独立行政法人国立病院機構中期計画

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 独立行政法人通則法(平成11年法律第103号。以下「通則法」という。)第29条第1項に基づき平成21年2月27日付けをもって厚生労働大臣から指示のあった独立行政法人国立病院機構中期目標を達成するため同法第30条の定めるところにより、次のとおり独立行政法人国立病院機構中期計画を定める。

平成21年3月31日
平成21年8月 4日改正
平成23年3月31日改正


独立行政法人国立病院機構
理事長 矢崎 義雄

前文

  平成16年4月、独立行政法人国立病院機構(以下「国立病院機構」という。)は、国民の貴重な医療資源として発足し、第一期中期計画期間においては、医師不足、医療費適正化という状況下、全国においてその担うべき医療を確実に実施してきた。また、事業体として、国時代の旧弊を絶ち、業務運営の効率化に取り組み、国から承継した多額の過去債務を着実に償還し、わが国の医療体制において、代替不可能な公共的財産である病院群の長期的な存続のための基盤を着実に築いてきた。
  国立病院機構は、第二期中期計画期間においては、第一期中期計画の成果を礎として、国民から信頼の得られる医療を確実に提供することとする。その成果として得られた収益と業務運営の更なる効率化とが相俟って生じた剰余については、国立病院機構に課せられた使命の実現、医療の質の向上のために再投資し、第三期以降を含めた長期的な事業の安定を目指すものとする。
  国立病院機構の病院は、引き続き政策医療の着実な実施とともに、各地域において地域医療の量・内容についての課題が顕在化する中、地域の医療機関及び地方公共団体との連携の下、患者・家族の利益を最優先に、医療の安定した担い手として、地域医療の向上に貢献していくこととする。
  また、145の病院群のネットワークを活かして、わが国の医療の質の向上に寄与するとともに、スケールメリットを活かして蓄積された診療情報の分析などを通じて形成されたエビデンス(根拠)を幅広く情報発信し、国民医療の向上に活用するものとする。
  さらに、限られた人的資源の下での医療提供を確実に行うため、良質な医療人材の育成・輩出を通じた医療界への貢献に加え、医療職種間の役割分担と協働に基づくチーム医療の推進を図るなど、病院運営のサービスモデルを提示し、わが国の病院医療の水準の向上に貢献していくものとする。
  こうした観点を踏まえつつ、厚生労働大臣から指示を受けた平成21年4月1日から平成26年3月31日までの期間における国立病院機構が達成すべき業務運営に関する目標(以下「中期目標」という。)を達成するための計画を以下のとおり定める。

 

第1 国民に対して提供するサービスその他業務の質の向上に関する目標を達成するためにとるべき措置

  国立病院機構は、国民の健康に重大な影響のある疾病に関する医療とともに地域の中で信頼される医療を行うことにより、公衆衛生の向上及び増進に寄与することとする。このため、医療の提供、調査研究及び医療従事者の育成を着実に実施する。

1 診療事業

 診療事業においては、利用者である国民に満足される安心で質の高い医療を提供していくことを主たる目標とする。

 

(1)患者の目線に立った医療の提供

①分かりやすい説明と相談しやすい環境づくり
 
患者が医療内容を適切に理解し、治療の選択を患者自身ができるように診療ガイドラインの適切な活用や複数職種の同席による説明などに努めるとともに、相談しやすい体制をつくるよう取り組む。
   また、患者とのコミュニケーションに関する研修(接遇等)を充実し、患者満足度調査において、医療従事者の説明に関する項目についての改善について検証を行う。

②セカンドオピニオン制度の充実
 
患者が主治医以外の専門医のアドバイスを求めた場合に適切に対応できるようなセカンドオピニオン制度について、中期目標の期間中に、全病院で受け入れ対応できる体制を整備する。
  また、セカンドオピニオンに対する患者の理解、満足に関する調査を実施し、制度の充実を図る。

