第13回健康講座
○ 講 師: 国立療養所青野原病院小児科医師 越澤
宗平 ○ 演 題: 『花粉症』・・・対策は万全ですか ○ 日 時: 平成13年11月15日(木) 14:00~15:30 ○ 場 所: 病院内理学療法室・訓練棟内
去る平成13年11月15日(木)、第13回「健康講座」が開催され、小児科越澤宗平医師より花粉症にまつわる講演がありました。講演内容をご紹介致します。
花粉症は日本国民の6人に1人が発症、「第二の国民病」とも呼ばれています。何故これほど多発しているのか、残念ながらはっきり解っていません。今後原因の究明と、さらに有効な治療法の開発が望まれます。
現時点で私たちが出来ることは、
- 花粉症の確実な診断
- 早目で適切な治療
- 万全の予防対策です。
もう少し具体的に述べます。
- くしゃみ・鼻水・鼻づまりの症状があっても花粉症とは限りません。通年型アレルギー性鼻炎(主にダニが原因)の方がいますし、好酸球増多性鼻炎・血管運動性鼻炎など、聞き慣れないけれども珍しくない疾患の方もいます。
確実な診断には、
- 鼻鏡検査
- 鼻汁中好酸球検査
- 皮内テスト
- 血液検査(特異的IgE定量)
- 鼻誘発テスト
等の検査が必要で、適切な医療機関を受診した方がいいでしょう。
- スギ花粉症の人は、花粉飛散開始日(2月中旬)の2週間前(1月中旬)頃から抗アレルギー剤の予防内服をすると良いでしょう。症状が出たら抗ヒスタミン剤内服・ステロイド点鼻などで治療します。より重症の人には、短期間ステロイド内服や血管収縮薬点鼻を追加する事があります。血管収縮薬は鼻閉に非常に効果的ですが、使い過ぎると効果がなくなり、また長期使用後急に止めると鼻閉が増悪(リバウンド)するので、一時的使用に限ります。市販品で簡単に手に入るため注意が必要です。
- テレビや新聞などの「花粉情報」に注意して、飛散時期の外出時にはマスク・眼鏡・帽子を着用するようにしましょう。マスクの予防効果は価格によって差がなく、安いマスクを使い捨てにする方が衛生上好ましいです。眼鏡は普通のものでも眼に入る花粉量を3分の1に減らせます。布団を屋外に干した後は表面に掃除機をかけましょう。また花粉を屋内に入れない工夫(窓を閉める、外出後玄関で外出着の花粉を払い部屋に持ち込まない、着替える、洗顔・うがいをする)が必要です。
最後に、花粉症は突然発症し、初期から症状が重く、しかも現在のところ治癒の望めない疾患ですが、花粉症を上手に「飼い慣らし」て、快適な日常生活を送っていただきたいと願っております。 |