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一般・細菌検査室のご案内
一般・細菌検査室ってどんなところ?
 現在、4人で検査業務を行っております。検査室の窓は北側に面していて、道路をはさんだ向こう側には小学校があり、春には庭に咲く桜が満開になり、秋にはナナカマドの実が真っ赤になって、また長い冬が訪れます。
尿検査
 尿に糖や蛋白が出ていないか、出血がないかなどを試験紙で調べる以外に、顕微鏡で炎症や腎臓などからの出血がないかを調べています。膀胱炎のように炎症が起きると尿に赤血球や白血球が出てきます。また、ごくまれに尿中の細胞から癌が見つかることもあります。
 
尿の採取方法
 通常、健常者の尿は本来無菌ですが、尿道口・外陰部には常在菌が生息しており、これらの常在菌ができるだけ混入しないように最初の尿を捨て、中間の部分を採取します。但し、淋菌・クラミジアを疑う場合は、初尿を採取します。
尿検査に影響を与えるもの
ビタミンCの影響
 ビタミンCは食品、薬剤に多く含まれます。体内に入ったビタミンCは尿中に排泄され、尿試験紙の反応を妨害します。
 尿検査の前日にビタミンCを多くとると、糖、潜血、ビリルビン、亜硝酸塩が検出されないことがあります。
ビタミンCは何時間でなくなりますか?
 ビタミンCを含む食品・薬剤を摂取すると、尿中への排泄は摂取後2時間ぐらいから起こり、3〜4時間後で最大となります。摂取する量にもよりますが、24時間後でも排泄が見られる場合があります。
尿の色調
 正常尿はウロクロームという色素により淡黄褐色(麦わら色)です。
 同一個人でも尿量が少なければ褐色調が強く、尿量が多ければ無色に近くなります。
 治療に用いる薬剤が尿の色調を変化させることも多いです。
混濁
 正常で新鮮な尿は透明か、ときに混濁を示すことがあります。
 室温で放置したり、冷蔵保存すると尿中の塩類が析出して混濁します。
 病的な条件では、赤血球、細菌、膿などの存在が疑われます。
尿の臭い
正常尿
 わずかに特有の芳香臭があります。アルコール摂取後の尿では特有の臭いがありますが異常ではありません。
細菌尿
 尿路感染症尿では、細菌によって尿素が分解されアンモニアが生じて不快なアンモニア臭が生じます。
便検査
 便検査では、消化管の出血の有無を調べたり(便潜血検査)、寄生虫卵や原虫の有無を調べます。
 
便検査・・・簡単だが・・・
 検診でおこなわれている便検査は早期ガンでは陽性になりにくいという欠点があります。 大腸の専門家の多くは便検査の効果に疑問をもっています。・・・しかしながら、何もしないよりはよいので、精密検査を受ける時間の無い方は便検査だけでも定期的に受けましょう。
大腸内視鏡検査・・・最も正確だが・・・
 平坦型大腸がんを確実に見つけ、治療(ポリープ切除)も同時に完結する内視鏡が現代の大腸がん検診の主役です。
日本で一番多い寄生虫は?・・・害のない横川吸虫がNo.1
 国民病というと、誰でもかつての結核を思い浮かべるでしょうが、実は、感染率80%という猛威をふるったのが回虫です。戦後、人糞を肥料に使わなくなってから、感染率は急激に低下していましたが、近年は有機野菜などの影響で復活の兆しを見せています。
 回虫に代わって、のし上がってきたのが横川吸虫という1ミリくらいの小さな吸虫です。ただし、横川吸虫は人間に悪さをしない寄生虫の代表格です。感染しても、ほとんどの場合が無症状です。このため感染者が増えたのです。(「フシギな寄生虫」藤田紘一郎・著 日本実業出版社(発行)より)
穿刺液検査
 脳脊髄液・腹水・胸水検査などの穿刺液検査は、その性状などから炎症性の病気や、悪性腫瘍を伴う病気の診断の補助、あるいは治療の経過を知るための検査です。
細菌検査
 種々の検査材料から細菌を検出し、その菌種の同定および、その細菌の種々の薬剤に対する感受性の検査を行い、感染症の診断や抗生物質による治療方針の決定などにつながる検査です。
 特に問題となっているMRSAなどの薬剤耐性菌の検出には特に注意を払っていますし、最近増加傾向を示している結核菌の同定には、PCR法を導入して結核の早期診断に一役かっております。
 また、インフルエンザウイルスやロタウイルスの検査も行っています。
 