③患者の価値観の尊重
 患者満足度調査を毎年実施し、その結果を踏まえて患者の利便性に考慮した多様な診療時間の設定や待ち時間対策などサービスの改善を図る。
 また、慢性疾患を中心に疾患に対する患者の自己管理(セルフマネージメント)を医療従事者が支援する取組を推進するほか、個別の診療報酬の算定項目の分かる明細書を発行する体制を中期目標の期間中に全病院に整備する。
 さらに、患者満足度調査については患者の目線に立った観点からその見直しを図る。

 

(2)安心・安全な医療の提供

①医療倫理の確立
 
患者が安心できる医療を提供するためには、患者との信頼関係を醸成することが重要であり、各病院はカルテの開示を行うなど適切な情報開示に取り組むとともに、患者のプライバシーの保護に努める。
 また、各病院の倫理委員会の組織・運営状況を本部において把握し、その改善に努めるとともに、倫理的な事項に関し医療従事者に対して助言を行う体制を院内に整備する。

②医療安全対策の充実
 医療安全対策を重視し、リスクマネージャーを中心に、ヒヤリハット事例の適正な分析等のリスク管理を推進するとともに、病院間での相互チェックを実施するなど医療安全対策の標準化に取り組む。特に、院内感染対策については、院内サーベイランスの充実などに積極的に取り組む。
 また、我が国の医療安全対策の充実に貢献する観点から、各病院は引き続き医療事故や医薬品等安全性情報の報告を徹底する。
 さらに、これら取組の成果をとりまとめ情報発信に努める。

 

(3)質の高い医療の提供

①クリティカルパスの活用
 チーム医療の推進、患者に分かりやすい医療の提供や医療の標準化のため、クリティカルパスの活用を推進し、その実施件数について中期目標の期間中に、平成20年度に比し10%以上の増加を目指す。

②EBMの推進
 国立病院機構が担っている政策医療の質の向上と均てん化の観点から国立病院機構のネットワークを十分に活用し、エビデンスに基づく医療(Evidence Based Medicine。以下「EBM」という。)を実践するため、臨床研究などにより得られた成果を臨床に反映させるとともに、臨床評価指標の充実を図る。
 また、医事会計システムの標準化などを通じて診療情報データベースを早期に確立し、民間を含めた利用促進を図る。

③長期療養者をはじめとする患者のQOLの向上等
 長期療養者をはじめとする患者のQOL(生活の質)に関しては、ボランティアの積極的な受入や協働等に努めるとともに、障害児の療育環境の向上及び障害者自立支援法(平成17年法律第123号)に基づく療養介護事業の体制の強化を行うなど、その向上に取り組み、患者満足度調査におけるQOLに関する項目の評価について、平均値の向上に努める。
 また、重症心身障害児(者)等の在宅療養を支援するため、通園事業等の推進や在宅支援ネットワークへの協力を行う。
 あわせて、特に重症心身障害、筋ジストロフィーなどの老朽化した病棟については、計画的に更新整備を行う。

④職種間の協働、チーム医療の推進
 チーム医療の推進に必要な複数の専門職種間の協働とそのために役割分担された各職種の業務を実施することにより、質の高い医療を効率的に提供する。

 

(4)個別病院に期待される機能の発揮

①医療計画を踏まえ地域医療へ一層の貢献
 
地域において必要とされる医療を的確に実施するため、地域連携クリティカルパス実施病院の増加や紹介率、逆紹介率の向上など地域の医療機関との連携・強化を図るとともに、都道府県が策定する医療計画を踏まえ、4疾病・5事業を中心に地域医療の向上に積極的に取り組む。また、紹介率と逆紹介率については、中期目標の期間中に平成20年度に比し各々5%以上引き上げることに努める。
 特に、災害時の医療支援やへき地医療への持続的な支援、医師不足問題に直面する地域医療への支援など国立病院機構の全国的なネットワークを活かして確実に対応する。
 さらに、小児救急を含む救急医療については引き続き体制強化を図り受入数の増加に努め、中期目標の期間中に平成20年度に比し、救急車による受入数及び救急受診後に入院した患者数について各々5%以上の増加を目指す。また、周産期医療についても重症心身障害児(者)病棟等においてNICU(新生児集中治療室(Neonatal Intensive Care Unit))の後方支援病床としての機能強化を図る。

