第10回健康講座このページを印刷する - 第10回健康講座

第10回健康講座

○ 講 師: 国立療養所青野原病院整形外科医師 宗安 克仁
○ 演 題: 『下肢の人工関節・・・痛みなく歩けるようになるため』
○ 日 時: 平成13年5月17日(木) 14:00~15:30
○ 場 所: 病院内理学療法室・訓練棟内

去る平成13年5月17日、整形外科、宗安 克仁医師により「下肢の人工関節・・・痛みなく歩けるようになるため」と題して、ビデオ上映を交えた講演がありました。講演内容のポイントと、講演終了後交わされた質疑応答をご紹介致します。

変形性関節症や慢性関節リウマチによる股関節・膝関節部痛において、変形が軽く、痛みもさほど強くない場合は、痛み止めの薬や湿布、関節注射などで対処しますが、変形や痛みが強く関節の動きが悪くなって歩行の障害となれば、手術が効果的です。

股関節でも膝関節でも、骨を一度切って角度を変えてつけ直す骨切り術は比較的若い人にする手術で、関節の動きも手術前と同じぐらいに保てますが、痛みが完全にはとれないことが多いので、将来的に再手術が必要になることもあります。70歳前後以上の人にはほぼ完全に痛みがとれて、手術後のリハビリテーションも比較的楽な人工関節手術をします。

ただし人工関節は、股関節では脱臼しやすいという弱点があり、膝関節では曲がる角度が100゜ぐらいが限界ですから正座はできなくなりますし、和式トイレも使えません。また、異物を入れるわけですから、金属の磨耗・破損、逆に骨が金属に負けてずれてしまうなどの危険性や、細菌などが入ると化膿して関節炎や骨髄炎を起こしてしまう危険性もあります。

しかし、関節の骨同士が当たる部分はすべて人工物に変わりますから、立ったり動かしたりするときの痛みはほとんどなくなり、最近は人工関節の性能もよくなっているので、上手に使えば20年近く長持ちします。

手術に際しては自己血を貯血しておいて手術日程を組みますので、通常の輸血の必要はほとんどありません。
手術およびリハビリテーションに要する入院期間は通常約2カ月程度で、手術後は申請すれば4級の身障手帳を受けることができます。