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京都医療センター「ER京都」

救急医療の新しいかたち:北米型ER”と“救命救急センター“のコラボレーション
京都医療センター
救命救急センター長 西山 慶



 京都医療センター救命救急センターは1984年12月の開設以来、地域救急医療の中核として様々な患者に応需すべく活動してきました。

 最近の患者受け入れは2015年度13,450名(うち救急搬送4,628名)であり、緊急入院数は4,585名で当院全体の入院数の約1/3に相当します。
現在は西山救命救急センター長・笹橋救急外来科長・別府救急集中治療科長を始めとする8名の専任スタッフと2名のレジデントの計10名からなるメンバーで診療を行っています。

 近年わが国でも救急部門における、いわゆる“ER体制”が注目され、さまざまな施設においてその導入が試みられています。

 従来からの当センター救急外来の体制は比較的軽症である1、2次救急(いわゆる“Walk-in患者”)と重症の救急搬送症例である3次救急に分けて対応する運用形態を実施してきました。この形態は一般的に救命救急センター併設型救急告知病院で実施されている救急体制であると思われます。

 しかし以前より搬送手段と患者重症度が必ずしも一致せず、このような体制での救急対応は現実的ではなく、初療室での患者トリアージによる重症度評価が本来あるべきスタイルであると認識し、救急初療室の運用面における改革の必要性が生じていました。たとえばWalk-inで来院された頭痛患者さんが、検査の結果クモ膜下出血と診断され、実は緊急手術を要する重症例であったり、逆に救急車で搬送された患者さんの何割かは独歩で帰宅可能な軽症例であるという現実に遭遇していたからです。

 こういった様々な課題に対する解決策として1,2次と3次の垣根を取り払い、重症度や診療科に関係なく全ての時間外受診患者に対して適切な対応が可能な環境を整備し、いわゆる“北米型ER”体制を構築すべく病院全体で検討を重ね、より効率の良いかつ本来の救急診療を目指す事になった訳です。

  新しいER型救急では、救急車搬送患者のトリアージをER担当医が担当し、Walk-in患者のトリアージをERナースが対応して初期の重症度を評価します。Walk-in患者でも緊急性が高いと判断した場合は重症患者に準じた優先的診療を受けることになります。当院においては若手医師を中心とした5名のER担当医が救命救急部スタッフの指導,監督のもとWalk-inから救急搬送まで、全ての患者をカバーしています。初期評価後、専門医の治療が必要と判断された場合や入院治療の適応と判断した場合は、各専門科をコールし、以降の診療を依頼することになります。つまり、ER担当医師は初期診療に専念し、その後のフォローアップは入院治療を含めて専門診療科へバトンタッチします。当院では夜間も内科,外科,脳卒中,循環器科,小児科,産婦人科の各科当直医が待機しており、ER体制開始以降、患者の引継ぎはスムーズに行なわれています。この診療体制はER診療を効率良く運用する上で重要な点の1つであり、さらに医療ミス回避にも寄与していると思われます。

 毎朝行われるカンファレンスでは各自が対応した症例をプレゼンテーションすることが義務付けられており、上級医による詳細を極めた厳しい“教育的”議論が交わされますが、重症患者に接する機会が増えることにより、ますます充実したトレーニングの場となっています。このカンファレンスで得られる知識は非常に多く、研修医のみならず各診療科のスタッフにとっても継続的な職業教育の一翼を担っています。

 ER体制の構築から10年が経過し、体制の整備に伴い救急搬送台数は年間2000台近く増加しています。ERから救命センターまでの一貫した診療体制を維持していくには、診療領域といった「医療の幅」だけではなく、診療段階や重症度といった「医療の深度」の幅広さにも対応していくことが重要です。そのためには、職種・診療領域・経験年数などを超えた形で、医療職どうしがプロフェッショナルとして教えあい・学びあう文化が必須であると考えています。今後さらに、垣根のない、フラットな組織を目指し、頑張っていきたいと考えています。

京都医療センターのホームページは  こちら




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登録日: 2008年1月30日 / 更新日: 2017年2月6日