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コラム (以前の記事はこちら No.1~14

指宿 菜の花 通信No.15

医師不足対策

 鹿児島県の医師不足が深刻だ。私は鹿児島医療センターを定年退職後、週3日指宿病院で非常勤医師を務める一方、平成21年5月より、鹿児島県保健福祉部地域医療特別顧問として主に研修医対策、平成22年4月より、鹿児島県医師会常任理事として、ここでも医師不足対策を中心に仕事をしている。

大隅地方のある医師会病院では、今年度、外科医4名が退職し、30年近く提供された外科診療が中止になった。鹿児島県北部の市立病院では平成14年度12名いた内科医が平成21年1月には2名になった。私が現在非常勤で勤務している国立病院機構指宿病院も平成14年22名いた医師が現在15名となっている。特に地方の中核的病院での医師不足が顕著である。

平成16年新臨床研修制度が施行される以前、鹿大病院には、毎年100名以上の新人医師が入局していた。その後、年々減少し、平成21、22年度入局者はそれぞれ41名、47名となってしまった。更に、鹿大医学部卒業生の大都会の研修病院への流出も著しく、鹿児島県全体の研修医も激減して行った。県全体で、平成16年105名いた研修医は平成21年には54名まで減った。それでも鹿大病院からは現在でも約400名の医師が県内の各病院に派遣されている。派遣機能が低下したとは云え、依然として鹿大病院は地域医療を支える基幹的役割を果たしている。

 現実の医師不足は深刻で、早くなんとかして欲しいとの悲鳴が聞こえてくる。各病院でそれぞれ対策を行っているが、なかなか改善しない。本県における医師派遣機能は歴史的に、鹿大病院に「おんぶに抱っこ」の状態で依存してきた。その大学病院の医師派遣機能が低下し、一挙に医師不足が顕在化してきた。この歴史的状況の中で、医師の配置をどうするのか医師自らが考えるべきである。人任せではいけないのではなかろうか。

 対策を進める側としては、研修医の生活、研修条件を改善など様々な対策を行っている。希望も出来る限り聞き入れている。それはそれで重要と思う。しかし、もっと重要なことは医師として、この「県民の悲鳴」をどう聞くのかという事ではないか。医師になって何をしようとしているのか、医師になろうとした原点はなんなのか。「志の高い」医師を増やさない限り、医師の数をいくら増やしても、事態は一向に改善されないと思う。医師確保対策は「病者」のために戦い、困難な状況を変革する医師をより多く育てることであるのかもしれないと思いながら、この事業に取り組んでいる。




  平成22年12月8日

             国立病院機構 指宿病院総合内科医師 中村 一彦