 ※4疾病:がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病 
      5事業:救急医療、災害時における医療、へき地医療、周産期医療、小児医療

②政策医療の適切な実施
  地域医療への一層の貢献とともに、これまで担ってきた結核やエイズをはじめとする感染症、重症心身障害、筋ジストロフィーをはじめとする神経・筋疾患、精神科医療など他の設置主体では必ずしも実施されないおそれのある医療について、政策医療ネットワークを活用し、引き続き適切に実施することによりセーフティーネットとしての機能を果たす。特に、以下に掲げる事項について一層の推進を図る。
 また、既存の政策医療ネットワークについては、その構成を見直し、再構築し、国立高度専門医療センターとの適切な連携を図りつつ、活動性の向上を図ることにより個々の病院が取り組む政策医療の質の向上を図る。 
    
【重症心身障害、筋ジストロフィーをはじめとする神経・筋疾患】

  • 重症心身障害病棟におけるNICUの後方病床としての機能強化
  • 障害児の療育環境の向上及び障害者自立支援法に基づく療養介護事業の体制の強化 など

【精神科医療】

  • 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成15年法律第110号)に基づく医療の実施
  • 身体合併症、発達障害、薬物・アルコール依存、難治性精神疾患への対応
  • 精神科急性期医療への対応 など

 【結核医療など】

  • 結核との重複疾患への対応
  • 薬剤耐性結核への対応
  • 新型インフルエンザ対策の実施 など

③ 重点施策の受け皿となるモデル事業の実施
 
国の医療分野における重点施策については、その受け皿となるモデル事業を積極的に実施する。特に、新型インフルエンザ対策については、他の医療機関のモデルとなるような対応指針を策定する。

 

2 臨床研究事業

 臨床研究事業においては、政策医療ネットワークを活用して質の高い治験など大規模な臨床研究を進め、EBM推進の基礎となる、科学的根拠を築くデータを集積するとともに、その情報を発信することにより、我が国の医療の質の向上に貢献する。

 

(1)ネットワークを活用したEBMのためのエビデンスづくりの推進

①一般臨床に役立つ臨床研究の推進
 政策医療ネットワークを活用し臨床試験を含む共同研究を推進し、研究成果を情報発信するなど一般臨床に役立つエビデンスづくりを実施する。

②政策医療ネットワークを活かした臨床研究の推進
 臨床研究センター、臨床研究部を中心にEBMの推進のための臨床研究を推進する。
 また、臨床研究に精通した人材の育成を図るとともに、臨床研究組織の評価制度を充実し、医療必要度、研究力に応じた柔軟な研究体制を構築する。

 

(2)治験の推進

 政策医療ネットワークを活用して多病院間の共同治験を推進し、迅速で質の高い治験を実施する。
 複数の病院で実施する治験について本部が一括審査を行う中央治験審査委員会を運営するなど治験の推進体制の強化を図るとともに、国際共同治験や医師主導治験の実施に積極的に取り組む。
 治験実施症例数について中期目標の期間中に平成20年度に比し5%以上の増加を目指す。

 

(3)高度・先進医療技術の臨床導入の推進

 臨床研究センター及び臨床研究部を中心に、高度医療・先進医療について臨床導入などを推進する。

 

(4)研究倫理の確立

 臨床研究や治験を実施する病院すべてに設置された臨床研究に関する倫理委員会、治験審査委員会について各病院の審査状況を本部で把握し、その改善に努める。

 

3 教育研修事業

 教育研修事業においては、独自の臨床研修プログラムに基づく質の高い医師の育成やキャリアパス制度の構築により質の高い医療従事者の育成を行う。

 

(1)質の高い医療従事者の育成・確保

①質の高い医師の育成
 国立病院機構の特色を生かした臨床研修プログラムに基づき、質の高い研修を実施して良質な医師の育成を行う。
 あわせて、臨床研修終了後の医師が各病院において実施する専門分野の研修である専修医制度に関し修了基準を設けるなど、研修コースや研修プログラムの充実を図り、良質な医師を育成する。
 さらに、専修医制度を活用し、幅広い総合的な診療能力を有し、全人的な医療を推進出来る医師の育成について、国立病院機構全体として取り組む。

