第11回健康講座
○ 講 師: 国立療養所青野原病院副院長 河 良明 ○ 演 題: 『健康であるために:特に癌にならないために』 ○ 日 時: 平成13年7月19日(木) 14:00~15:30 ○ 場 所: 病院内理学療法室・訓練棟内
ついに国民医療費が30兆円を超えた私達の国は、健康を個々人の問題としてだけではなく、社会全体の問題として捉えなければなりません。WHOの定義に基づいて、健康を食生活、運動そして心の健康の三つの分野から、各々の現状と目標についてお話しました。
私達の食生活は、高蛋白、高脂肪、低炭水化物食へと急激に変化して来ました。そのために、摂取カロリー量には大きな変化は有りませんが、生活習慣病と言われている病気がどんどん増加して来ています。また、一時は減少傾向であった食塩の摂取量も再び増加して来ています。摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスの反映としての体重を指標として、野菜や果物をより多く摂り、減塩に努め、バランスのとれた食生活を心懸けて下さい。尚、一日に野菜は350g以上、食塩は10g以下が目標とされています。
私達の日常生活や、仕事の場が機械化されたり、交通手段の発達などで日常の消費エネルギーが減って来ています。一週間に2000Kcal以上の運動をすると、死亡率を低下させ、生活習慣病になる危険を少なくします。また、一週間に2回以上、1回30分以上の運動を1年以上続けると、所謂体力の低下を防ぐ事が出来ると言われています。これから運動を始めようと思われる中高年の方は、合併症の心配がありますから事前にかかりつけの医師と、運動の種類や強さについて相談して下さい。
人間らしく生きるためには、身体の健康だけでなく、心の健康も大切です。アルコールや睡眠薬に頼らない良い睡眠がとれるようにして下さい。また、余りにやる気がなくなった時は鬱病の危険が有りますので、専門医を受診して下さい。
昭和56年に癌が死因の第一位になって、今では日本人の1/3が癌で亡くなっています。このままでは、2015年には年間89万人が癌になると予測されています。癌になる原因は分かっているものと、分からないものとがありますが、禁煙と食生活への配慮で、各々30%ずつ合計60%も癌になるのを防ぐ事が出来ると言われています。癌にならない十二箇条をお話しました。
- バランスのとれた栄養
- 毎日変化のある食生活を
- 食べ過ぎをさけ、脂肪を控えめに
- お酒はほどほどに
- タバコは吸わないように
- 食べ物から適量のビタミンと繊維質を多くとる
- 塩辛いものは少な目に、熱いものは冷ましてから
- 焦げた部分はさける
- カビの生えたものに注意
- 日光に当たりすぎない
- 適度にスポーツを
- 体を清潔に
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