国立病院機構豊橋医療センター 看護部長 上條京子

 臨床現場において看護師確保が叫ばれて久しい中、昨今は救急医療を巡る問題や医師不足による医療崩壊という言葉が連日マスコミ紙面をにぎわしていますが、当センターにおいても、医師にかぎらず看護師不足もそれに劣らない大きな問題となっています。

1.看護師不足
超高齢化社会を迎え、マンパワーによって成り立っている医療施設や医療現場にとって看護師確保は永遠の課題であり、さらに少子化が進み、18歳人口が減少していることからも新人看護師を確保することが大変困難になってきています。
そのような中で、平成18年4月の診療報酬改定では入院基本料の評価を厚くする方向が示されました。その算定要件をクリアできる看護職員を確保できるかどうかが病院の経営戦略を大きく左右するため、急性期の大病院がそろって看護職員の確保(7対1看護基準取得)を最重要課題として、全国レベルでの看護師争奪戦を引き起こし大きな影響を与える結果となりました。
当センターの近隣にある公的病院、急性期の大病院が、19~20年度にほとんどが7対1看護基準を取得することから、学生を自施設へ残すため例年のような対応ができないとの説明が学校訪問した際に学校側からありました。また、当センター院内就職説明会に参加する学生も例年より少ない状況で、当院の附属看護学校が今年度で閉校となることからも、ますます看護師確保が厳しい状況となることが想定できました。

2.潜在看護師について
看護師の退職理由には、結婚・出産・育児・親の介護・夫の転勤等が、毎年かなりの頻度を占めています。マンパワーによって成り立っている病院にとって、新人看護師の確保とともに、今、勤務している看護職員の職場への定着、離職防止、さらに資格を持ちながら看護業務に従事していない「潜在看護師」の職場復帰の促進が望まれています。
 看護師が仕事を続けるためには、夫をはじめ家族の協力が不可欠であり、社会的な条件整備の面でも十分とはいえない状況があります。離職期間が1~2年であればまだまだ職場復帰は容易とはいえ、相当の努力が必要です。まして離職期間が長い看護師が現在のように著しく変化し続けている医療・看護の臨床現場にスムーズに入いっていくためには、そのための情報収集やトレーニングが必要であり、トレーニングなしでの復帰は相当に困難と思い、就業に不安を持っている看護師が少なくありません。この不安感は離職期間の長さに比例して強く、再就職を妨げている大きな要因と考えられます。

3.潜在看護師の状況について
潜在看護師は、全国で推定50万~55万人といわれていますが、その実態は定かではありません。あくまで看護師資格があって看護師業務に従事していない数であり、私たちが考える潜在看護師とは、看護師として働く意志はあるのに何らかの事情で働くことができない人のことを言います。この東三河地区においても有資格者による看護師業務への就業率は、約60%と言われています。

4.潜在看護師研修について
当センターは、看護学校の閉校、近隣施設の7対1看護基準の導入による看護師不足に対する方策として、今回、潜在看護師を対象に~もう一度働きたいあなたへ~『再チャレンジ講座』を企画・開催しました。
講座は、平成20年1月23日~24日の2日間、新聞の折り込み(朝刊1回)等による広報活動の結果、折り込みを入れた当日から締め切りまでの1週間に16名の応募(電話)があり、当日の参加者は15名でした。年齢は26歳から54歳と幅広く、平均年齢は40.9歳、看護師経験年数は10.5年、離職期間は3年~10年、参加することとした理由として最も多かったのは、施設が近いことと研修内容でした。研修内容は、最近の医療・看護に欠かせない医療事故、院内感染、オーダリングシステム、看護記録、看護技術等であり、新採用者オリエンテーションと同じような内容を網羅し、「病院を知ってもらう、見てもらう」ことを最大の目標としました。昼食は、病院食について栄養士から説明があり、担当師長、病院幹部(日替わり)がともに会食をしながら意見交換等を行い、楽しい雰囲気で終了することができました。

5.今後の取り組みについて
当初、年3回程度の実施を考えていましたが、「一日の仕事の流れ知りたい」「次回も参加したい」等、継続的な講座開催の要望もあり、研修への関心が高いことがわかりました。第2回目の「再チャレンジ講座」を3月13日~14日に開催する予定です。3月3日現在の応募者は10名です。ちなみに第1回の受講者から3名の就職希望があり、すでに1名は3月から勤務しています。
従来から、各県や看護協会の主催で潜在看護師の研修が行なわれていますが、人材を掘り起こすまでには至っていないのが現状だと思われます。その一方で看護師を切望している医療機関が主体となって実施したケースからは、「潜在看護師の職場復帰へのきっかけづくりに甘んじるのではなく継続的就労を視野に入れた就職後のカリキュラムを構築する必要がある」と報告されています。
講座参加者の教育背景、経験年数、経験場所、離職期間、対応能力等により対策が異なり、当センターへの就職希望なのか、診療所または老健施設や介護施設への就職希望なのか、本人の受講目的による対応の検討も必要となります。
したがって、この「再チャレンジ講座」は、当センターへの就職はもちろんですが、地域に埋もれている有効な社会資源としての「潜在看護師」が活躍できるようになるための一助(掘り起こし)となり地域医療の充実にも繋がる活動であると確信いたします。


豊橋医療センター

第2回 再チャレンジ講座を開催します!

 

 

(研修日時)
平成20年3月13日(木)~14(金)

(研修場所)
国立病院機構豊橋医療センター

(参加費)
無料

>>>詳しくはこちら

>>>豊橋医療センターホームページ

 

 

 

 

 

 

(広報誌「NHOだより」20年3月号より)