②質の高い看護師等の育成
 国立病院機構が担う医療に対する使命感を持った質の高い看護師の育成を行うとともに、高度な看護実践能力を持ち、医師など多職種との協働によりチーム医療を提供していくことのできる看護師を育成するため、医療と一体となった高等看護教育に資する取組を行う。
 また、看護師等養成所については引き続きカリキュラムの第三者評価を実施し、教育の質の充実を図る。さらに、すべての養成所は地域医療への貢献のため、地域に開かれた公開講座を実施する。

③医師のキャリアパス制度の構築
 国立病院機構の組織や機能の特色を活かして、医師のキャリアパス制度を構築し、本部採用の導入と併せて、良質な医師の育成と確保に努める。

④看護師のキャリアパス制度の充実
 平成18年度から運用している看護師のキャリアパス制度について、プログラムの運用等に係る評価を実施し、引き続き国立病院機構の特色を活かしたキャリアパス制度の充実を図り、良質な看護師の育成と確保に努める。

⑤医療従事者研修の充実
 質の高い医療従事者を育成するため、コ・メディカルをはじめとする医療関係職種を対象とした研修などについて更なる充実を図る。
 特に、医療技術の向上を図るため、技術研修の実施体制を計画的に整備するとともに、国立病院機構の全国的なネットワークを活用しITを用いた遠隔研修の充実を図る。

 

(2)地域医療に貢献する研修事業の実施

 政策医療ネットワークにより確立したEBMの成果等を普及させるため、各病院は、地域の医療従事者を対象とした研究会や地域住民を対象とした公開講座等を開催し、地域社会に貢献する教育活動を実施する。当該研究会等の内容の充実に努めるとともに、開催件数について中期目標の期間中に平成20年度に比し15%以上の増を目指す。

 

4 総合的事項

(1)個別病院ごとの総合的な検証、改善等

 平成22年度末を目途に、個々の病院ごとに政策医療に係る機能、地域医療事情、経営状況等について総合的に検証し、その結果を公表するとともに、病床数の適正化を含め必要な改善措置を講ずる。
 その際、国立病院機構の病院の近隣に労災病院等がある場合は、都道府県が策定する医療計画、地理的配置状況や担っている医療機能等を踏まえ、個々の病院単位で国立病院機構の病院と労災病院との診療連携の構築を始め効率的な運営の可能性等について検討を行う。
 また、厚生労働省において、平成25年度末までに、所管の独立行政法人が運営する病院全体について、それらの病院が果たすべき政策医療及び地域医療における役割を勘案しつつ、政策目的に沿った医療供給体制の最適化を図る観点から、病院配置の再編成を含む総合的な検討を行うため、国立病院機構は必要な協力を行う。

 

(2)エイズへの取組推進

 ブロック拠点病院においては、HIV裁判の和解に基づき国の責務となった被害者の原状回復に向けた医療の取組を着実に実施し、エイズ患者及びHIV感染者の増加に適切に対応できるよう、全科対応による診療等の総合的な診療、治験等の臨床研究、医療従事者の人材育成と研修会等の実施、エイズ医療ネットワークの活用等による情報収集・提供など必要な取組を進めるとともに、必要な人的物的体制整備を計画的に進める。
 また、後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針に基づき、ブロック拠点病院による中核拠点病院への支援、中核拠点病院による拠点病院に対する研修事業の実施及び医療情報の提供など引き続きエイズ医療提供体制の充実に努める。
 なお、これらを進めるに当たって、必要に応じて国立国際医療センター戸山病院エイズ治療・研究開発センターと相互の連携体制を図る。

 

(3)調査研究・情報発信機能の強化

 臨床研究、治験、診療情報の分析を総合的に推進するため、本部に総合研究センター(仮称)を設置し、政策医療ネットワークを活用した調査研究・情報発信機能の強化を図る。

 

第2 業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置

  企業会計原則の下、部門別決算、月次決算等の精度を高め効率的で透明な医業経営の確立を図る。また、財務面においては、国立病院機構全体として収支相償(経常損益ベース。以下同じ。)の経営を目指す。これらと併せ、以下の業務の効率化を推進する。

