血管疾患外来

当院では血管疾患に対する専門外来を行っております。

 

 心臓血管外科の治療対象となる疾患(血管疾患)は様々なものがあり、他科と連携をして治療に当たる疾患も少なくはありません。ここでは代表的な疾患についてご説明致します。(各疾患をクリックして下さい)

         


     
1.動脈瘤     

     2.閉塞性動脈硬化症

     3.バージャー病

     4.急性動脈閉塞

     5.下肢静脈瘤

     6.深部静脈血栓症

   血管疾患についてご相談がある方は下記外来の受診をお願い致します。

 手術が必要な場合は、筑波大学附属病院と連携を取り、治療を行います。


          診療科 : 心臓血管外科

        診療曜日 : 毎月第2・4水曜日 13時〜15時30分

         担当医 : 筑波大学大学院人間総合科学研究科(心臓血管外科)講師 

                    心臓血管外科専門医、外科専門医   佐藤藤夫

 
(緊急手術などにより、変更となる場合があります。受診前に電話でご確認下さい。)

  

動脈瘤

 血管は内膜・中膜・外膜からなる三層構造(血管の構造参照)により構成されています。動脈瘤は壁の性状(三層構造のどの部分が病変部位となるか)による分類により真性動脈瘤・仮性動脈瘤・解離性動脈瘤に分類されます。三層構造ともに拡張したものを真性動脈瘤と呼びます。一般的に「動脈瘤」と言われているのはこの分類の動脈瘤となります。

 動脈瘤のある場所の血管の名前がつき、胸にあれば「胸部大動脈瘤」、お腹にあれば「腹部大動脈瘤」となります。

胸部大動脈瘤・腹部大動脈瘤
 【症状】
   多くは無症状です。 そのため、多くの場合、検診でのレントゲンで胸部異常陰影や腹部超音波検査で偶然見つかる場合や、腹部に拍動性の腫瘤を自覚することにより見つかります。
 瘤が大きくなると周囲組織(臓器・神経など)への圧迫症状が出現することがあり、さらに大きくなると破けます(破裂)。破裂時には、激痛や意識消失が出現し、高率に命を失います。
   
 【治療】
1.

薬物療法

 瘤径が小さい時は、内服薬による降圧療法を行います。
2. 手術

 瘤径が増大すると、破裂する確率が上昇します。破裂すると治療が困難で死亡する確立が高くなります。原則として破裂する前に手術を行います。手術を行う目安は、破裂する確立との兼ね合いとなり、胸部で6cm、腹部で5.0cm以上を手術適応としております。また、動脈瘤の形によりこの基準よりも小さくても手術を行う場合もあります。

     1)ステントグラフト内挿術
    2)人工血管置換術


      の治療方法があります。

大動脈解離
                     
 【症状】
    突然に症状が出現します。解離の部位により、激烈な痛みが前胸部から肩・背部にかけて現れます。分枝血管の障害により、脳血管障害(意識消失・痙攣など)、心筋梗塞(胸痛)、腹部血管閉塞(腹痛)、下肢血流障害(疼痛・冷感)なども引き起こします。
 【治療】
    病変部位により治療方針が異なります。
Stanford type A (上行大動脈に解離があるもの)
  症状の発症から1時間あたり12%致死率が上昇するため、緊急手術が必要となります。
Stanford B (上行大動脈に解離がないもの)
 合併症の無い場合30日間の死亡率は10%以下であり、内科的治療(血圧を下げて安静にする)を選択致します。
閉塞性動脈硬化症
(atherosclerotic obliterans: ASO)

動脈が狭くなること(狭窄)や、詰まること(閉塞)により脚にいく血液が少なくなり症状が出現します。
 近年、食生活の欧米化により増加傾向にあります。危険因子は高血圧・高脂血症・糖尿病・禁煙です。

 【症状】    分類:Fontaine分類
   
     足の冷え                                                T度

    歩くとふくらはぎが痛くなる(間歇性跛行)                U度

    安静にしている時でも足が痛い(安静時疼痛)            V度

    足に潰瘍ができている                                      W度

   

 以上のような症状がある方は「閉塞性動脈硬化症」の疑いがあります。
分類(Fontaine分類)を右側に示しておりますが、V度以上を「重症虚血肢」といい、手術を含めた早期治療の対象となります。病気の進行により潰瘍が出現し、最悪の場合には、足を切断することになります。

【間歇性跛行とは?】

歩き始めは普通に歩けるのですが、一定の距離を歩くと足(ふくらはぎなど)が痛くなって歩けなくなる。少し休むと痛みが消失し再び歩けるようになる。
→閉塞性動脈硬化症が原因
 脊椎管狭窄症などの整形外科疾患鑑別が必要となります。

 【治療】

日常生活の管理が大切となります。
動脈硬化の危険因子を取り除きます。
禁煙は必ず必要です。
食事として、コレステロールや脂肪分の多い食べ物を控え、食塩の取りすぎに注意し、標準体重を維持するようにして下さい。

1・ 薬物療法

 血管を拡げる薬(血管拡張薬)や血液を固まりにくくする薬(抗凝固薬)を服用します。

2, 運動療法
 痛みがでる直前まで歩いて休み、回復したら再び歩きます。
3. 血行再建術
@ 血管内治療:percutaneous transluminal angioplasty: PTA

