- 呼吸器外科紹介 -各疾患への対応・診療実績

1.各疾患への対応

2.診療実績

  

1.各疾患への対応
(1)肺癌(原発性、転移性)

 検診の普及で最近たくさん発見されるようになったリンパ節転移のない肺癌(T期)は胸腔鏡手術で侵襲(手術の傷、術後の痛み)を小さくして切除しています。とくに高齢の肺機能が不良な患者さんでは縮小手術といって切除する肺の分量を小さくすることで術後の生活に支障ないように配慮しています。進行がんでは最初に手術をするよりもまず抗癌剤治療、放射線治療をしてから手術する方が再発率が低下する可能性があるといわれており、当院でも積極的に術前治療を行っていますが、術後合併症の増加はなく安全に術前治療、手術が行われています。肺に止まらずに周囲の臓器(肋骨、心臓、大血管、食道など)に浸潤した進行がんでは拡大合併切除といってそれら浸潤臓器を一緒に切除することで治る可能性がありますが、当院では合併症無く安全に施行しています。根治性(確実に治ること)と機能温存(術後の生活、仕事が楽にできること)を個々の患者さんごとに追求して手術法を決めているので、平均すると4割の患者さんが標準的な肺葉切除リンパ節郭清を受けたのみで、6割の患者さんは隣接臓器合併切除あるいは気管支形成、血管形成、区域切除などの拡大もしくは縮小切除を施行されています。当院の肺癌手術で輸血が必要になることは殆ど無いのですが肺尖部胸壁浸潤がんなどの拡大合併切除手術では輸血の可能性があり、あらかじめ患者さん自身の血液(自己血)を採血して貯めておいて手術時の出血に使用しているので、ウイルス感染などの危険の無い安全な輸血になっています。


(2)嚢胞性肺疾患(自然気胸、巨大肺嚢胞)

 自然気胸は肺に被った肋膜(胸膜)に小さな穴が開くために起こりますが、適切な治療がなされないと再発を繰り返す厄介な病気です。最も確実な治療は手術です。以前(10年前)は脇の下で皮膚を10cmほど切開していましたが、今は小さな穴を2〜3個開けるだけのカメラ手術(完全胸腔鏡手術)を行っており入院期間が短くてすむことに加えて傷が目立たず痛みも殆どありません。一方、様々な理由で手術が最適の治療と考えられない患者さん、あるいは手術を希望されない患者さんには胸膜癒着療法その他の保存的治療を行って短期間での社会復帰を果たしています。巨大肺嚢胞は肺の中に出来た嚢胞(袋のようなもの)が巨大化して正常な肺組織を圧迫してしまうために息切れが出る病態で、手術が必要です。この手術も当院では胸腔鏡で行っています。


(3)炎症性肺疾患(結核、肺真菌症、肺膿瘍) 胸膜疾患(膿胸)

 結核、肺真菌症、肺膿瘍などの炎症性肺疾患で薬では治らない場合には手術をする必要があります。また膿胸も手術が必要になる代表的な炎症性胸膜疾患ですが、これらの炎症の手術は侵襲が大きく術後合併症の危険が高いことが知られています。当院では出来るだけ肺の機能を損ねない方法で合併症を起こし難い手術法を工夫しており、県内の他施設からの手術依頼にも対応しています。


* 診療実績

 最近10年間の疾患別の手術件数を表で示します。肺癌の手術による治療成績(5年生存率)は TA期85% TB期71% UA期56% UB期44% VA期25% VB期43%です。自然気胸に対する胸腔鏡下嚢胞結紮術の再発率は全国平均に比べて約1/2と非常に良好です。当院で扱う炎症性肺・胸膜疾患は他施設ではあまり手術されない難治性のものばかりで一般的には大量出血の危険が大きい病態ですが、国立療養所時代からのノウハウが豊富にあり当院では無輸血手術がほとんどです。 縮小手術から拡大手術まで様々な手術まで含まれて約250件の手術がありますが、2008年は手術死亡(手術後1ヶ月以内の死亡)、在院死亡(手術から退院できずに死亡すること)とも無く安全な治療が行われています。

 
  肺癌(原発性、転移性) 自然気胸 巨大肺嚢胞 炎症性肺疾患 膿胸 その他 合計
1994年 33 22 0 7 11 23 96
1995年 41 29 2 6 4 17 99
1996年 45 34 2 5 6 28 120
1997年 47 45 1 8 4 32 137
1998年 51 46 2 9 6 32 146
1999年 50 62 3 4 3 34 156
2000年 46 84 0 10 5 33 178
2001年 63 54 2 10 6 51 186
2002年 65 64 3 16 7 40 195
2003年 71 52 1 6 9 39 178
2004年 75 55 5 14 18 25 192
2005年 74 68 1 7 8 26 184
2006年 97 67 4 9 1 20 198
2007年 98 88 4 9 3 47 249
2008年 118 72 3 9 9 42 253

 

国立病院機構千葉東病院