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邑久光明園のホームページへようこそいらっしゃいました

photo 国立療養所邑久光明園長
牧野正直

国立療養所邑久光明園は、全国に13ある国立ハンセン病療養所のうちの一つで、岡山市の東南35Kmの瀬戸内海に浮かぶ、長島にあります。瀬戸内海の温暖な気候と四季折々の美しい自然に満ちあふれた環境は、療養に最適の地とされております。
光明園のある瀬戸内市邑久町は、大正ロマンの画家竹久夢二の生まれた町でもあり、東洋のエーゲ海と呼ばれる牛窓町、備前焼で名高い備前市に隣接し、東南は瀬戸内海国立公園を望んでいます。
ハンセン病については、別なページでより詳しく説明いたしますが、簡単に述べますと、らい菌によって引き起こされる慢性の感染症です。この菌は神経組織との親和性が高く、末梢神経がおかされることによって生ずる神経障害がもっとも重要な症状です。現在では、抗生剤を中心とする治療法が確立されており、完治する疾病です。しかし、1943年までは有効な治療法がなかったため、現在当園に入所しておられる方々の大部分は、重複した障害を後遺症として残してしまいました。早期診断と早期治療が重要で、最近診断される新しい患者さんのほとんどは、障害を残さずに治癒しておられます。

ハンセン病をとりまく現況                     2008.8.1

 2008年6月11日「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」いわゆる「ハンセン病問題基本法」が国会を通過し成立いたしました。これによって全国の国立ハンセン病療養所は"地域へ開かれた病院"を目指すことが可能となりました。施行は2009年4月1日ということで、まだ9ヶ月ほど猶予はありますが、現時点におけるハンセン病療養所の最大の話題が、将来構想であることはこの法律の成立からも明らかです。当園でも近々に将来構想委員会なるものを立ち上げ、全療協の主張している2008年度末までに結論を出すべく、議論を再開せねばならないと考えます。


光明園の園長として

 私は、1994年4月1日当園に赴任し、本来であれば本年(2008年)3月31日をもって定年退職の予定でしたが、昨秋厚労省より留任の要請があり、現在延長1年目に突入いたしました。行事に追われるのみで、時の早さに戸惑いを感じています。
 また、来年(2009年)は当園の母体であった外島保養院が、1909(明治42)年大阪の地に開設されてから数えて100周年ということで、100年誌の編纂や100周年記念行事の企画など、私ども職員もその準備に何となく気ぜわしい毎日を過ごしています。その上に本年は邑久長島大橋開通20周年の年でもあり、5月9日には国会議員、岡山県知事、瀬戸内市長など多くの来賓の列席の下「邑久長島大橋開通20周年記念式典」が行われ、テレビ、新聞等でも大きく報道されました。また、本年は室戸台風のために死者187名を数えた惨事が原因で外島保養院が壊滅し、大阪を離れ、この長島の地で再興された1938年から数え70周年ということで8月5日に行われる納涼祭は、例年以上に充実した内容が準備されつつあります。
 さらにこれに加え、おそらく来年2月になると考えていますが、日本医療評価機構の医療機能評価を受けることが決まっており、その準備にも追われています。


光明園の現況

 光明園の入所者の現状は2008年7月1日現在、男性107人、女性107人、合計214人で、平均年齢は80.6歳です。盲人も60人余、また電動車椅子使用者も60人強で、入所者は超高齢障害者集団と呼ぶことができます。この集団にも一般社会同様、認知症の波が訪れ、医療における最大の課題は認知症対策です。当園でも遅まきながら認知症に数年前より本格的に取り組んできた経緯があり、2008年度と2009年度の予算で、認知症対策の根本に位置づけることができる「ユニットケア」を建設する予算が付きました。もちろん全国初の国立の「ユニットケア」病棟の開設と言えます。10年前に国立で初めての特別養護老人ホームとも言える「老人センター」を開設することのできました当園が、ユニットケアにおいても全国に先がけ、導入できますことは当園の大きな誇りでもあり、入所者の期待も大きいものがあります。


光明園の理念と当面の運営方針


理 念

私たちは入所者の尊厳を重んじ

健康かつ安全で充実した療養生活を

心をこめて支援します



基本方針

入所者にやさしい療養所を目指します

働く人にやさしい療養所を目指します

地球にやさしい療養所を目指します

 

 昨年、機能評価の受審に向けて理念の下に3つ基本方針を掲げました。この中で最も特徴のありますのが3つ目の「地球にやさしい療養所を目指します」で当園の特長をよく表しています。これは地球温暖化をはじめとする環境問題を意識して作ったものですが"環境にやさしい"という言葉を用いず"地球にやさしい"という言葉を選んだ理由は、当園の伝統である海外医療協力を包含することができる目標にしたかったためです。この理念を作製した当時は、国際医療協力に積極的に関わっており、当園が全国のハンセン病療養所の中心となり、ミャンマー国へプロジェクトチームを送っていた関係もあり、英語はもちろん東南アジアの数カ国の言葉にこの理念を翻訳し、園を訪れる外国からの留学生達に見せていましたが、現在では海外からの来訪者は少し減少しています。しかし、現在でも畑野副園長や岡野眼科医長、伊藤整形外科医を中心に海外医療協力の機会も多く、この方面は特長としてこれからも重視して行きたいと考えています。
 他の2つの基本方針の内、第1番目の入所者にやさしい療養所を目指すことは基本中の基本で、ここで改めて書く必要もありません。第2番目の"働く人にやさしい療養所"というのが、現在のような激動の時期には最も大切なことであるかも知れません。
 15年前、私がここへ赴任した当時、ハンセン病に対する偏見には恐ろしいものが存在していました。例えば当園の職員の中に、自分の勤務先を「邑久光明園です」と言えない人が居ました。当時、ハンセン病の療養所に家族が勤めていることだけで縁談が壊れた例のあったことも事実です。
 隔世の感がいたします。私達一人ひとりの努力が徐々に実り、おそらく現在、「邑久光明園」を名乗れない職員は居ないと思います。そして、職員一人ひとりがお互いを尊重し合いながら、誇りを持って働ける職場を目指し日々邁進しています。
 最初に述べましたように「ハンセン病問題基本法」の成立で、ハンセン病療養所も地域に開かれた病院として大きく変貌しようとしています。全職員一丸となって園の基本理念を達成すべく日々努力しましょう。また光明園を囲む多くの人の支援、協力を求めます。