国立病院総合医学会





産科婦人科

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子宮体がんに対する腹腔鏡手術

腹腔鏡手術患者さんにできるだけ負担がかからず、早期に社会復帰ができるように腹腔鏡などをもちいた低侵襲手術が婦人科領域においても急速に普及しつつあります。当院では以前より良性疾患に対して腟式手術や腹腔鏡手術を積極的に導入し、多くの手術を行ってきました。2014年より、悪性度の低い早期の子宮体がんに対する腹腔鏡手術が、悪性腫瘍手術や腹腔鏡手術の実績がある施設において保険診療として認められるようになりました。当院でも2017年6月より子宮体がんに対する腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術の施設認定を受け、行うことができるようになりました。
今後も、より安全に、より負担を少なく、確実に治療を行う良質な医療を提供していきたいと考えています。



♦ 子宮悪性腫瘍手術

子宮体がんの標準的な手術治療として、腫瘍が子宮に限局する早期の悪性度の低い子宮体癌に対しては子宮、両側卵管卵巣、骨盤リンパ節を切除します。今までは開腹してこの子宮悪性腫瘍手術を行ってきましたが、今後、当院では腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術を積極的に行っていきたいと考えています。



♦ 腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術の利点

安全性:開腹術の際の肉眼による視野と比較して、腹腔鏡下手術ではモニターに写る大きく拡大された視野で手術を行うため、細かいデリケートな作業が容易になります。これにより、開腹手術と比べて出血が少なくなり、癒着、腸閉塞などの術後合併症が少なくなると言われています。

低侵襲:開腹手術と比べて傷が小さく(下図)、術後の痛みが軽くなり、手術痕が目立ちにくくなります。合併症も少ないため入院期間は短く、早期の社会復帰が可能になるとされています。


治療成績:開腹子宮悪性腫瘍手術と比べて遜色のない良好な治療成績が報告されています。



♦ 腹腔鏡手術の弱点

独特な操作技術:腹腔鏡という拡大した視野で、制限のある操作で手術を行うため、細かい作業が得意な反面、大きな動作は苦手となり、出血が多い時など開腹術へ変更することがあります。

傷が小さい:低侵襲という視点では利点になりますが、子宮に子宮筋腫などのような大きな腫瘍がある場合は、小さな傷を拡げて取り出すことがあります。




産科婦人科病棟医長 山口 建