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   私たち国立病院機構は、全国144の病院を一つの組織として運営する独立行政法人です。
これまで、全国に展開する国立病院・療養所は厚生労働省が運営してきましたが、病院の自主性・自律性を活かして、医療サービスの向上や効率的な運営を実現するため、平成16年に独立行政法人となりました。

 国立病院機構は、医療の提供、臨床研究の推進、医療従事者の養成という3つの業務を行っており、急性期治療から慢性期治療まで約6万床の病床と、約5万人の職員からなる、我が国有数の病院ネットワークを有しています。

 私たちは、この医療資源を活かして、地域の医療に貢献し、住民の皆様の支えになりたいと考えています。また、多くの治療実績から得られる豊富な診療データを活かして、臨床研究や治験に積極的に取り組むとともに、医師・看護師をはじめとする医療従事者の養成にも力を入れており、我が国の医療の水準の向上に貢献しています。

 このような方針の下、次の5つの使命に積極的に取り組んでいます。

 1つ目は、患者の目線に立った、安心できる質の高い医療の提供です。

 患者さんを中心に、医師、看護師、技師、事務担当者などの職域を超えたチーム医療が行われることが基本であると考えています。国立病院機構では、患者さんが病気や医療の内容を十分に理解し、自分に合った治療法を選択できるよう、わかりやすい説明と相談しやすい環境づくりを進めております。また、救急医療や小児救急、医療安全や院内感染防止への取り組みなど、地域のニーズに合った医療、安全な医療の提供に努めています。
 加えて、さらなる医療の質の向上を目指すために、「臨床評価指標」を用い、現に提供している医療の内容や成績そのものを測定して比較するという取り組みを行っております。

 2つ目は、各病院の機能や特色を活かした政策医療の推進です。

 結核、感染症、重症心身障害、筋ジストロフィー、神経難病、医療観察法における精神医療など、民間の医療機関では実施することが難しい病気の治療についても、医療政策の受け皿として、豊富な臨床経験を持つ専門医を中心に、主体的に取り組んでいます。

 3つ目は、質の高い臨床研究や治験の推進です。

 国立病院機構が有する全国144病院のネットワークを活用して、診療の科学的根拠となるデータを集め、我が国の医療の質の向上に貢献する研究に取り組んでいます。このため、多くの病院に臨床研究センターや臨床研究部を設けています。
また、新薬などを開発するためには医療現場での治験が必要ですが、患者さんに安全で有効な治療薬を届けるため、治験への協力は私たちの使命の一つと考えています。このため、迅速で質の高い治験にも取り組んでおり、高い評価を得ています。

 4つ目は、教育研修などを通じた質の高い医療人の育成です。

 私たちは、豊富な診療現場を最大限活用して、質の高い臨床研修医の養成に取り組むとともに、高い実践能力を持った看護師の育成と、看護師のキャリアパス制度の構築にも力を入れています。例えばこれまでに、法律で定められた初期臨床研修を修了した医師に対して、海外留学を含む研修プログラムを提供し、各診療科に対応する臨床能力をさらに高めるための専修医研修制度(いわゆる後期臨床研修制度)を確立しました。
 また、高度な看護実践能力を持ち、医師をはじめ多くの医療関係職種と協働してチーム医療を提供できるような看護師の育成に向け、現在、新構想看護大学・大学院開設に向けた取り組みを行っております。

 5つ目は、災害が起こった時の緊急医療支援です。

 災害の発生時には医療班をいち早く現地に派遣するなどの支援を行っており、平成16年10月に発生した新潟県中越地震、平成19年3月に発生した能登半島沖地震をはじめ、平成16年12月に発生したインドネシア・スマトラ島沖大地震などの海外における地震被害に関しても、発生直後から継続的に医療班を派遣し、被災地における医療活動に当たっています。

 これからも、私たちは、患者の目線に立った医療の提供を目指して、意識改革を絶えず行い、あらゆる面で運営のあり方の見直しを心がけていきます。国立病院機構が患者さんや地域の方々に信頼され、独立行政法人になって本当に良かったと実感していただけるよう、職員一丸となって取り組んでまいりますので、皆様のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

理事長 矢崎 義雄