第5回健康講座このページを印刷する - 第5回健康講座

第5回健康講座

○ 講 師: 国立療養所青野原病院整形外科医長 千保 一幸
○ 演 題: 『転ばぬ先の骨粗鬆症のお話』
○ 日 時: 平成12年6月15日(木) 14:00~15:30
○ 場 所: 病院内理学療法室・訓練棟内

「背中や腰が慢性的に痛い」、「背中が丸くなり背が縮んできた」、「ちょっとしたことで骨折した」…このような症状のある女性の方!あなたは骨粗鬆症かもしれません。骨粗鬆症とは「骨の量が減少し、骨折の危険が高まっている状態」と定義され、老化現象の一つであり高齢者ならば誰にでも見られるものです。特に更年期以後の女性はホルモンの不足から骨粗鬆症を起こすことが多く、70歳後半では半数近くの女性が骨粗鬆症ともいわれております。従来は骨粗鬆症を腰椎単純X線写真で大まかに分類していましたが、最近では骨密度測定装置で定量的な評価ができるようになりました。当院でも昨年7月にX線骨密度測定装置を導入し、DXA法により前腕骨の骨密度を評価しています。この測定で若年平均骨量の70%以下の方、また80%以下の方でも骨折を伴っている場合は骨粗鬆症と診断されます。

骨粗鬆症は骨に軽石状の孔(これを"鬆(す)"と表現します)ができてもろくなり、腰痛や背中の痛みを覚えるとともにちょっとしたことで骨折を起こすようになります。たかが骨折といっても特に大腿骨頸部骨折(ふともものつけね)は手術を必要とすることが多く、不幸にしてねたきりになったり、命にかかわることもあるあなどれない病気です。

治療には食事療法(カルシウムなどバランスの良い食生活)・運動療法(運動不足にならないこと)にまず心がけることですが症状に応じて医師の診察をうけ、しかるべき薬剤療法(ビタミンDなど)をうけることが必要です。とくに70歳以上の女性の方はぜひ御自分の骨塩を把握して転ばぬ先の杖としてください。