1 効率的な業務運営体制

 国立病院機構においては、本部・ブロック組織、院内組織及び職員配置等について、効率的な運営が可能となる組織とする。
 また、年々増大する業務量に対応するため、個別業務の必要性・重要性、やり方等の見直しを図り効率化に努める。

 

(1)本部・ブロック事務所による病院指導・支援機能の強化

①本部・ブロック機能の強化
 
本部・ブロック組織は、その役割分担に基づき、法人の管理業務は原則本部で実施し、地方で実施した方が合理的かつ効率的な業務についてはブロック組織が分担するなどにより、病院業務の指導・支援業務行う。
 加えて、本部内の研究課の組織を見直し、臨床研究の総括、治験の推進、診療情報の分析を行う総合研究センター(仮称)を設置し、業務の充実と情報発信を図る。
 また、本部のIT推進室をHOSPnetの運用管理などを担う常設組織とし、業務・システムの最適化計画の検証・評価についても引き続き実施することとする。
 ブロック事務所は、病院の事務処理支援機能に重点を置いた組織とする。

②効率的な管理組織体制
 機構本部・ブロック合計の職員数について、平成20年度末の291名から288名へ見直しを行う。
   
    (参考) 平成15年度末         平成20年度末
                   388名       →      291名
            本省国立病院部及び                           本部・ブロック事務
            地方厚生(支)局病院                           所の定数
            管理部の定員

③内部統制の充実
 内部統制の充実を図るため、本部内組織を見直し、内部監査、調達(契約調査等)を実施する組織の明確化と専任職員の配置を行う。
 また、コンプライアンスの徹底に対する取組の推進を図るため、各組織における取組の強化(法令遵守状況の確認方法の確立)を行うことや職員への周知、研修会の開催により職員の倫理観を高めていく。

 

(2)弾力的な組織の構築                      

①院内組織の効率的・効果的な構築
 引き続き各病院に係る地域事情や特性を考慮した、より効率的な体制とする。

②組織運営の方針

  • ア 副院長複数制の導入                     
       病院の機能に応じて複数の副院長(特命事項を担う場合を含む)の配置を行うとともに、副院長の役割と院内での位置づけを明確化する。
      また、看護職や事務職の副院長について、必要に応じて配置する。
  • イ 地域連携部門の体制強化
       すべての病院の地域医療連携室に専任職員を配置して体制を強化し、地域医療との連携への取組を強化する。
  • ウ 医療安全管理部門の強化
       すべての病院の医療安全管理室に専任職員を配置して、リスクマネジメントへの取組を強化する。
  • エ 看護部門の体制強化
       看護部門については、病棟部門と外来部門の連携の推進をはじめ、効率的・効果的な運営体制とする。
      また、病院ごとの病床規模や機能に応じて、副看護部長を複数配置し、看護体制の強化を図る。
  • オ 事務部門の改革
       病床規模や機能に応じて事務部門の配置を見直し、効率的・効果的な運営体制とする。
    カ 人材育成、教育研修機能の強化
           看護師長(教育担当)の配置を行い、新人看護師の教育や有為な人材育成をし、更に離職防止を図る。
           また、病院に職員の教育研修を司る教育研修部又は教育研修室を設置するとともに、看護師長(教育担当)、事務職やコメディカル職種を含んだ組織体制の構築を検討し、人材育成体制の強化を図る。

 

(3)職員配置

  各部門における職員の配置数については、各職員の職務と職責を考慮して適切なものとするとともに、活動性に応じた配置及び医療需要に応じた配置に取り組む。

 

(4)職員の業績評価等の適切な実施

  職員が業務で発揮した能力、適性、実績等を適正に評価し、職員の給与に反映させるとともに業務遂行意欲の向上を図る業績評価制度について、当該制度の適切な運用を継続することにより定着を図り、併せて、人事制度への一層の活用を図ることにより、病院及び機構全体の能率的運営につなげる。

 

(5)監事監査、外部監査等の充実

 ①監査法人等を活用したチェック体制の強化
      毎年全病院に対し会計監査人による会計監査を実施する。

 ②監事機能との連携の強化
    契約事務の適正性を担保するために、監事と連携して抜き打ち監査を実施する。また、監事監査の結果を活用するなど、内部監査において、監事機能との更なる連携を図る。