 先端に風船や金属の筒(ステント)を装着したカテーテルを用いて、狭窄・閉塞部分を拡張します。
 局所麻酔で行うことができ、入院期間が短期間で済みます。
 狭窄・閉塞部位や程度によりバイパス手術となる場合もあります。

A バイパス手術

 人工血管や自分の静脈を用いて、バイパス術を行います。
 血栓内膜摘除術を行う場合もあります。

急性動脈閉塞

 血管が突然詰まって(閉塞)、組織が死んでしまう(壊死)緊急性の高い疾患です。発症より時間が経てば、切断が必要になります。 
 塞栓子(原因:心房細動、人工弁、心筋梗塞、動脈粥腫など)が遊離して動脈を閉鎖させる塞栓症と、動脈壁病変に続発する血栓症に大別されます。

 
 【症状】
    突然、手や足が冷たくなる(冷感)、痛みが出現する(疼痛)、色が悪くなる(蒼白)、脈が触れなくなる(脈拍消失)、感覚がおかしい(知覚麻痺)、動かなくなる(運動麻痺)などが出現します。
 【治療】

 完全に動脈に血が流れなくなると(完全虚血)、筋肉は68時間、皮膚は24時間で元に戻らなくなり(不可逆性の変化)ます。よって、四肢を切断しなくて良いためには(救肢)のためには、8時間以内の血行再建を必要とします。

バージャー(Buerger)
閉塞性血栓血管炎(TAO)

 2040歳代の男性喫煙者に好発する四肢の非特異的炎症性動脈疾患です。難病として国の特定疾患に指定されています。

 【治療】 
   禁煙が重要な治療法となります。
 外科的治療は、交感神経節切除術と血行再建術に大きく分けられます。内科的治療を行っても症状の改善が認められず、特に潰瘍・壊死などが存在する場合が対象となります。
1.   交感神経節切除術
    交感神経に刺激が加わると動脈は収縮します。交感神経節を切除することにより動脈が収縮するという反応がなくなり、手足の血流を増加させるのを目的とします。
2.   血行再建術 
   血行再建術の適応となる症例は、内科的治療では十分な効果が得られない場合、安静時の痛みと潰瘍形成・壊死を伴う場合です。バージャー病は四肢末梢に病変を認めバイパス対象となる血管が細く手技的に困難な場合もあります。
 バイパス5年間の開存率は、禁煙例70%に対して喫煙再開例30%と術後の喫煙によりグラフト開存率の著明な低下を認めるため、術後の禁煙指導はきわめて大切です。
3.   患肢切断
   各種の治療が無効で、病変部位の壊死や感染創の進行が認められた場合には、やむなく指趾や四肢の切断を要します。近年では、各種の治療法が無効な症例に対して患肢の切断の前に、遺伝子治療や骨髄細胞移植治療などの血管新生療法が試みられるようになってきています。
下肢静脈瘤
分類】      静脈瘤は下記の4種類に大別されます。
(1) 

伏在静脈瘤

   伏在静脈の本幹および、その枝分かれした直後の静脈が拡張 
(2)   側枝静脈瘤
    伏在静脈より枝分かれした部分が拡張
(3)  網目状静脈瘤:
    径23mmの、皮膚の直下の小さな静脈の拡張。伏在静脈の分布とは無関係で、網の目状の広がりを示す。比較的鮮明な青色となる。
(4)  クモの巣状静脈瘤 
   皮膚は構造上、表面から表皮・真皮と分けられ、径0.1〜1.0mmの真皮内の極めて細い血管が拡張したもの。皮膚よりの盛り上がりが少なく、紫赤色になる。
【要因】

性     :  男性より女性に多い
年齢   :  加齢とともに起こりやすくなる
妊娠   :  妊娠をきっかけに静脈瘤ができたり悪くなったりする
           約半数の方が妊娠をきっかけに発症
          産後三ヶ月程で自然に消失する場合もある
生活様式:  長時間立ち仕事に従事している人に多い
その他 :  腹圧のかかる便秘やコルセット、肥満の人に多い傾

【症状】

症状がない場合も多のですが、代表的なものは、自覚症状として、だるい・痛い・重い(血液うっ滞症状)、むくみ(浮腫)、かゆみ(掻痒感)、寝ているときの足がつる(こむら返り)があります。また、他覚症状として、静脈が太くなる(拡張)、静脈に沿って炎症を起こし痛くなる(血栓性静脈炎)、皮膚が紫色になる(色素沈着)、皮膚がぼろぼろになる(皮膚潰瘍)、湿疹や出血があります。

【治療】

(1) 日常生活指導
 長時間の立位を避け、1時間に5〜10分の下肢挙上での休息をとる事。また歩行・足踏みなどにより積極的に筋肉を収縮させ、静脈血が心臓に戻りやすいように促します。寝ている時は、枕を足の下に置くなどして15度程度上げます。
(2) 弾性ストッキングの着用

 脚の表面から圧迫し、血液が静脈内にとどまるのを防ぎます。着用により症状の出現や、静脈瘤の悪化を予防します。

(3) 硬化療法

 下肢静脈瘤の原因となっている静脈を薬を用いて潰してしまう方法です。 太い静脈瘤では適応になりません。高位結紮と同時に行う場合が多く、23日で行っております。

(4) ストリッピング手術

 下肢静脈瘤の原因となっている静脈を引き抜く方法です。
当院では全身麻酔により手術を行います。約1週間の入院を必要とします。