気管支喘息(喘息)このページを印刷する - 気管支喘息(喘息)

 喘息(ぜんそく)の特徴や治療についてまとめさせていただきました.個々の患者様によっては必ずしもあてはまらない事柄もあるかもしれません.詳細につきましては主治医の先生にも必ずご確認下さい.
 

目 次

1.喘息の特徴
2.診断
3.治療

1.喘息の特徴

気管支喘息は,気管が慢性的に炎症を起こし,何らかの刺激が加わった時に種々の程度で細くなり,呼吸困難,咳,喘鳴(ゼーゼーいう呼吸)といった症状が発作性に発生する(これを喘息発作と呼びます)病気です.このような症状は,夜間から早朝にかけて生じやすく,安静にて自然に改善することもあれば,治療にて改善する場合もあります.

2.診断

喘息に特徴的とされる所見から総合的に診断を行います。  

 

1)自覚症状

発作性に呼吸困難や喘鳴(ゼーゼーいう呼吸),咳を認める.特に一日のうちで夜間から早朝に症状が悪化するのが特徴です.

 

 

2)検査

(1)肺機能検査
 発作時には1秒率が減少します.これは,肺活量(思い切り吸った状態から一気に息をはききるまでにはける空気の量)のうち,1秒間にはける割合で,通常は70%以上が正常です.発作を生じていない時には1秒率は正常なこともあります.

 

(2)気道可逆性試験
発作が生じていない時でも喘息の方は気管支拡張剤を吸入すると肺機能がよくなります.これを確認するため気管支拡張剤(短時間作用型のβ2刺激薬)の吸入15~30分後に肺機能検査を行います.
 

(3)ピークフロー
自宅で出来る簡易の肺機能検査器具(ピークフローメーター)を用いて,ピークフロー,すなわち思い切り息をはいた時の空気の流れの速さ(L/分)を測定します.
 

(4)血液検査
アレルギーに関連したタンパク質(IgE)や好酸球という細胞の増加がないか,患者さんが何に対してアレルギーがあるのかを調べます.
 

(5)喀痰検査
痰の中に好酸球という細胞の増加やアレルギーに関連した物質が確認されることがあります.

3.治療

 

1)基本的な考え方

気管支のアレルギー性の炎症を抑える薬剤(吸入ステロイド剤や抗アレルギー剤)と,細くなった気管支を拡張させる気管支拡張剤(長時間作用型β2刺激薬やテオフィリン製剤)が併用されます.調子がよくなられた場合には,通常は2-3ヶ月安定していることを確認して減量を考えます.自己判断で薬を中断することのないようにして下さい.

 

 

2)治療に用いられる薬剤と副作用

以下に各薬剤の副作用などをお示しします.もし,副作用が出現した場合は,中止や変更を検討しますので申し出て下さい.

 

(1)気管支拡張剤
テオフィリン製剤:むかつき,手の震え,動悸,不整脈などが認められます.
β刺激薬         :動悸,手の震えが最もよく認められます.
 

(2)ステロイドホルモン剤
内服や点滴で長期間継続して用いた場合,感染症,糖尿病,胃潰瘍,骨粗鬆症(骨がもろくなって骨折しやすい状態),高脂血症,不眠症,顔面のはれといった様々な副作用を認めます.吸入で用いた場合には,吸入後に必ずうがいをしていただければ副作用はごく軽度(口内炎や声のかすれ等)です.
 

(3)抗アレルギー剤
 様々な薬剤が出されていますが,吸入ステロイド剤に比較して効果は落ちると思われます.したがって,主に軽症の患者さんに用いられます.
 

(4)抗IgE抗体
 様々なアレルギー反応に関係したIgEというタンパク質の働きを抑える薬です.通常の治療でコントロールが難しい,重症の方が対象となります.