 ③外部評価の活用
    日本医療機能評価機構等の病院評価受審病院数を中期目標の期間中に平成20年度末の46病院から73病院以上にする。

 

(6)再編成業務等の実施

 旧国立病院・療養所の再編成業務については、中期目標の期間中に統廃合が予定されている1件をその経営に留意しつつ着実に実施するとともに、残る1件についても統合に向けた準備を行う。

 

2 業務運営の見直しや効率化による収支改善

  個々の病院の特色・機能を十分に発揮させるとともに、院内の効率的・効果的な組織の構築や職員の適正な配置を行うことにより、診療報酬上の施設基準の新規取得や効率的・効果的な医療の提供を通じて安定的な収入の確保を図るとともにコスト削減に努め、個々の病院においても収支相償ないしそれ以上を目指す。
   なお、QC活動奨励表彰を通じて、サービスの質の向上や経営改善に関する職員の自主的取組を奨励し、より効率的な業務運営に向けた職員の改善意欲の向上を図る。

 

(1)経営意識の向上

 ①経営力の向上
 
取り巻く医療環境の変化に応じて、個別病院ごとの経営戦略や、毎年の事業計画を通じた経営管理サイクルをさらに充実させる。
 病院経営力を向上させるため、医療事務などの有資格者の確保や育成を図る。
 また、経営分析及び経営改善手法等の経営能力並びに診療報酬請求事務能力の向上を目的とした研修を定期的に行うことにより職員の資質向上に努める。

 ②政策医療にかかるコスト分析
 
結核、重症心身障害、筋ジストロフィー、精神等の政策医療に係るコストの分析を実施し、必要な機能を維持しつつ適正なコスト管理を実施する。


(2)業務運営コストの節減等

  医薬品等の購入方法や業務委託の推進・点検、医業未収金対策の徹底等様々な取組や国立病院機構が有する人的・物的資源等及びそのネットワークを有効に活用し、経営改善を図るための取組を実施することにより、中期目標期間の各年度における損益計算において、経常収支率が100%以上となるよう費用の節減等を図る。
  また、診療事業以外の事業、特に運営費交付金対象事業については、自己収入の確保や費用節減に努めることにより、新規拡充業務を除いて、その費用のうち運営費交付金等の割合を低下させる。

 ① 業務運営コストの節減

  • ア 材料費
       同種同効医薬品の整理など、更なる使用医薬品の標準化を進め、共同購入の対象品目を拡大するなど、調達方法及び対象品目等の見直しを行い、薬品費と消耗品費等の材料費率の増加の抑制を図る。
      また、包括評価等の今後の診療報酬改定を考慮しつつ後発医薬品の採用を促進し、平成24年度までに数量ベースで30%(購入金額ベース15%)以上の採用を図る。なお、後発医薬品の利用促進にあたっての課題の把握にも努める。
  • イ 人件費率等
      人事に関する計画に基づき、医療の高度化や各種施策などにも留意しつつ、適正な人員の配置に努めるとともに、業務委託についてもコスト低減に十分配慮した有効活用を図ること等により、中期目標の期間中、人件費率と委託費率を合計した率について、業務の量と質に応じた病院運営に適正な率を目指す。
       また、医療サービスの質の向上、患者の処遇の改善等にも留意しつつ、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律(平成18年法律第47号)等に基づく平成18年度からの5年間で5%以上を基本とする削減について、引き続き着実に取り組むとともに、「経済財政運営と構造改革に関する基本指針2006」(平成18年7月7日閣議決定)に基づき、人件費改革の取組を平成23年度まで継続する。その際、併せて、医療法(昭和23年法律第205号)及び診療報酬上の人員基準に沿った対応を行うことはもとより、国の制度の創設や改正に伴う人材確保も含め政策医療の推進のための対応や医療安全を確保するための適切な取組を行う。
       なお、給与水準に関して国民の理解が十分得られるよう必要な説明や評価を受けるものとする。
  • ウ 投資の効率化
     a.建物整備
       建築単価の見直し等を進めるとともに、コスト合理化のため標準仕様に基づく整備を行い、投資の効率化を図る。
     b.医療機器整備
      大型医療機器の共同入札を実施するなど医療機器の購入費用の削減を図る。
  • エ 適正な契約事務の実施
       契約については、原則として一般競争入札等によるものとし、競争性、公正性及び透明性が十分確保される方法により実施する。また、平成19年に策定した「随意契約見直し計画」に基づく取組を着実に実施するとともに、その取組状況を公表する。
  • オ 市場化テストの実施
       各病院共通の消耗品等に係る物品調達業務について、原則として、平成22年度に官民競争入札又は民間競争入札を実施することとし、対象品目、対象施設、実施予定時期、契約期間等を内容とする計画を、監理委員会と連携しつつ、平成21年10月までに策定する。
  • カ 一般管理費の節減
      平成20年度に比し、中期目標の期間の最終年度において、一般管理費(人件費を除く。)について、15%以上節減を図る。