よく耳にする細菌の知識
(「よくわかる 細菌と感染のはなし」滝 龍雄・著 日本実業出版社(発行)より)
インフルエンザ菌: 上気道や口腔内の常在細菌叢の1つ。インフルエンザ(流行性感冒)の原因菌として分離されインフルエンザ菌と命名されたが、インフルエンザの原因菌ではない。小児の化膿性髄膜炎や心内膜炎、肺炎を起こすほか、近年はペニシリン抵抗性菌による、難治性の中耳炎が小児の間で多発。呼吸器系に常在しているので、特別な予防法はない。
ウエルシュ菌: 嫌気性の芽胞形成菌。芽胞は抵抗性が強く、土壌などに生息。病気としてはガス壊疽と感染型食中毒がある。ガス壊疽は、土で汚れた傷口からブドウ球菌などと混合感染で生体内に入り、レシチナーゼなどの外毒素を産生して急激に筋肉などの組織の壊死を起こす。
食中毒は大量の菌(10^9個以上)を摂取し、腸管内で芽胞形成時に腸管毒素を産生することで起こる。ガス壊疽の予防は、汚染された傷口をオキシドールなどで消毒することが第一である。
黄色ブドウ球菌: 土壌や水の中などの環境中にいる細菌。食塩抵抗性で丈夫。化膿症や、院内感染を起こす。100℃30分の加熱でも死滅しない耐熱性の腸管毒を産生し、食中毒の原因にもなる。1980年頃アメリカで流行したタンポン病は、本菌で汚染されたタンポンを再使用した女性の膣内で増殖し、スーパー抗原活性をもつ毒素を産生したことによる。予防は、まず菌をつけないこと、化膿している手で調理をしないこと。
結核菌: 菌体に脂質を多く含み、乾燥等に対する抵抗力が非常に強い。また酸性にも抵抗力を示す抗酸菌。ヒトでは全身性の感染により、あらゆる臓器に病変を起こす。結核発症前の潜伏期にある感染者や、開放性結核患者、病後保菌者が感染源。感染力が強く、少量の菌でも感染が成立する。結核症は一時減少したが、現在また増加傾向にある。予防は、ツベルクリン反応陰性者には、BCGの予防接種で免疫をつける。早期発見と完全な治療が大事。
コレラ菌: 海水中に生息する細菌で、鞭毛をもち活発に運動。消化器系感染症であるコレラの原因菌。東南アジアを旅行中に、本菌に汚染された生の水や魚介類を介して感染することが多い。コレラ毒素による非常に激しい下痢が特徴。輸入された魚介類を介して感染する危険性もある。現在はエル・トール型コレラ菌が原因菌。10^8個以上の菌を接取して発症。
サルモネラ菌: 非常に種類の多い細菌で、いろいろの動物に病気を起こす。ヒトでは腸チフスと感染型食中毒の起因菌。腸チフスの発生は稀になっているが、食中毒は非常に多い。食中毒は腸炎サルモネラ菌(SE)とネズミチフス菌が多く、とくにSEに汚染された鶏卵を介した食中毒が急増している。大量の菌(10^8個以上)を一度に摂取すると感染する。食品の加熱をよく行なえば食中毒は予防可。チフスは健康保菌者を完全に治療する。
赤痢菌: 志賀毒素を産生し、大腸粘膜細胞を破壊して出血させる消化器系感染症の原因菌。志賀潔が発見。糞便中に排泄されるので、感染は多くの場合、赤痢菌で汚染された水を介して起こる。感染が10個以下と非常に少ない菌でも成立するので、上水道が汚染されていると大規模な流行になりやすい。現在でも散発的に発生しているが、上水道などの消毒を手抜きしないで行なえば予防は容易。
セラチア菌: 土壌など環境中に生存している腸内細菌科の細菌。細菌の中ではもっとも小さい部類に属し、濾過滅菌用のメンプレン・フィルターの性能試験に使われる。以前は墓地などで赤いカビのように見えたので霊菌と呼ばれた。病原性は弱いが、化学療法剤や消毒薬に抵抗力のある菌が多く、病院内にも多数生存しているので院内感染の原因菌として近年増加しつつある。とくに高齢者にとっては致命的となる場合も多い。
腸炎ビブリオ: 一般には夏季に多い、下痢、嘔吐、腹痛、発熱が主症状の感染型食中毒の原因菌で、最近は秋〜冬にかけても発生。腸管内で耐熱性の毒素を産生。藤野恒三郎氏が1950年に大阪でのシラス中毒事件のときに発見。海水中に生息する好塩菌で鞭毛をもち活発に運動する。魚などを汚染し生魚を食する日本での発生は世界有数。比較的多くの菌(10^6個以上)を摂取することで食中毒を起こすので、刺し身などは冷蔵して保管し、菌の増殖を防ぐこと。
