわれ脊椎動物にとっても感染防御の先鋒であり、獲得免疫系の活性のためにも重要であることがわかってきた。
第2回目の今回は、自然免疫についてpattern recognition receptorと補体を中心に概説するとともに、自然免疫と獲得免疫をつなぐ機構、さらに移植免疫や疾患感受性に重要なMHCについても解説する。

第3回 『Tリンパ球:獲得免疫の司令塔』

講師:石井 優(リウマチ科・臨床研究部)

免疫システムは高度に制御された軍隊である。各部隊は細分化した機能を担っているが、それらに司令を送る士官クラスがTリンパ球である。幹部士官である彼らは十分な教育を経て厳しい選抜試験を勝ち抜いてきたエリート集団である。最近では、この集団にもいくつかのグループがあり、それらのバランスによってシステムが巧妙に維持されていることや、そのアンバランスによって自己免疫疾患や免疫不全へとつながることが次々と明らかにされてきている。本シリーズ第3回では、獲得免疫システムの中心的存在であるこれらTリンパ球について、基礎事項から臨床上の最新知見まで含めて概説する。

第4回 『Bリンパ球:抗体の多様性の仕組み』

講師:松下 正人(リウマチ科)

 

第5回 『サイトカイン:受容体とシグナル伝達』

講師:石井 泰子(アレルギー科)

指揮者も楽譜もなければ楽団はメロディーを奏でられないだろう。ヒトのような多細胞生物でも各細胞が協調して働くためには細胞間の情報伝達が欠かせない。サイトカインは細胞から分泌される生理活性物質であり、主に局所での細胞間の情報伝達を担う。免役システムにおいては炎症反応や細胞の分化・遊走に関与することが知られている。その機能の多様性(diversity)、重複性(redundancy)、連鎖反応性(cascade reaction)から複雑な作用を示すが、近年では臨床分野でも直接サイトカインをターゲットとした新しい薬剤が次々に臨床応用されている。今回のレクチャーでは、代表的なサイトカインを取り上げ、レセプターとそのシグナル伝達機構について概説し、抗サイトカイン療法についても解説する。

第6回 『感染症:免疫応答と機能不全』

講師:石井 泰子(アレルギー科)

 

第7回 『免疫の誤作動1:自己免疫疾患』

講師:大島 至郎(免疫異常疾患研究室)

自己免疫疾患の発症の原因は残念ながらほとんどの未だ明らかになっていない。しかし近年の分子生物学の進歩によって、自己免疫疾患の病態、発症機序が分子レベルで明らかになりつつある。今回は、膠原病、関節リウマチに焦点を当て、新しい知見の紹介を交えてその発症機序について考察したい。また新しい治療法についても紹介したい。

第8回 『免疫の誤作動2:アレルギー』

講師:片田 圭宣(アレルギー科)

近年、世界中でアレルギー患者は増加している。気管支喘息、アトピー性皮膚炎、鼻アレルギー、食物アレルギー・・・先進国の都会でこの傾向は顕著である。なぜ、増加しているのか原因はわかっていない。人類の活動は地球温暖化以外にも環境に負荷をかけているのだろうか。
同じものに接触して、他の人とは異なった反応を起こすということが、元々のアレルギーの定義である。アレルギー疾患では、生体を外界からの侵入者から防御するはずの免疫システムが自己を障害してしまう。IgE抗体の産生、Th細胞からのサイトカインの産生パターンなど、患者と健常人ではどこが異なるのか、最近の知見を織りまぜて概説する。

第9回 『最新のトピック1:骨と免疫』

講師:石井 優(リウマチ科・臨床研究部)

 

第10回 『最新のトピック2』