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その1 |
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| I. | 関節リウマチとはどの様な病気でしょうか 関節リウマチは、対称性に手や腕、足や膝のあちこちの関節が、炎症を起こし腫れて痛くなる病気で、35歳から55歳ぐらいの女性に多いです。夜明けから朝にかけて、あるいはしばらく動かなかった後に関節がこわばることが多く、動かしているうちに楽になってきます。これを朝のこわばりと呼び関節リウマチに特徴的な症状です。病気が進行すると関節の動きが悪くなったり、関節が変形したりすることがあります。 |
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| II. | なぜ関節リウマチになるのでしょうか 関節リウマチが起こってくるメカニズムには、自分に対する免疫、自己免疫が深く関与していると考えられています。免疫機能は、体に入ってきた細菌や、ウィルス、カビ、毒素などを、攻撃し、体から排除するする仕組みで、自分自身の内臓・臓器は攻撃しないようにできています。しかし、時に何らかの原因によって、気分自身の体の一部を攻撃して破壊してしまうことがあり、そのため起こる病気を自己免疫疾患と呼びます。関節リウマチは、主として関節が攻撃される自己免疫疾患です(図1)。 |
![]() 図1.関節リウマチと 膠原病、自己免疫疾患の関係 |
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| 関節リウマチでは、なぜこのような自己免疫が起こってしますのかはわかっていません。持って生まれた遺伝的な体質やその他の要因が関係して関節リウマチになると考えられています。 | |||
| III. | 関節リウマチは、いつ頃からある病気なのでしょうか 約3000年前の北アメリカのインディアンの骨に、関節リウマチの特徴が見つかっており、少なくともこのころより関節リウマチはあったと考えられています。関節リウマチが、一つの病気として扱われるようになったのは19世紀になってからです。膠原病とは、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、皮膚筋炎・多発筋炎、結節動脈周囲炎、リウマチ熱をまとめて呼ぶ呼び名です。関節リウマチは、代表的な膠原病です(図1)。 「慢性関節リウマチ」という病名が使われてきましたが、病気の発症、進展が必ずしも慢性に経過するとは限らないこと、「慢性」の言葉は、治療により症状が改善することが多いにもかかわらず、症状がいつまでも続くことを連想させるため、2002年に、「慢性」の接頭語をとり、「関節リウマチ」と呼ぶようになりました。 関節リウマチに悩まされたことで有名な歴史上の人物は、19世紀末から20世紀初頭に活躍したフランスの画家、ルノワールです。ルノワールは、晩年、多発関節炎を患い、膝や、手の指の関節が機能を失い、立ち上がれなくなり、絵筆を満足に握ることさえできなくなりました(図2)。しかし、車椅子に座り、絵筆を絆創膏で固定し制作を続け、すばらしい絵画を残しています(図3)。芸術に対する情熱なせる技ですが、関節リウマチにより関節の機能が低下しても、工夫次第では、様々なことが可能なことを教えてくれています。現在では、リウマチに対する新しい薬も開発されてきており、関節の破壊を治療により防ぐあるいは、遅らせることができるようになってきています。また、人工関節を用いて関節の機能の回復も行われるようになってきています。 |
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![]() 図2.ルノワールの肖像。 手の指が変形しているのがわかると思います。 |
![]() 図3.晩年にリウマチを患ってからの ルノワールの作品、「ピアノによる娘たち」 |
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| IV. | 関節の仕組み 関節は、骨と骨をつなぐ役目、骨格が動くようにする役目、また姿勢をきちんと保持する役目があります。関節は関節包と言う膜に包まれています(図4左)。その内側の表面は、滑膜と呼ばれる滑り易い膜で覆われています。関節リウマチはこの滑膜の炎症で始まります。骨と骨との間の隙間を埋めるように少量の関節液があり、骨の表面には軟骨があり関節の動きを滑らかにしています。その周囲には、靱帯や筋肉、腱があります。関節リウマチが進行すると関節液が増えたり、軟骨や、骨、靱帯、腱が障害されてきます(図4右)。 |
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![]() 図4.関節の模式図。正常の関節(左)と関節リウマチの関節(右)。 |