 ② 医療資源の有効活用

  • ア.医療機器の効率的な利用の促進
     既に整備済の医療機器等については、その効率的な使用に努め、稼働率の向上を図るとともにに、他の医療機関と共同利用を推進し、平成20年度に比し、中期目標の期間中に、CT、MRIの高額医療機器(※1)の共同利用数について10%以上の増加(※2)を目指す。

    ※1 CT(コンピュータ断層撮影装置)、MRI(磁気共鳴診断装置)
    ※2 平成20年度実績 総件数 56,098件

  • イ.病床の効率的な利用の促進
      病診連携・病病連携の推進等により平均在院日数の短縮を図るとともに、新規患者数を増加させる等により収支の改善に努める。
      また、入院患者数に応じた病棟集約など、患者数の動向や将来計画を見据えた効率的な病棟運営に努める。
  • ウ.保有資産の有効活用
      閉校した看護師等養成所等の資産について、病院機能との連携を考慮した売却、貸付等に努め、医療機関としての機能の維持・向上及び財政基盤の安定化など有効活用に努める。
  • エ.教育研修事業
      中期目標の期間中の国立病院機構附属養成所卒業生の国立病院機構の病院への就職率を高めるとともに、各年ごとに全ての附属養成所において当該年度の国家試験の全国平均合格率を超える合格率を目指す。
  • オ.IT化の推進
      会計処理に必要なすべての病院共通の財務会計システムにより、部門別決算や月次決算を行うとともに、各病院の経営状況の比較等病院の財務状況を分析し経営改善を進める。      
       また、財務会計システムを活用し、政策医療の実施にかかるコスト分析を行うとともに、適正なコストの把握に努める。
       なお、医事会計システムを更新する際には標準化(国立病院機構内での共通仕様)されたシステムの導入を図り、中期目標の期間中に全病院が標準化されるよう努める。
       平成20年度に実施した「業務・システムの最適化」について、検証・評価を実施し、業務の見直しを含めた次期最適化計画を策定する。

③ 収入の確保

  • ア.未収金対策の徹底
      各病院において提供した医療の正当な対価として当然収納すべき診療費が滞納されている医業未収金については、新規発生防止の取組を一層推進し、また、法的手段の実施等によりその回収に努めることで、平成20年度(※)に比して医業未収金比率の低減を図る。
     また、医業未収金の支払案内等の市場化テストについては、平成22年9月末現在の状況を踏まえ、平成23年度以降の市場化テストの実施について検証する。
          
     ※ 平成20年度(平成19年4月~平成21年1月末時点)
           医業未収金比率0.11%
           医業未収金比率=医業未収金/医業収益
          (医業収益に対するその他医業未収金の割合)
         
  • イ.診療報酬請求業務の改善
      医事業務研修の実施による職員の能力向上及び院内でのレセプト点検体制の確立等により適切な請求業務の実施に取り組む。
  • ウ.臨床研究事業
      厚生労働科学研究費補助金等の外部の競争的研究費の獲得に努め、中期目標の期間中において、更なる研究を推進するとともに、適正な評価を行い研究の効率化に努める。

