長崎医療センターには、我が国が推進すべき政策医療の一つである肝疾患分野において、高度専門医療施設としての任務が付与されており、その具体的研究体制の強化の一環として臨床研究センターが設置されています。

 政策医療企画研究部,治療研究部,先端技術研究部,病因解析研究部,機能形態研究部の5つの研究部からなり,合計15の研究室が設置されています.各研究部は5名の専任研究部長と5名の専任室長および研究員が配置され,それぞれ診療部門とも連携を保ちながら独自の研究を行っています(図1)。

 

 

図1.臨床研究センターの役割と各組織との連携

 肝臓病センター
 診療部門(肝疾患センター)と密接な連携を保ち、国民的な課題であるウイルス肝炎・肝癌、肝疾患難病としての難治性自己免疫性肝疾患等の肝臓病の病因解析、治療法の研究に取り組んでいます。また,全国に先駆け「肝疾患診療連携拠点病院」の指定を受け,その役割を果たすべく準備に取りかかっています(図2).

 

図2.臨床研究センターの理念と研究課題

治験への取り組み
 臨床研究の一環として治験にも積極的に取り組み、高い契約額と高い実施率で国立病院機構トップレベルの成績を誇っています。

政策医療肝疾患ネットワーク(肝ネット)
 肝ネットの基幹病院として,共同研究を推進しています。肝ネットは、28の参加施設からなり、ウイルス肝炎・肝癌、肝疾患難病に加え、医療レベル・質の向上を目指した研究を推進しています。
 共同研究の成果として、急性肝炎研究班は30年間にわたり急性肝炎の発生状況の調査を行い、遺伝子型A型のB型急性肝炎の増加、すなわち性交渉によると思われる欧米型B型肝炎ウイルスの感染の増加がみられること、また、非ABC型肝炎には日本土着のE型肝炎が混じていることを明らかにしました。C型肝炎研究班は、多数の登録参加症例数により大量のデータを集積し、データ・マイニング法を医学研究で初めて導入してウイルス肝炎の治療のための効率的な治療法を開発しています。
 難治性自己免疫性肝疾患研究班は、原発性胆汁性肝硬変の予後予測のためのマーカーを見出し、学会でも注目されています。医療の質の向上を目的とした研究では、各参加施設で「臨床評価指標」を継続し,肝疾患診療の標準化と指針の策定のための研究でも肝疾患診療の質の向上に努めています。

厚生労働省肝疾患研究班
 厚生労働省科学研究費補助金による「肝硬変の治療に関する研究班」を肝ネットワークの施設を中心に組織し,国が推進する肝疾患政策を支える研究を行っています。文科・学振科学研究費も取得し,病床と研究室を結ぶ研究を行っています.
 長崎大学大学院(連携講座):平成16年度に長崎大学大学院 医歯薬学研究科総合研究科 新興感染症病態制御学専攻 肝臓病学講座として連携講座の認定を受け,教授6名、准教授3名が大学院生の教育にあたっています。現在9名の病院勤務の医師が大学院生として当センターで学んでいます。

 国際医療協力
 1979年以来5期27年に亘って実施されたJICAのケニア感染症プロジェクトに参加し、2006年プロジェクトの終了にあたり総括を行いました。また、毎年、世界各国より10数名の参加するJICA肝疾患研修を受け入れています。さらに、中国の医科大学や附属病院、カザフスタンの研究施設と学術交流を行い、研究生の受入れ、講師の派遣等行っています.
 教育・研修:看護師等医療職を対象とした肝疾患研修会を毎年開催しています。また、スタッフおよび院内職員の研究成果の発表の場としての報告会を年2回、大学院生を対象とした連携大学院セミナーを年数回開催しています。

 情報発信
 研究成果は学会、研究会で報告するほか、医学雑誌・報告書も毎年発行しています。また、ホームページを立ち上げるほかに、市民講座も毎年行っています。
 

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長崎医療センター 臨床研究センター長 石橋大海

(広報誌「NHOだより」平成19年9月号より)