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| V. | 関節リウマチの症状 1. 関節の症状 関節リウマチによる関節炎の特徴は、あちこちの関節が、対称性に腫れて痛くなること、夜中から朝にかけて症状が悪くなり、朝方は関節がこわばって動きにくい(朝のこわばり)ことです。関節リウマチによる関節炎が起こりやすい関節は、手首、一番先端の関節は除く指の関節です。 関節リウマチによる関節炎が続くと、関節をつくっている骨が脆くなったり、かけてきたり、関節の骨と骨のつながりが不安定になり力が入らなくなったり、ずれて亜脱臼といわれる状態になることがあります。関節の周囲にある腱にも炎症が及び、腱が切れ、関節の動きが悪くなったり様々な変形をおこしたりすることもあります(図5)。手首の腫れが強くなるとそこを通る、手の指の感覚を脳に伝える神経を障害して手のしびれが出現することがあります。膝に関節炎がくると、大量の関節液が溜まってくることがあり、膝が痛くて歩けなくなったり、正座ができなくなったりします。 |
![]() 図5.関節リウマチ患者さんの手。左側 のレントゲン写真では、関節がず れたり、骨が薄くなったり、かけ たり、癒合したりしているのがわ かります。右側は、関節が変形し たりずれたりした手。 |
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| 注意しなければいけないのは、首の骨の関節炎です。1番上の首の骨(第一頸椎)と2番目の首の骨(第二頸椎)の間の関節に炎症がおこりずれると、首の骨の中を通っている脊髄や、脳の一番下の部分を圧迫しその部分の障害を起こすことがあります。手足がしびれたり、頭痛が起こったり、ごく希に呼吸が止まり命に関わる状態になることさえあります。カラーを巻いて頚を保護したり、手術で首の骨を固定することが必要になることがあります。気管の入り口にある軟骨と軟骨の間にある滑膜に炎症が起こることもあります。のどの痛みや、声が出にくい、かすれる、物を飲み込む時に痛いといった症状が出ます。放置しておくと希に呼吸困難を来たし緊急の処置を必要とすることがあります。 | |||
| 2. 関節リウマチの関節以外の症状 関節炎はすべての関節リウマチ患者さんに出現しますが、時に関節以外にも病気が出てくることがありこのような症状をまとめて関節リウマチの関節外症状と呼びます。 代表的な関節外症状は、関節リウマチ患者さんの約半数にみられる、関節付近の皮膚に下にできる硬いしこりで、リウマチ結節と呼ばれます。時に、肺などの内臓にできることもあります。 肺には、間質性肺炎がよくみられます。関節リウマチそのものによる間質性肺炎は、多くの場合自覚症状はほとんどないか軽度です。しかし、関節リウマチの治療で使われる抗リウマチ薬による間質性肺炎では、咳や、息切れ、息苦しいといった症状が出ることがおおく、原因である薬を中止する必要があります。 リウマチ患者さんによく見られる血液の異常は貧血で、その原因としては(1)関節リウマチ等の慢性炎症性疾患に伴う貧血、(2)月経過多や、食事による鉄分の摂取不足、胃潰瘍等の消化管よりの出血による鉄欠乏性貧血、および(3)薬の副作用や加齢に伴う、血液の工場である骨髄の機能低下による貧血です。原因により治療方針が違ってくるため、検査にて原因を調べることが必要です。 関節リウマチによる全身の炎症が長い間続くと、アミロイドと呼ばれる物質が、腎臓や、心臓、神経など、体のあちこちの臓器にたまり、それぞれの臓器の機能を障害することがあり、アミロイドーシスと呼ばれます。 関節リウマチそれ自体による腎臓の障害は希です。しかし、上記のアミロイドーシスや、治療に使う消炎鎮痛剤、抗リウマチ薬によって腎臓が障害されることがあります。 皮膚の細い血管が炎症を起こし発疹ができたり、皮膚の潰瘍ができたりすることがあります。目には上強膜炎、強膜炎といった病気を起こすことがあり、神経の障害により、手足がしびれがでることもあります。また、血管に炎症をおこし、腸や心臓、肺の血流障害を起こしたり、胸膜炎を起こしたりすることもあります。 このような関節外症状が病気の中心となっている患者さんを、悪性関節リウマチと呼ぶことがあります。 |
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| VI. | 検査 関節リウマチの診断でよく知られているのは、リウマチ因子です。リウマチ因子は、関節リウマチの患者さんの約80%の方で陽性になりますが、関節リウマチ以外の自己免疫疾患や慢性感染症等でも陽性になることがあります。また、健康な人の0.3-5%で、リウマチ因子が陽性となるといわれています(図6)。 |
![]() 図6.リウマチ因子と関節リウマチの関係 |
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| 関節リウマチを治療していくためには、病気の勢い、活動性を計る必要があります。関節リウマチの活動性を計る指標は、関節症状の他に、血液の検査では、血沈(赤沈)、CRP、リウマチ因子、白血球の数、マトリックスメタロプロテアーゼ3(MMP-3)といったものがあります。関節の状態を調べ、手術の必要性や、関節破壊の進行、関節以外の内臓の障害、関節リウマチに対して使った薬の効果や副作用の有無を調べるために、様々な検査が必要になることがあります。 | |||
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| (リウマチ科 市川 健司) | |||