第3 予算、収支計画及び資金計画 

 「第2 業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置」で定めた計画を確実に実施することにより、国立病院機構全体の財務内容の改善を図るため、以下の目標を達成する。

1 経営の改善

 部門別決算や月次決算を行うとともに、各病院の経営状況の比較等病院の財務状況を分析することにより経営改善を進め、中期目標期間の国立病院機構全体における各年度の損益計算において、経常収支率を100%以上とすることを目指す。
  再生プラン対象病院について平成22年度末の経営改善計画の達成状況を踏まえ、診療機能・病床規模の見直しなど必要な措置を講じるとともに、個別病院の経営改善に引き続き取り組む。
 
  (参考)再生プラン(個別病院ごとの経営改善計画)
  特に早急に経営改善着手が必要な58病院において、部門毎の生産性に着目するなどして改善項目を検討し、行動目標を明確化した中期的な個別病院毎の経営改善計画。(平成19年度末策定)

 

2  固定負債割合の改善   

 各病院の機能の維持・向上を図りつつ、経営の改善が図られる投資を計画的に行うとともに、国立病院機構の固定負債(長期借入金の残高)を減少させる。
  そのため、個々の病院における建物や大型医療機器の投資に当たっては、長期借入金等の償還確実性等を確保するとともに、一定の自己資金を用意することを原則とする。

1 予  算 別紙1
2 収支計画 別紙2
3 資金計画 別紙3

 

3 医療機器・建物整備に関する計画   

 中期目標の期間中に整備する医療機器・建物整備については、別紙4のとおりとする。

4 機構が承継する債務の償還

 国立病院機構全体として収支相償を維持しつつ、借入金の元利償還を確実に行う。



第4 短期借入金の限度額

1 限度額 60,000百万円

2 想定される理由
  ① 運営費交付金の受入遅延等による資金不足への対応
  ② 業績手当(ボーナス)の支給等、資金繰り資金の出費への対応
  ③ 予定外の退職者の発生に伴う退職手当の支給等、偶発的な出費増への対応

第5 重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときはその計画

  なし

 

第6 剰余金の使途 

 決算において剰余を生じた場合は、将来の投資(病院建物の整備・修繕、医療機器等の購入等)及び借入金の償還に充てる。

 

第7 その他主務省令で定める業務運営に関する事項

1 人事に関する計画
 ①方針
 良質な医療を効率的に提供していくため、医師、看護師等の医療従事者数については、医療を取り巻く状況の変化に応じて柔軟に対応する。
 特に、医師・看護師不足に対する確保対策を引き続き推進するとともに、離職防止や復職支援の対策を講じる。
 また、良質な人材の確保及び有効活用を図るため、引き続きブロック内での職員一括採用や人事交流を促進するための人事調整会議を行うほか、有為な人材の育成や能力の開発を行うための研修を実施するとともに、障害者雇用の取組についても推進する。

 ②指標
     国立病院機構の平成21年度期首における常勤職員数を49,021人とするものの、医師、看護師等の医療従事者は、医療ニーズに適切に対応するために、変動が見込まれるものであり、中期目標の期間中においては、安全で良質な医療の提供に支障が生じないよう適正な人員配置等に努める。
     特に、技能職については、中期目標の期間中710人(※)の純減を図る。
   
    ( ※ 平成21年度期首の技能職員定数の3割相当 )
   
    (参考)中期目標の期間中の人件費総額見込み 1,628,038百万円
    ただし、上記の額は、役員報酬並びに職員基本給、職員諸手当、超過勤務手当、休職者給与及び国際機関等派遣職員給与に相当する範囲の費用である。
   

2 広報に関する事項
   国立病院機構及び各病院の使命、果たしている役割・業務等について、広く国民の理解が得られるよう、積極的な広報・情報発信に努める。

3 積立金の処分に関する事項
   前期中期目標の期間の最終事業年度において、通則法第44条の処理を行ってなお積立金があるときは、その額に相当する金額のうち厚生労働大臣の承認を受けた金額について、将来の投資(病院建物の整備・修繕、医療機器等の購入等)及び借入金の償還に充てることとする。