乳酸(桿)菌: 通性嫌気性〜嫌気性の桿菌で、糖を発酵的に分解し、乳酸を作る。自然界に広く分布。病原菌ではなく、腸管などでの正常細菌叢を構成している大切な菌。母乳に含まれるので、母乳栄養児では母乳を介して腸管内に定着する。母乳栄養児の糞便がヨーグルト臭である原因。膣の自浄作用も本菌。最近、本菌が、胃内でのピロリ菌の定着を阻害するらしいといぅ研究結果が報告され、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の予防にも効果があることが期待される。
肺炎レジオネラ菌: 土壌や水中に生存している環境中の細菌で、空調機の冷却水や、加湿器の水の中で、食菌性アメーバに貪食され生存・増殖。高温(60℃)にも抵抗性がある細胞内寄生性菌。感染経路は、本菌を含む空気を吸引することによる。ほかに24時間風呂や温泉、ジャグジーで感染した例も。また大学病院の小児病棟で、加湿器の水が汚染されていて2人の幼児が死亡した例もある。予防は空調機の冷却水や風呂水を頻繁に交換すること。
梅毒トレポネーマ: 細長いらせん状の細菌。STDの梅毒の原因菌。ヒトに病原性の菌は目下のところ人工培養不可。コロンブスがヨーロッパヘもち帰り、全世界に伝播した。温度の変化に弱く、4℃以下で24時間保存すると死滅する。基本的には性行為による直接接触感染。感染すると第1期(3週)、第2期(3か月)、第3期(3年)、そして変性(10年以上)症状に分けられる。妊娠中に胎児に感染する先天性梅毒もある。予防は安全な性行為。
破傷風菌: 北里柴三郎が1889年に世界で初めて純粋培養に成功。芽胞形成性の嫌気性菌でタイコのバチ状。世界中の土壌中に生存。ボツリヌス毒素と並ぶ強力な破傷風毒素(神経毒素)を産生。土壌で汚染された創傷や異物の存在する創傷で混合感染する。創傷部で産生された毒素が血流で全身に広がり全身の筋肉が硬直(弓そり緊張)する。外傷は十分に消毒することで予防。DPT3種混合ワクチン予防接種が有効。発症予防には抗毒素療法がある。
病原性大腸菌: 腸内細菌科の代表的な細菌。糞便中に含まれ、飲料水に本菌が検出されると、水系のどこかが糞便で汚染されている可能性があり、飲料水としては不適。現在5種に分けられるが、基本的には下痢を主体とした消化器系感染。院内感染や肺炎もある。
腸管出血性大腸菌0157: H7は赤痢菌と同様、志賀毒素を産生し、集団発生を起こしやすく、多彩な症状を起こす。10^2個以下の菌数で発症する。予防は、なま物を避け、食べ物、飲み物は加熱すること。
ビフィズス菌: 嫌気性の桿菌で多形性を示す。ブドウ糖を発酵的に分解し、酢酸と乳酸を作る。
ヒトの腸管内正常細菌叢の主要構成菌で非病原菌。酸性の環境を作り、病原菌の定着を予防する。乳酸桿菌とともに、母乳栄養児の腸管内最優勢菌種。
ピロリ菌: 正式にはヘリコバクター・ピロリ。胃内に生存可能な数少ない細菌。糞便にも排泄され、糞口感染で胃内に定着。非常に強力なウレアーゼ (尿素分解酵素)活性をもち、強酸性の胃内では尿素を分解してアンモニアを産生し、局所的に中性に保つ。胃潰瘍、胃癌、十二指腸潰瘍の原因菌。化学療法剤の投与により除菌すると、胃潰瘍などが治癒する。成人の半数以上が本菌を胃内に保有。感染予防は困難。
ボツリヌス菌: 芽胞形成性の嫌気性菌。1mgでマウスを1000万匹殺すことができる非常に強力なA〜Gの7種のボツリヌス毒素(神経毒素)を産生し、ボツリヌス中毒を起こす。以前、東北、北海道地方で魚のハタハタを材料とする冬の保存食である“いずし”が原因で多発し、致死率も高かった。感染には10^9個以上が必要。現在では、ハム、ソーセージ、缶詰などが感染源。また本菌で汚染された蜂蜜を希釈して飲んだ乳児が乳児ボツリヌス症に感染した例も。
リン菌: 性行為感染症(STD)の1つである淋病の原因菌。ヒトにしか感染しない菌で、温度の変化に弱く、20℃以下でも、40℃以上でも速やかに死滅する。男性では尿道炎、副睾丸炎、女性では膣炎、子宮頭管炎、子宮内膜炎などを起こす。最近は性行為の多様化で、咽頭炎や直腸炎も。性行為感染の予防にはコンドームを使用した安全な性行為を。また以前は、出産時に淋病の母親の産道を通過した新生児の目に感染することがあったが、今は化学療法剤の点眼で予防できる。